旅と暮らし
一度は体験したい、世界一高い場所にあるホテルの絶品飲茶!
2019.02.22

The Ritz-Carlton,Hong Kong
ザ・リッツ・カールトン香港/香港
ホテル界のチョモランマは、異次元の高さだった!
香港に住んでいた友人から飲茶のおすすめとして聞いていたのが、「ザ・リッツ・カールトン香港」の「天龍軒(ティンロンヒン)」。念願叶い、昨年の冬についに“登頂”した。なぜ登頂と言うかといえば、世界一高層階のホテルだから。なんと490mのビルの102階から118階がホテルになっている。しかもビルの最上階がバーとプール。もう、それ以外のことを知らなくてもワクワクしてくる。
日本から「天龍軒」を予約して、まずはホテルにチェックイン。気になるお部屋は史上最高層の106階! 部屋に入ると、もはや飛行機からの眺めだった。窓際のベンチに腰かければ、はるか下に香港島のビル群がジオラマのように見え、島の向こう側の海までを見渡す。個人的には香港の物流を支えるコンテナ船が行き交う様子がツボで、旅情をくすぐられた。
天空の部屋は非日常的。それでいて部屋のデザインは突飛ではなく、正統派かつクラシックな造りなのがいい塩梅だ。あり得ないくらい高い場所にいるのに、ほっと落ち着ける。音楽をかけて外の景色を眺めたりベッドに横たわるだけで、身体の疲れがとれる感覚だった。


まずはディナーでシェフの実力を体感する
さて、本題の「天龍軒」について。シェフは広東料理歴41年のポール・ロウさん。2019年まででミシュランの2つ星を7年連続で獲得する巨匠であり、店は常に予約でいっぱい。もとは点心のおすすめとして「天龍軒」を知ったが、もちろんディナーも外せない。
飲茶のランチの前の晩、私は「Stellar Dining Series(ステラ ダイニングシリーズ )『星の饗宴』by The Ritz-Carlton」というイベントに参加し、そこでポールさんのスペシャリテをいただく機会を得た。このイベントはアジアのザ・リッツ・カールトンでミシュランの星をもつシェフたちによるコラボディナー。ポールさんは「ザ・リッツ・カールトン東京」のフランス料理「アジュール フォーティーファイブ」の宮崎慎太郎シェフと交互に料理を提供した。

すべてが美味しかったけれど、一番衝撃だったのがスープだ。ココナッツウォーターとともに煮込んだチキンスープで、中には魚の浮き袋が入っていた。南国(ココナッツ)+魚介(魚の浮き袋)+動物性(チキン)という味のバランスがとてもユニークで、ココナッツのあの青臭いともいえるフレーバーがナイスな脇役に。「ああ、絶対に似たスープはない…」と飲み終わるころには寂しくなった。
また、焼き物の完成度はさすが! 金木犀のハチミツをまとった焼き豚を食べると、飲茶への期待が俄然高まった。
焼き豚と胡麻のソースがかけられたホタテのフライ。 しっとり柔らかに煮込まれた鮑はシンプルに海塩のソースでいただく。
世界一高いプールとバーも楽しすぎる!
飲茶の前に、ホテルのその他注目ポイントをお伝えしたい。世界最高層だけあって、それを活かした楽しみ方が多数ある。
まず、このホテルからは美しい朝陽を眺められる。ビクトリアハーバー側の客室なら部屋の窓から見られるし、116階のクラブラウンジからの眺めもおすすめ。ちなみにクラブラウンジではシャンパンが飲み放題で朝食や軽食も充実していて、ラウンジとしてのレベルが高い。少し奮発するか、マリオットの旅行プログラム“Marriott Bonvoy”のポイントを利用してクラブデラックス以上のお部屋に泊まれば、ラウンジも好きに使えてよりホテルを満喫できる。到着直後には、ぜひシャンパンで乾杯を。
朝陽を浴びたあとは、118階のプールでひと泳ぎ。窓際にデイベッドが置かれていて、ここが絶好の撮影スポットだ。ホテルのインスタを見れば、プールで写真を撮るみなさんの揚々とした写真が続々出てくるので要チェック。男性の皆さんは水中で彼女のカメラマンになる可能性が高いのであしからず。


昼には102階〜103階で世界一高いアフタヌーンティーを楽しんで、ディナーのあとには118階のバーへ。「ザ・リッツ・カールトン」というとどの年代にも受け入れられる正統派のイメージがあるけれど、ここのバーはちょっとイケイケ。夜遊び気分を満たしてくれるし、メキシコ人バーマネージャー、オスカー・メナさんの作るカクテルが美味しい! メキシコといえばテキーラ&メスカルの産地でカクテル大国。気分が盛り上がるカクテルならオスカーさんにお任せあれ。




お待ちかねの飲茶は期待どおりの逸品!

飲茶については、もう「とても美味しい」という言葉だけで終わらせたい。写真を見ていただけたら、その美味しさが表れているはず。繊細で優しい味つけで、友人とのお喋りも進んだ。食事には、料理の美味しさかお喋りの内容かどちらかしか覚えていないということもあるけど、この飲茶に関しては、両方はっきりと覚えている。街に食べ行くのもいいけど、2泊するならうち2回(昼1夜1)の食事を「天龍軒」にするのは大いにあり。むしろ私はそれがいい。



そして、特筆すべきが「天龍軒」のXO醤だ。ひと瓶5800円するけれど、その価格に納得の美味しさが詰まっている。中には貝柱がぎっしり入り、甲殻類の旨味が凝縮。XO醤というとニンニクや唐辛子がけっこう効いているところもあるが、これはどちらも控えめ。その分、貝や海老の味をしみじみ感じて、色んな料理に合わせやすい。また、信頼できるのが、11月24日に手に入れたXO醤の賞味期限が1カ月後の12月24日だったこと。保存料など余計なものが入っていない証だ。

そのままで酒のつまみにもなるし、釜揚げうどんや炊きたてのご飯にのせてもよし。卵かけごはんのお供にも最高。野菜炒めや煮込みに入れれば、すぐに本格的な味になって、料理上手だと騙せてしまう(内緒)。というわけで、お土産にも喜ばれる。
お土産もランチもディナーも超一流。世界最高層の眺めと丁寧なホスピタリティがあり、洒落たバーで夜遊びもできる。さらに、ホテルからクルマで10分移動すれば、ノスタルジックな九龍の下町があって散歩も楽しい。例えば週末香港旅行の2泊3日を「ザ・リッツ・カールトン香港」で過ごしたら、大人の遊びとしての満足度は相当高いと思う。ぜひ、天国に一番近いホテルを体験あれ。


ザ・リッツ・カールトン香港
http://www.ritzcarlton.com/jp/hotels/china/hong-kong
プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、年に10回は海外に渡航。タイ、スペイン、南米に行く頻度が高い。最近のお気に入りホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE HOTEL」。@tomoko.oishiでも海外情報を発信中。