靴
一生モノの靴との出合い。#1
「ジョンロブ」「エドワード グリーン」
2019.06.25
新しい元号となり、気持ちも新たに毎日を過ごしていきたい。その第一歩として、まずは足元から見つめ直してみてはいかがだろうか。作りもデザインも上質なマスターピースな一足とともに、令和の世の中をじっくりと踏みしめ闊歩(かっぽ)していただきたい。
「ジョンロブ」「エドワード グリーン」
2大名靴の本質を知る
足のサイズや形は人それぞれ。そのため自分の足に合わせて作られるビスポークシューズは素晴らしいものだが、当然高価であるし、製作にも時間がかかる。だからこそ日常的に履く靴であれば、自分の足に合い、デザイン性にも優れた既製靴を求めることとなる。その際、必ず名靴として名前の挙がるブランドが「ジョンロブ」と「エドワード グリーン」だ。
どちらの靴も19世紀に英国で誕生、世界中のジェントルマンたちを魅了し、さまざまな伝説を残してきた。「ジョンロブ」は、ブーツメーカーとしての出自を生かし、ビスポーク発祥のルーツから高品質な既製靴を生み出している。一方「エドワード グリーン」は、英国靴の伝統を正統に継承し、時代を超えた美しい紳士靴を作りつづけている。両者とも靴作りへの真摯(しんし)な姿が、世界中から賞賛を受けるゆえんだ。新しい時代、一生モノの名靴と歩むなら、まずはこの2ブランドのドアをたたくことから始めることをおすすめする。
JOHN LOBB ジョンロブ
素材、ラスト、仕立て、
すべてに完璧を誇る紳士靴の王者
気品あふれるクラシック仕立ての英国靴として知られるジョンロブ。創業者ジョン・ロブはロンドンで靴の製法を学び、オーストラリアに渡ってビジネスを成功させ、1862年に英国万国博覧会で金賞を受賞。翌年には英国王室御用達の栄に浴すなど名を挙げ、1866年にロンドンに1号店をオープンした。1902年に2代目がパリに支店を開設、1976年にエルメス傘下となり、1981年から既製靴がスタートし、日本でも手に入るようになった。1994年からはノーサンプトンで既製靴のデザイン&製作を行い、190の工程を経てでき上がる靴には、ビスポークの精神が貫かれ、最高の履き心地と洗練したスタイルを確立している。紳士靴の王者としての風格は健在だ。
レディーメイドシューズの枠を超えたビスポーク譲りの履き心地を味わえるジョンロブ。最上級の革を選び、徹底したクオリティー管理のもと、ステッチにもこだわった美しい靴が完成する。
EDWARD GREEN エドワード グリーン
創業者の哲学を守りぬき、
できうる限りの上質を求める
1890年、靴の聖地ノーサンプトンで紳士のためのハンドメイドシューズを生産する小さな工場としてスタート。品質重視の少量生産により、“知る人ぞ知る、英国で最も素晴らしい靴”との名声を得た。
エドワード グリーンの靴作りでは、特に3つの要素を大切にしていると言われている。それが「Good Looking(見た目の美しさ)」「Comfortable(快適性)」「Long Lasting(長持ち)」。これを見事に実現したエドワード グリーンの靴は、最初から快適な履き心地を味わえることで多くの人々を魅了する。クラシックなデザイン、グッドイヤーウェルト製法、そしてエレガントなスタイル。英国靴の代表格として伝統を守りながら進化を続けている。
英国靴メーカーが集まり、紳士靴の聖地として知られるノーサンプトンに創業した老舗のひとつ。最高品質素材と精密なグッドイヤーウェルト製法を用いる高度なモノづくりの姿勢を守りつづける。
「アエラスタイルマガジンVOL.43 SUMMER 2019」より転載
Still Photograph: Shouichi Muramoto
Styling: Tomohiro Saitoh(GLOVE)
Edit&Text: Yasuhiro Okuyama(POW-DER)