お酒

シチリア島のエトナ火山で育った地ぶどうで醸す
エトナ ビアンコ ベナンティ
【今週の家飲みワイン】

2019.05.10

小松宏子 小松宏子

シチリア島のエトナ火山で育った地ぶどうで醸す<br>エトナ ビアンコ ベナンティ<br>【今週の家飲みワイン】

インターナショナルに活躍するソムリエの梁 世柱さんによる、ワイン指南。自宅で気軽に飲める、お手頃でいて本格派な一本を紹介する。今月は「シチリア」のワインだ。

今月はシチリアに焦点を当てて、4本のワインをセレクトしてもらった。素晴らしいワインが全土に点在するイタリアのなかで、あえてシチリアを選んだ梁さん。その魅力がどこにあるのか尋ねてみた。 

「まず、固有品種が多いこと、そして、その固有品種がどれもこれもとても優秀ということですね。シチリアの特異な気候と風土は、これまでの島ワインのブームをけん引しつづけています。島ワインに、なぜ人がひかれるのかといえば、希少な固有品種が残っていること、テロワールそのものが特殊なことが理由で、栽培においても、昔ながらの方法が引き継がれています。結果、そこにしかない個性豊かな、そしてどこか風通しのいいワインが醸されることになるのです」とのこと。なかでも、歴史あるシチリアという土地で造り継がれてきた、土着のぶどうを用いたワインの数々が、現代においては類いまれな個性や希少性を持つに至る、幸運な結果を生んだわけだ。

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シチリアの白の固有品種で最も重要な品種が「カッリカンテ」だという。シチリア島の東部に位置するエトナ火山のふもとの鉄分と窒素を多く含む火山性の土壌のみで栽培されている地ぶどうだ。このあたりでは、紀元前7世紀から白ワインの醸造が行われていたとも伝えられているが、エトナ火山一帯がそれだけ、恵まれた土地だったことの証しであろう。

カッリカンテを60%以上使用したワインはエトナワインとして、1968年にはすでにDOCに認定されていた。しかしながら、カッリカンテの再評価のきっかけとなったのは1988年に創業したワイナリー「ベナンティ」の成功だった。実業家のベナンティ氏と醸造家のフォーティ氏がタッグを組んだこのワイナリーは、伝統的な醸造法を尊重しつつも、最新のテクニックも導入するなど、それまでのエトナワインを大きく進化させた。シチリア自体はナチュラルワインの先進地域ではないが、オーガニックの比率は年々高くなってきている。エトナの大御所ワイナリーといえるベナンティもビオディナミに切り替えて久しい。こうして、彼らの造るワインの高評価は、シチリア・ワインルネッサンスと言われるムーブメントにまで発展し、広く、シチリアワインの可能性を知らしめるに至った。

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「ベナンティのスタンダードともいえるこの一本は、標高900~1000mにあるエトナ地区の東側と南側で収獲されたカッリカンテをブレンドした、カッリカンテ100%のワインです。超火山土壌に加え、海に近い立地は、塩分を感じるミネラル感の強いワインを造り出しました。標高の高い、朝夕の寒暖差が作り出すキリッとした酸。35~50年と古い樹齢のぶどうのみが醸すことのできる奥行きのある味わい。これはもう最強レベルの白ワインと言えるでしょう。日本の魚介類には本当によく合います。なにしろ、ワインそのものから、海というテロワールがにじみ出ているのですから」と太鼓判を押す。旬の魚の刺身に、シンプルにゆでたり焼いたりした甲殻類に、いかやタコのマリネやサラダにもぴったりだ。また、すしにもパスタにもいける、野趣に富んだ度量の広さも魅力だ。それでいて、もちろんフィネス(洗練)をも持ち合わせている。夏のテラスで、海辺で、太陽のまだ高いうちから楽しみたい一本だ。

<<リタ・ウント・ルドルフ・トロッセン

今週の家飲みワイン【まとめ】はこちら

Photograph:Makiko Doi

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