旅と暮らし
SUVで、ピュアEV。
ジャガーIペイスは紳士淑女をとりこにするか?
2019.04.12
欧州で加速しているCO2排出量規制。そんな背景に同調するように、ジャガーから完全電動のニューモデル「Iペイス(アイペイス)」が登場し、日本での受注が始まっている。
このニューモデルの特徴は、ジャガーの最新作であり、SUVであり、そしてピュアEVである点だ。近年、目を見張るほど都市部を中心に注目を集め、人気がますます高まっているインポートSUV。そこに今後、各社から「EV SUV」の発売が見込まれる。これから旬を迎えるマーケットに登場したジャガーIペイスの魅力を見ていこう。
Iペイスは、2基のモーターを搭載する。フロントのモーターで前輪を駆動し、リアのモーターで後輪を駆動するフルタイム4WDシステム。それぞれのモーターは最高出力200ps、最大トルク348N-mで、トータルでは最高出力は400ps、最大トルクは696N-mにもなる。航続距離は438km(WLTC測定法)という数値で、普段の使用もこなしてくれそうだ。
Iペイスは、前後にモーターを配置したうえ、バッテリーを前輪と後輪の間の床下に平らに並べる。前後重量配分は50:50という理想的なもの。しかもボディー剛性を高次元で確保し、走りの良さを期待させるメカニズムを持ち合わせている。
だが、そんな走りへの期待を上回るほど、実際に目にしたIペイスは、スタイリッシュなルックスが魅力に思えた。なんと全高は1565mmだ。同じジャガーのEペイスでは1650mm、Fペイスでは1665mmだから、Iペイスは非常に低い。
ハイパワーガソリン車なら「SUVのスポーツカー」と呼びたいほどの、低いボディーだ。フロントマスクも精悍(せいかん)な面持ち。フロントバンパーに設置したアクティブベーンから、ボンネットのスクープ、ルーフそしてルーフエンドスポイラーへと空気の流れを作り出す。
リアから眺めれば、全高の低さとともに、全幅1895mmのワイドボディーがもたらす、重心の低さを感じさせるどっしりしたフォルムが印象的だ。
インテリアのしつらえも好印象。センターコンソールのデザイン処理は、新しさを感じさせながら、SUVとしてのスポーティーさをアピールする。またルーフに張ったスエード地のライニングも上級なモデルに乗っているという実感を拡大させる。英国王室御用達「ロイヤルワラント」を掲げるだけあって、室内を構成する素材もとても上質なものをチョイスしているのがうれしい。
サンルーフはフロントシートからリアシートに達するフルサイズ仕様。太陽光を吸収・再放射する特殊コーティングの採用で、ブラインドを不要にして、明るい室内を作り上げる。
エンジンを持たないピュアEV。専用ボディーは、3mに迫る2990mmの長いホイールベースをもたらした。その恩恵とワイドトレッドもあって、室内は広く、揺れがもたらす不快感も極端に少ない。しかも安定感あるフットワークを実現している。ここには50:50の前後重量配分や、重量物であるバッテリーをホイールベースの位置の低いポジションで敷き詰めた低重心のメリットが効いていると言えそうだ。
ジャガーにとって、次代を先駆けるイメージリーダーとしての役割ももちろん考えられるIペイス。来たる「EV SUV」の新たな時代に向けた渾身の作だ。
ラインアップは、ロアグレードから「S」「SE」「HSE」の3グレードを基本に、装備内容をさらに高め、導入から1年間限定で販売するトップモデルの「ファーストエディション」を加えた車種構成となる。
EVとしての魅力だけでなく、スポーティーなルックス、上質で快適なインテリアも備えた注目したいモデルである。
※写真のモデルは、実際の日本導入モデルと一部の仕様が異なります。
日本仕様は全車、右ハンドル。
※価格はすべて消費税込みのものです。
車名:Iペイス ファーストエディション
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4695×1895×1565mm
ホイールベース:2990mm
駆動方式:4WD
モーター:永久磁石同期式電動モーター
最高出力:400ps(294kW)/4250-5000rpm
最大トルク:696N-m(71.0kg-m)/1000-4000rpm
タイヤ:前255/40R22、後255/40R22
車両本体価格(税込):¥13,120,000
Text:Haruhiko Ito (office cars)