紳士の雑学
シワなくキレイに仕上げるコツとは? ワイシャツのアイロンがけの方法
2019.02.20
シャツのアイロンがけは決して難しいものではありません。ちょっとしたコツをおぼえれば、誰でも簡単にできます。いつもクリーニング店にまかせっきりという人も、家庭でのクリーニングにぜひトライしてみてください。
アイロンがけで使う道具の選び方
アイロンはある程度の重みがあったほうがしわは伸びやすいですが、日常で使うことを考えると取り回ししにくいプロ仕様は避けたほうがいいでしょう。その代わりスチームはしっかりと出るものを。水蒸気による湿り気はついたしわの固さをほぐし、アイロンの圧力をより効果的にしてくれます。スチームの出具合が今ひとつであれば、霧吹きを用意してもいいでしょう。
アイロン台もぜひ揃えておきましょう。立ってアイロンをかけられるように足つきのスタンドタイプが使いやすいです。平らな床置きだとハンカチなどは大丈夫ですが、シャツのような立体的なものには向きません。またパリっと糊が利いたのが好みであれば、仕上げ剤を使用してください。
シャツをアイロンがけする正しい手順
最初に裏地についたタグを確認 しましょう。洗濯槽の表示にバツ印が付いていたらクリーニングに。真ん中の数字は水温で、洗う際はこの温度を超えないようにしてください。お風呂の残り湯を使う場合は注意したいところ。また手洗いやネット使用、アイロンの際にあて布が必要な表示があればそれに従ってください。
1.かけるのはまず襟から。顔にいちばん近い場所だけに特に気を配りましょう。その際、襟の裏側からかけるのがコツ。理由は表裏で使われている布の量が違うことにあります。たいていのシャツは裏が大きく、表がやや小さくなっています。表から熱と圧力を加えて平面に伸ばすことにより、大きさの差の部分が余りとなってよじれたようになってしまいます。裏からあてたほうが確実にきれいに仕上がります。
2.次はカフス。襟と同様に布の量が異なるため、裏側からかけます。
3.続いて袖。表と裏を一緒にアイロンをかけることになるので、立体感をつぶさないよう、強く押しすぎないでください。
4.そのまま肩へ。幅のある部分なので、アイロン台の端にかぶせるようにするとやりやすいでしょう。
5.肩を終えたら身頃へ。シャツをアイロン台に載せ、同じ側の身頃にかけます。
6.続いて背中を台に載せ、全面にかけます。面積が広いので、たるみが出ないように、片方の手で引っ張りながらかけると効率的。台の上で少しずつずらし、かけ残しがないことをチェック。
7.反対側の肩、カフス、袖、身頃へ一巡します。アイロン台の上での置き直しを最小限にし、一度かけた場所に再度しわがつかないようにするのがコツ。
アイロンがけを効率的に行うちょっとした裏技
コットンはしわになりやすい特徴があり、脱水をし過ぎるとそれだけ取れにくくなります。洗いはしっかり、でも脱水は控えめにするのがベター。また完全に乾ききるより、少し湿った状態でかけたほうがしわは取れやすいです。週末などに時間があれば、乾ききる前のシャツにまとめてかけるのが効率的。
時間がないシチュエーションでのアイロンがけの場合、襟や前身頃上、カフスなど、Vゾーンや袖口など相手の目に触れる部分だけにあてるのも手。ただしこの場合、上着を脱がないのが前提です。
また、ちょっとしたしわをさっと取りたいときに便利なのがアイロン用ミトン。手にはめてクッション部分を裏からあてれば簡単にプレスができます。忙しいときにぴったり。
シャツの正しい収納方法
アイロンをかけた後は肩のサイズがあったハンガーにかけて吊るしておくのが理想です。この際、前後のシャツと近すぎると襟がつぶれるので注意を。ある程度余裕があるようにしましょう。
吊るすスペースが充分にない場合、たたんで収納することになりますが、おすすめは以下の手順です。
1.まず肘を内側に折り、そのまま裏返します。
2.左の袖を片側の肩幅半分の位置で内側に折ります。
3.右袖を同様に内側へ。このとき左右のカフスが同じ位置に来るようにしてください。
4.カフスの付け根から内側に折ります。
5.さらにその半分の大きさになるように全体を折り返して出来上がり。しわがつかないように、あまり強く折り目をつけないようにしてください。
重ねておくのも大丈夫ですが、上下互い違いに置いておくと襟が重みでつぶれないうえ、安定した置き方になります。ただ時間の経過としわはついてしまうので、長期の保管では避けたほうが無難です。
こんなときは無理せずクリーニングを活用
シミなどの落ちにくいものがついたり、襟や袖の黄ばみが目立ったりしたら、クリーニング店に持ち込みましょう。特に前者は素人判断で洗濯、アイロンがけをすると逆に取れにくくなることがあります。ただしクリーニングの溶剤は生地を傷めることもあるので、あまり頻繁な持ち込みは控えたいところ。プロの技を適度に使うのも、長持ちのポイントです。
まとめ
メンズファッションの基本からすれば、シャツは下着にあたります。セルフケアが充分可能なアイテムです。アイロンがけをマスターすれば、経済面はもちろん、シャツへの愛着と審美眼が養われます。
①アイロンはスチーム機能、アイロン台は立って使えることが必須。
②襟、袖など目につきやすい場所からプレス。身頃などの内側は後で。
③しわをつけないように少し湿った状態でかけ、形がつぶれないように収納する。
Photograph:Tomoka Tanaka(kiitos)
Styling:Yukihiro Yoshida
Text:Mitsuhide Sako(KATANA)