旅と暮らし
銀座並木通り『焼肉 うしごろ』で、究極の黒タンに出合う
[状況別、相手の心をつかむサクセスレストラン Vol.10]
2019.02.27
![銀座並木通り『焼肉 うしごろ』で、究極の黒タンに出合う<br>[状況別、相手の心をつかむサクセスレストラン Vol.10]](http://p.potaufeu.asahi.com/de97-p/picture/15174487/e18f1ea34e58422db4688aa5fc485603.jpg)
銀座の高級焼肉店での接待なら、喜ばない人はいないだろう。煙モクモクの場末の焼き肉店のイメージを完全に払拭。リストランテと見まがうしゃれた空間で、オリジナリティーに富んだ牛肉料理を提供する焼き肉屋の先駆けのひとつともいえる『焼肉 うしごろ』であれば、万全だ。
並木通りの高級ブティックの上階で驚きのリーズナブル

2018年秋に、銀座並木通りにオープンした『焼肉うしごろ 銀座並木通り店』は、まず立地がすごい。1階がドルチェ&ガッバーナという、高級感あふれるビルの7階にある。雄牛をイメージして赤を大胆に用いたスタイリッシュな店内には、時計の部品で牛を表現したオブジェ(さすが、世界の時計ブランドが居並ぶ並木通り!)が随所に飾られるなど、なんとも粋だ。
メニューは幅広く、ピンの肉を求めればきりがないが、今回は1万円のコースをご紹介しよう。えっ、これで!? と、誰もが驚くクオリティーとボリュームを保証する。ちなみに、最もリーズナブルなコースが6800円と、それもまた驚きであるが。
1万円の「極みコース」の内容は、刺し3種盛り合わせ、季節のナムル盛り合わせ、究極の黒タン、厚切りハラミ、特選部位塩、本日のスープ、シャトーブリアンのミルフィーユ、大判サーロイン、ザブトンのすき焼き、本日の特選部位と、かなりのボリュームだ。ちなみに同額で「極み赤身コース」もあり、こちらは最後が厳選赤身の厚切りステーキという締めくくりだ。
高級焼き肉の代名詞である、刺身と黒毛和牛のタンに舌鼓

まずひと皿目は、牛刺し3種の盛り合わせで、左からランボソ(尻の肉)、ユッケ、ミスジのローストビーフ。魅力的なスターターで、本日供される牛肉のクオリティーの高さへの期待がいっそう高まるというものだ。生肉ってOKなの? という人向けに説明すると、生肉専門の加工業者から買い求め、さらに店内に設置した生食肉加工室でしっかりトリミング(肉の表面を切り落とす)すれば、生肉として提供することができると法律で定められている。肉好きにはこたえられない、禁断の美味であることは言うまでもない。
次は、うしごろの看板メニューのひとつとも言える、究極の黒タン。焼き肉好き=タン好きと言っても過言ではないほどの人気のタン。だが、なんといっても、牛1頭に一つしなかいのだから、上質なタンともなれば争奪戦だ。うしごろが何をもって「究極」と称しているのか。希少な黒毛和牛に限定し、さらにタンモトという付け根の部分を使用していることが理由だ。1本のタンにつき、タンモトからは厚切りで10枚しかとれない超希少部位なのだ。その1枚をほどよいミディアムレアに焼いてくれるのだから感涙もの。味はレモン塩で。

説明が後先になったが、うしごろではコース料理に関しては、すべてスタッフが焼いてくれる。いい肉ほど、焼き加減のスイートスポットが狭い。生かすも殺すも焼き方次第であるわけだから、これは大変ありがたい。ましてや接待の席となれば、焼いてもらえるという条件は必須だろう。

うしごろならではの工夫の詰まった料理にノックアウト
「極みコース」のハイライトのひとつが次の「大判サーロイン」だ。大きなブロックからごく薄く切り出した、きれいにサシの入ったサーロインの片面だけを焼き、くるりと巻いて供される。タレかポン酢か選び、さっとくぐらせて頬張れば、口いっぱいに甘い脂を残して溶けていく。ドーパミンが大量に放出される瞬間だ。

もう一品がうしごろの必殺メニューである「ザブトンのすき焼き」。うしごろ創業時の2011年に考え出したという名物料理だ。ほどよく火を入れたザブトンをタレにくぐらせ、溶き卵をつけて、半量のごはんを巻いて食べる。残った卵にタレを入れ、ごはんにかけてプチTKGとして味わう。今度は、“日本人に生まれてよかった〜”の幸せ脳波が大量に放出されるはずだ。
ほかにもシャトーブリアンのミルフィーユは薄切りにしたシャトーブリアンを重ね、レアに火を入れて塩で楽しむ一品や、焼き肉の醍醐味のひとつであるハラミを厚切りで供するなど、どの品をとっても工夫とおいしさの説得力がある。
ワインの品ぞろえも充実しているので、値段と好みを言って選んでもらうといいだろう。
例えば、ケンゾーエステイトのフラッグシップである赤ワイン「リンドウ」を選べば、しなやかで繊細な風味がうるさがたのクライアントを喜ばせてくれるに違ない。
Photograph : Makiko Doi