お酒
ビールと一緒に、かつおのフライとライムマヨネーズ
[長尾智子 料理の歳時記]
2019.05.22
食材は旬の時期に味わうのがいちばん。出盛りの食材をいかにおいしく料理するか。料理研究家の長尾智子さんに教えていただきます。
初夏の食材「かつお」
スズキ目サバ科。日本の太平洋沿岸に生息し、夏に黒潮と親潮がぶつかる三陸海岸沖あたりまで北上し、秋になって親潮の勢力が強くなると南下する。北上するかつおを「のぼりがつお」と呼び、特に4〜6月、その年初めて水揚げされたものを「初がつお」と呼び、江戸時代にこれを食べることを「粋」として珍重した。脂がまだ乗っていないためにさっぱりしている。一方、秋になり南下するかつおは「戻りがつお」と呼ばれ、こちらは脂が乗ってもっちりした食感になり、秋の味として好まれている。
「かつおはフライにしても美味しくいただけます。かつおの半分が浸かるくらい、少なめの油で揚げ始め、足りなくなったら足すというやり方が気楽でおすすめ。衣は、薄力粉→卵液→パン粉ではなく、薄力粉に卵白と水を加えて混ぜてかつおをくぐらせ、パン粉をつけるだけ。面倒のない簡単フライ衣です。卵黄が残るので、私はそれでマヨネーズを作ります。泡立て器で泡立てるなら卵黄1個が作りやすい分量です。マヨネーズ作りで覚えておきたいのが、油の分量で仕上がりを調整できるということ。硬めにしたければ油を多く、ゆるめにするなら少なく。今回は酢の代わりにライムを使って爽やかな味わいにしました。レモンやリンゴ酢でもいいでしょう。ハンドミキサーやブレンダーがあれば、より簡単に作ることができます」
<材料 3~4人分>
かつお(刺身用) 大きめ1さく
薄力粉 大さじ山盛り1
パン粉 50~60g
卵 1個
塩 少々
揚げ油(菜種油、太白ごま油、米油など)適量
ライム 1個
白ワインビネガー 小さじ1
オリーブ油 150~170ml
<作り方>
1 かつおは血合いを取り除き、少し厚めのひと口大に切り分ける。バットに入れ、軽く塩を振る。
2 卵は卵黄と卵白に分ける。ボウルに薄力粉をふるい入れる。卵白と水150ml(材料外)を混ぜ合わせ、薄力粉に加えて溶きのばす。
3 マヨネーズを作る。ボウルに卵黄とライム果汁、ライムの皮をすりおろしたもの1/4個分、塩を入れ、泡立て器で混ぜ合わせる。オリーブ油を少しずつ加えながらしっかりと混ぜ、とろりとしたマヨネーズに仕上げる。泡立て器で絶えず混ぜてしっかり乳化させること。
4 パン粉をビニール袋に入れて手でもんで細かくし、バットに入れる。2の衣にかつおをくぐらせ、パン粉をしっかりまぶしつける。フライパンに揚げ油を1cm深さに入れて中火にかけ、中温に温め、かつおを並べ入れる。動かさないように揚げ焼きし、上下を返してカリッと色よく揚がったらキッチンペーパーなどに取って油を切る。
5 マヨネーズをココットなどに入れて器にのせ、周りに4を盛る。
プロフィル
長尾智子(ながお・ともこ)
フードコーディネーター。レシピのみならず、調理道具、器、食文化全体を大きくとらえた独自の世界観が、性別を問わず支持を集める。「食べ方帖」(文化出版局)など著書多数。新刊は、お茶とお菓子、お酒と肴(さかな)を一冊にまとめた「ティーとアペロ」(柴田書店)。
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Photograph : Masanori Akao
Food Coorditate : Tomoko Nagao
Edit : Mika Kitamura