腕時計
SIHH2019 ジュネーブサロン・リポート
ボーム&メルシエ
2019.03.08
高級時計の新作がいち早く出そろう、毎年恒例の国際展示会・SIHH(ジュネーブサロン)がスイスで1月14日から17日まで開催された。ラグジュアリー感あふれる落ち着いた雰囲気の会場に、約2万3000人が来訪したという(主催者発表)。このSIHH2019から、主要ブランドの動向と、魅力的な新作をピックアップして紹介する。
「クリフトン」に鮮やかなブルーダイヤルと永久カレンダー
ボーム&メルシエは、昨年のSIHHで初の自社開発自動巻きムーブメント「ボーマティック」を発表して大きな話題となった。今年は早くも新バージョンが登場したが、生産効率の向上などによってコストダウンしたほか、メンテナンスを簡略化。5日間のロングパワーリザーブや耐磁性、精度・耐久性などの基本性能に変わりはないという。
この「ボーマティック」ムーブメントを搭載した丸形「クリフトン」コレクションに、18Kレッドゴールド製ケースと、深みのあるブルーダイヤルのモデルが追加された。また、ハイエンドモデルとして複雑機構の永久カレンダーもデビュー。バラエティがさらに豊かになった。
「クリフトン ボーマティック COSC レッドゴールド」は、C0SC=スイス公式クロノメーター検定協会の審査をクリアした高精度モデル。天地左右に交差するチャコールグレーのラインが、COSC認証取得のサインだ。陶磁器を思わせる艶を持つホワイトダイヤルに、赤みを増した18Kレッドゴールド製ケースが美しく調和。チャコールグレーの秒針も、ゴールドの時分針とインデックスにコントラストしており、現代的でアクティブな印象を与える。
今年のSIHHではブルーダイヤルが圧倒的に目立ったが、「クリフトン ボーマティック ブルーダイヤル」は、中央が明るく、外周が濃くなるグラデーションが施されており、奥ゆきを感じさせる。ロジウム加工のメタリックな時分針と、シャープなバーインデックスが高級感。通常モデルとCOSC認証のクロノメーターがあり、後者はレッドゴールドモデルと同じく天地左右にホワイトのラインが交差している。
自社開発ムーブメント搭載のコレクションではハイエンドとなる「クリフトン ボーマティック パーペチュアルカレンダー」は、大小の月末はもちろん、閏年までカレンダーを自動送りしてくれる。閏年の例外年となる2100年までは修正不要の複雑機構であり、通常は3~5年ごとに必要なメンテナンスも7年ごとに延長している。ホワイトダイヤルにオーソドックスなインダイアルを配置しているので、視認性が高く、見飽きることもない。6時位置でブルーの夜空を覗かせるムーンフェイズがアクセント。
Ladies' Watch Information for Gentlemen
[紳士も知っておきたい淑女の時計]
モダンな丸形「クラシマ」にスモールサイズを追加
ボーム&メルシエの「クラシマ」は、1965年に発売されて人気を博したモデルにインスパイアされて誕生したコレクション。ギヨシェ装飾が特徴的なメンズもラインナップされているが、これまでケース径が31㎜だったレディスに27㎜のスモールサイズが追加された。手首が華奢な女性には朗報ではないだろうか。5連のブレスレットはセーフティプッシュボタンを備えたトリプル・フォールディング・クラスプ付き。不意に外れたりする心配はないので、しっくりした装着感をアクティブに楽しめる。価格も含めて、デイリーユースには最適なモデル。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/ボーム&メルシエ 03-4461-8030
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。