紳士の雑学

ビジネスに役立つパワポ・エクセル活用術④【エクセル編】
問題解決のためのデータ分析方法

2019.02.07

写真・図版 齋藤健太

写真・図版

企業活動は日々問題解決と言っても過言ではありません。そして、その問題を解決するためには、根本原因の見極めが重要であり、そのためにデータ分析が有用だということを説明しました。
※上記説明は、「ビジネスに役立つパワポ・エクセル活用術③【エクセル編】問題解決のためのデータ分析の考え方と進め方」をご確認ください。

〈エクセルを活用することとは〉

そもそもエクセルは、私たちが思っているよりずっと賢く、活用の仕方次第では、業務効率を飛躍的に拡大できるビジネスツールであることを認識することが重要です。

まず、大事なのは、「エクセルでできること」を知ることです。「確かこれはできたはず」ということさえ知っていれば解決できますが、実際にはできるのに「これはできない」と決め付けて、無駄な手作業を行っていることは意外に多いものです。

次に、計算結果を導く時間はできる限り効率化することです。そしてその結果として出てきた数字を読み取り、その数字をもとにビジネスを展開していくことに、ビジネスパーソンは時間を割くべきなのです。数字の整理そのものは本来の業務ではないということを認識することが重要です。

最後に、エクセルを使って数値分析を行ううえでのポイントは、法則性を考えることです。数学的知識よりも、論理力、ロジック力が問われます。

上記を踏まえ、エクセルを活用して問題解決を行った事例をいくつか見ていきましょう。

〈構成要素への分解による根本原因の見極め〉

ほとんどの企業にとって、いかにしてトップラインである売上を上げていくのかは命題となっているはずです。データ分析においては、因数分解を行いながら、重要な数値項目を抽出していくことがポイントとなります。例えば、売上については、以下のように因数分解し、どの数値を上げていくべきなのかを導き出します。

○売上の構成要素(分解例)

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このような因数分解は、すべてのデータ分析において必要です。根本原因を見極めるために論理的に整理することを意識付けましょう。

さて、以下は売上が減少してきたある店舗の状況です。

○某店舗の売上/客数/客単価推移

写真・図版

売上は2月以降減少しており、客数と客単価に因数分解すると、客数が減少していることがわかります。

○某店舗の売上と各構成要素の相関性

写真・図版

客単価について更に分解してみます。

上図は売上と、客数・客単価・商品単価・買上点数など各構成要素との相関性を分析するためのグラフとなります。相関性が高いということは、それだけ影響を与えているということになります。その部分を中心にテコ入れすることで、売上が上がる可能性が高くなるのです。

グラフを見ると、客数が増えるほど売上も上がる、ということが見て取れます。いかにして客数を上げるのかが必要だということがわかります。

もう一点、商品単価が上がるほど売上は減少する、ということもかります。これは逆相関と言います。売上を上げるために商品単価を上げる、という施策は悪影響を与える可能性が高いということがかります。

一方、買上点数と売上には相関性があまりないことが言えます。

以上のことから導き出される売上を増加させるための施策としては、「単価の低い商品を増やすことにより新規のお客さまを呼び込む」ことが仮説として考えられるでしょう。あとは、その仮説をもとに実行・検証・改善をしていくことが大切です。

〈ABC分析による効率的な管理方法〉

商品の在庫管理や得意先の管理など、効率的にビジネス展開するうえで欠かせないことだと思います。その際に、ABC分析という管理方法を用います。

ABC分析とは、商品や在庫、得意先などの管理方法のひとつで、A・B・Cにランク付けして差別的に管理する手法です。パレート分析法とも呼ばれており、Aを最も重点的に管理し、B、Cとだんだん管理精度を荒くしていきます。

ABC分析は顧客管理や商品管理の最も基本的なもののひとつであり、顧客別売上一覧や商品別売上一覧があれば、簡単にランク付けし「最も重要な顧客や商品」「一般的な顧客や商品」「あまり重要でないもの」がわかり、効率的な管理が可能となるのです。

一般的な区分管理方法としては、
□Aランク(構成比の累積が80%以下):労力と時間を投入し、重点的な管理を行う
□Bランク:(80%より大きく95%以下):あまり厳密な管理はしなくてよい
□Cランク:(95%より大きい):最もゆるい管理を行う
となります。一度自社の顧客や商品について、整理してみましょう。

〈PPM分析による注力する事業の選定〉

複数の事業を展開している企業が多いと思います。どの事業に注力していくべきなのか、その際に活用できるのがPPM分析と呼ばれる手法です。

PPMとは、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの略で、自社の事業を4つの領域に分類することで、全体的な俯瞰と各事業の貢献度を視覚化することのできる分析手法となります。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)は、「市場成長率」を縦軸に、「市場シェア」を横軸に取った4つの分類を設定し、ここに商品名や各事業を配置して、今後の商品や事業戦略を決定していきます。

○PPM分析の考え方

写真・図版

上図にあるとおり、「花形」部分の商品や事業は、大きな利益が得られる一方で、継続的投資が必要となります。最終的に金のなる木に育て上げることが目標となる分野です。

「金のなる木」は、市場成長は期待できませんが、投資を最小限に抑えて、キャッシュを回収する商品や事業となります。ここで回収したキャッシュを他の事業に展開することになる分野です。

「問題児」は、シェアの拡大が目標となる商品や事業です。競争に勝ち抜けば花形になりますが、そのまま市場成長率が鈍化すれば負け犬事業となってしまう分野です。

「負け犬」に属する商品や事業については、基本的に撤退や早い見切りが必要となります。

実際の分析では、次の図のように市場シェアと市場成長率、そして現時点の売上規模をもとにグラフを作成することで、見える化します。

○PPM分析グラフ

写真・図版

こちらも自社の商品や事業に当てはめてトライしてみてください。

〈RFM分析による顧客ごとへの適切なアプローチ〉

最後に紹介するのはRFM分析です。RFM分析とは、顧客管理モデルとして有効な分析手法となります。顧客の購買力を定量的に評価することで自社にとって有益な顧客層を抽出でき、また顧客層ごとにアプローチ手法を変えていくことができます。

自社が持つ過去の購入履歴(売上データや販売データ)から、顧客との関係を定量的に区分することで、有益な情報へと変えていく分析モデルです。RFM分析を行うことにより、顧客の購入パターンを把握することができるため、効率的な販促を絞り込んで行うことができるようになります。

また、顧客をR・F・Mをもとにグループ化することによって、顧客の“固定客化”の実態を把握、または固定客化のための販売促進を行うベースを築くことができます。

【R・F・M の意味】
□R=Recency(最新購入日)
□F=Frequency(累計購入回数)
□M=Monetary(累計購入金額)

顧客データのなかの「R」が現在の時点に近ければ近いほど、「F」が多ければ多いほど、「M」が大きければ大きいほど、購入確率が高くなることがわかり、また、R>F>Mの順で影響力が大きいとされています。

ぜひ、自社の顧客をR・F・Mの軸で区分してみてください。

まとめ

問題解決するために必要な根本原因の見極め、そのために有用であるデータ分析はエクセルを活用して実施できます。目的に応じて分析方法や活用するデータは変わってきますが、必ずエクセル活用により答えを導き出すことができます。ぜひ、エクセルの可能性を信じて問題解決に取り組んでいただければと思います。

今回紹介した事例や分析方法について、より具体的に学びたい方は、下記「新装版 問題解決のためのデータ分析」をぜひお読みください。

写真・図版
「新装版 問題解決のためのデータ分析」

【新装版 問題解決のためのデータ分析】
営業や企画に限らず、どんな仕事をしている人でも、上司から「数字で示して」と求められることが増えているのではないでしょうか。その理由は、「数字は嘘をつかない指標であり、データ分析がビジネスのあらゆる問題解決に有用」だから。そして数ある問題を解決するために、「データ分析」ほど威力を発揮するものはありません。

本書では、問題解決の糸口をつかむ考え方や方法を、著者がコンサルティング現場で実践しているフレームワークを用いながら解説し、また問題解決とは切っても切り離せないデータ分析について、さまざまな事例を具体的に紹介しながら説明します。

内容としては、理論の部分は最小限にとどめ、ビジネスパーソンの要望が多い、(1)収益管理、(2)売上増加、(3)コスト削減、(4)在庫の管理、(5)新規事業開発、(6)ウェブサイトの改善、という具体的なシーンについて、「課題や仮説の洗い出し」「分析方法決めとデータ収集」「具体的な分析方法」などを10の事例を挙げて説明します。また、実践的なエクセルの機能の活用方法についても併せて解説しています。

なお本書は、2013年に刊行され、ロングセラーとして好評をいただいている『問題解決のためのデータ分析』を、わかりやすさと実践性はそのままに、時代に合わせて事例等を大幅に入れ替え、全面的に加筆・再編集したものです。

プロフィル
齋藤健太(さいとう・けんた)
株式会社クロスメディア・コンサルティング 代表取締役社長
慶応義塾大学理工学部卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。主に中堅規模(年商数百億円)以上の企業をメインクライアントとしたプロジェクトに従事。化粧品メーカや卸・リテール業界など、幅広い業種において、中期経営計画策定やマーケティング戦略の構築、M&Aにおけるビジネスデューデリジェンス等の実績を有する。独立後も製造業や小売業、サービス業に至るまで大小さまざまな企業の課題発見に従事、成果を上げる。特にデータ分析においては、複数のコンサルファームにもアサインされる実力を有する。

2013年9月にクロスメディア・パブリッシングより『問題解決のためのデータ分析』を出版(2019年2月に新装版が出版予定)。
2018年5月、同社グループ全体のコンサルティングに入り、10月、クロスメディア・コンサルティングを設立、現在に至る。
https://cm-consulting.jp/

Illustration:Akira Sorimachi

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