靴
一生モノの靴との出合い。 #2
「ジェイエムウエストン」「オールデン」
2019.07.02
新しい元号となり、気持ちも新たに毎日を過ごしていきたい。その第一歩として、まずは足元から見つめ直してみてはいかがだろうか。作りもデザインも上質なマスターピースな一足とともに、令和の世の中をじっくりと踏みしめ闊歩(かっぽ)していただきたい。
「ジェイエムウエストン」「オールデン」
オン&オフ両用の究極実用靴
オンとオフのファッションの垣根が低くなり、どちらのスタイルにも合わせやすい靴が人気を集めるようになってきた。スーツとの相性のいいエレガントさと、デニムをはじめとしたカジュアルなスタイルにもすんなりとハマる気軽さ、そんな上品で抜け感を併せ持ったドレスシューズを時代は求めている。この条件を満たすブランドが、「ジェイエムウエストン」と「オールデン」の2ブランドだ。
フランスを代表する名靴「ジェイエムウエストン」は、フレンチトラッドブームのころから広まり、さまざまなスタイルに合わせられる万能さと堅牢でありながらジャストな履き心地が特徴。一方アメリカ靴の「オールデン」は、実用品としての究極の履きやすさを追求しながら、シェルコードバンの柔軟性とあめ色の美しいエイジングを味わえて、男心を刺激される。
ユーティリティプレーヤーとして自在な活躍を見せてくれる両ブランド。新しい時代にはさらに求められることになるだろう。
J.M.WESTON ジェイエムウエストン
時代が移り変わっても
普遍の魅力を放つフランスの名靴
1891年、南フランスのリモージュでエドゥアール・ブランシャールによって創業されたジェイエムウエストン。1927年パリに直営1号店をオープン、原材料を厳選し、堅牢でしなやかなグッドイヤーウェルト製法を守り、丁寧に仕上げられた靴は、壊れない靴という称号を得ることとなった。
この礎となるのが、徹底した素材へのこだわり。原皮の選定やタンニンなめしなどクオリティーを追求し、職人たちの手仕事によって製作。ジェイエムウエストン独自のフィッティングを生み出している。さらにサイズやウィズを細分化することで、すべての人の足型に対応し、独自のフィッティング法で、唯一無二の履き心地が味わえることも人気の秘密だ。
アッパー、ライニング、底材、ソール、すべてのパーツに最高級の天然素材を使用。そのため自社で底革のなめし工場を持っているのも、ジェイエムウエストンのこだわりだ。
ALDEN オールデン
堅牢な作りと快適な履き心地で
長い時間をかけて経年変化を楽しめる
ドレスシューズの世界でコードバンの名を知らしめた立役者、オールデン。1884年、米国のマサチューセッツ州ミドルボロウでチャールズ・H・オールデンによって創業され、カスタムシューメーカーとしてスタート。歩きやすさや履きやすさを追求し、さらに矯正靴も開発し、独自の整形法によるモディファイドラストを生み出した。
オールデンは歩くための最高級の靴を作るという使命のもと、世界中から最高品質のレザーを収集。代名詞であるホーウィン社のシェルコードバン製のシューズは、堅牢さと美しさを兼ね備え経年変化を楽しめる。アメリカ的な武骨な表情とアーチで足をフィットさせる履き心地、そしてどんな服装にも似合う、深い魅力を持った靴だ。
アメリカ北東部のミドルボロウで創業されたオールデンは、他社が工場の海外移転などでコスト削減を図るなか、米国生産のクオリティーにこだわり、現在の地位を築いた。
「アエラスタイルマガジンVOL.43 SUMMER 2019」より転載
Still Photograph: Shouichi Muramoto
Styling: Tomohiro Saitoh(GLOVE)
Edit&Text: Yasuhiro Okuyama(POW-DER)