腕時計
バーゼルワールド2019
リポート シチズン
2019.07.01
1月のジュネーブサロン(SIHH)に続いて、バーゼルワールド2019がスイスで3月21日~26日に開催された。時計はもちろん、宝飾系ブランドも新作を披露する大規模な国際展示会だが、今年はオメガなどが属するスウォッチグループが不参加。その影響もあって出展社数は減少したが、会場は例年同様の活気が感じられた。スウォッチグループはブランド独自に新作を発表しているので、それらも含めて注目モデルをピックアップする。
世界最高精度「年差±1秒」を誇る腕時計
「ザ・シチズン」3モデルを今秋に発売
昨年、創業100周年を迎えたシチズンでは、これを記念した究極の最高精度「年差±1秒」を備えた光発電ムーブメント(Cal.0100)を開発。コンセプトモデルとして懐中時計を製作したが、早くも今秋に最高峰コレクションの「ザ・シチズン」から3モデルの腕時計が発売される。
標準時刻電波や衛星電波などを受信して修正するのでなく、光さえあれば動きつづける「自律型」では、これまで年差±5秒の「ザ・シチズン」が最高精度だった。それを4秒も上回る世界初のモデルが、創業101年目に市販されることになる。
この圧倒的な高精度は、従来の「音叉型水晶振動子」でなく、その250倍以上の周波数を持ち、温度や重力などの影響に強い「ATカット型水晶振動子」に着目して実現した。この水晶振動子は腕時計で使用するには消費電力が大きすぎるという欠点を抱えていたが、徹底した省電力化によって、この問題を解決。さらに1分に1回の温度変化モニタリングを行って誤差を自動補正するほか、衝撃検知機能・針自動補正機能も装備している。
このムーブメントを搭載した「ザ・シチズン」は、正面から見たときに秒針がピタリと目盛りに重なることが最大の特徴。このため歯車のわずかな遊びも抑制。運針によるズレも完全に制御されている。ダイヤルはアプライド(植字)のバーインデックスで、派手さのないオーソドックスなスタイルだが、「純度の高い1秒」がそれによって際立つという。18Kホワイトゴールドモデル(トップ画像)が世界限定100本。スーパーチタニウム™のモデルは、ブラックダイヤルが500本、白蝶貝モデル(写真下)が200本の限定。
今年はスポーツモデルの「シチズン プロマスター」が誕生30年。その記念として、独自のアナログ水深計付き光発電ダイバーズウォッチなどが世界限定で発売される。
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問/シチズンお客様時計相談室 0120-78-4807
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。