腕時計
バーゼルワールド2019 リポート
パテック フィリップ
2019.06.04
1月のジュネーブサロン(SIHH)に続いて、バーゼルワールド2019がスイスで3月21日~26日に開催された。時計はもちろん、宝飾系ブランドも新作を披露する大規模な国際展示会だが、今年はオメガなどが属するスウォッチグループが不参加。その影響もあって出展社数は減少したが、会場は例年同様の活気が感じられた。スウォッチグループはブランド独自に新作を発表しているので、それらも含めて注目モデルをピックアップする。
実用性・操作性に優れた
2タイプの新作コンプリケーション
スイス屈指の名門ブランドが発表した今年の新作は、メンズで10タイプ、レディースが5タイプ。フラッグシップともいえるミニッツリピーターや年次カレンダーなどでダイヤルのバリエーションが追加されたほか、操作が簡単で実用性に優れた2モデルのコンプリケーションが登場した。
「アラーム・トラベルタイム5520P」は、時針と同軸の針が第2時間帯=ホームタイムを指し示すデュアルタイム(GMT)に新しくアラーム機構を追加。ミニッツリピーターと同じように、ハンマーがゴングをたたくことで優しく美しい音色を発する。遠心ガバナーがたたく間隔を制御。規則正しいリズムで最長40秒(約90回)にわたってチャイムが続く。
アラームのセットは4時位置のボタンを回して15分刻みで行い、12時位置の2つの小窓に指定時刻が表示される。その下部には午前と午後のインジケーター。2時位置のプッシュボタンでアラームをオン・オフでき、こちらは12時のアラビア数字の真下にある小さなベルが白の時がオン状態。誤操作でムーブメントの損傷を防ぐ安全装置も搭載しており、4種類の特許を申請中だ。既存のキャリバーにモジュールを追加したのではなく、ケース厚を抑えるためにムーブメントを特別開発していることにも注目できる。
もうひとつのコンプリケーション「カラトラバ・ウィークリー・カレンダー5212A」も、まったく新しい自動巻きムーブメントを搭載。曜日、月に加えて、週番号も指針が表示する。年初から数えて第何週日かが分かるカレンダーであり、日本ではなじみが薄いが、欧米ではポピュラー。グローバル化がますます進展しているので、国内外を問わず重宝される表示ではないだろうか。
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問/パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター 03-3255-8109
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。