紳士の雑学
夏までに理想のカラダを手に入れる 第6回
ハイボールは太らない? 糖質制限で痩せる?
“正しい食事”の真実とは
2019.07.05
前回は、筋肉を落とさず脂肪を減らすために食事の基本を学んだ藤森氏。3食しっかり食べる重要性や一日の摂取カロリーなどを知り、トレーニング+食生活の改善で夏服が似合う体にまっしぐら……と思いきや、まさかのアメリカ出張1週間が発生。藤森氏いわく、「本格的なトレーニングができないばかりか、レストラン取材などでカロリーオーバーの食事が続きました……」と夢のように楽しかったアメリカ取材から一転、現実に引き戻される。
食事で気をつけるべきはGI値
血糖値が急激に上がると太りやすくなる
帰国後、その足で向かったのは、おなじみ『グリットネーション』。代表の林氏に食べすぎてしまったことを相談する。
「食事のカロリーや栄養素は、一週間のうちでバランスを取ればいいと思います。週に一度くらいは、好きなモノをたっぷり食べる日があってもいい。ただ、一週間ずっとはさすがに(笑)。これからまた、頑張りましょう」と林氏。
ちなみに、好きなモノをたっぷり食べた次の日は、量を減らしてカロリーコントロール。ただし、「食べる回数を減らすのではなく量を減らすこと。前日食べすぎたから翌日は絶食するなど、もってのほかです」とのアドバイスがあった。
実は、藤森氏にはアメリカでの食べすぎをリカバリーするある秘策があった。いまはやりの「糖質制限」にチャレンジすることだ。それを林氏に伝えると、「あまりオススメしません」と渋い顔。「確かに、一時的に体重は落ちますが、デメリットも大きい。糖尿病や病的な肥満で行う糖質制限には意味があります。しかし、健康体の場合、体が飢餓状態になりやすく、やめた途端にリバウンドするケースも多い。それよりも、血糖値を上げない食べ方を工夫しましょう」と続けた。
血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のことだ。食事として摂取された炭水化物(糖質)は、身体内でブドウ糖に変換され血液中に送られ、臓器や筋肉にエネルギーとして吸収される。その際、重要なのがインスリン。インスリンはブドウ糖を臓器や筋肉に吸収させるのを手助けして、血糖値を下げてくれる。つまり、急激に血糖値が上がった場合は大量に分泌されるのだ。このインスリン、血糖値を下げるだけでなく、脂肪をため込む働きもあるので、分泌されすぎると太る原因にもなる。
林氏は、「食品による血糖値の上がりやすさを数値化したのがGI値。糖質量が少なく、消化のスピードの遅い食品ほどGI値は低くなります。体脂肪を増やしたくないなら、やみくもに糖質制限をするより、GI値を意識した食生活を心掛けましょう」と語る。
GI値は厚生労働省も一覧にしているので、食事の参考にするといいだろう。一例を挙げると、精製されている食品は、GI値が高くなりがちと覚えておこう。例えば、米なら玄米よりも白米のほうが、砂糖なら黒糖よりも上白糖のほうがGI値は高い。
「GI値が高い食品を食べるときには、先に食物繊維を取ると糖の吸収が穏やかになります。最近、よく言われる、野菜を先に食べると太りにくい、といった話は、そういった理由で一理あります」と林氏。
藤森氏も「なるほど、GI値を気にしながら食事をすると脂肪が付きにくいのか」と納得の様子。しかし、いまはアメリカでのドカ食いをなかったことにしたい時期。「プロボクサーなどが期間限定で体を絞るとき、筋肉を落とさずに脂肪を減らすには、どういったことに気をつけた食事をしているのか」と尋ねる。
体脂肪を減らしたいなら控えたい
4つのカテゴリーとは?
「体脂肪率が25%を超えてしまうようなら、はずしたほうがいいカテゴリーがあります。それは『乳製品』『甘い物』『油物』『お酒』の4つ。『乳製品』はチーズやヨーグルト、牛乳など。『甘い物』はチョコレートや砂糖、果物。『油物』はオイルだけでなく、アボカドやナッツも。『お酒』は、特にワインや日本酒などの醸造酒。これらは、すべて脂肪になりやすい食品です」
特に注意したいのはお酒だ。よく、蒸留酒は糖質ゼロなので大丈夫といってハイボールを飲む人がいるが、それは一方で正しく、一方では正しくない。林氏によると「確かに、醸造酒よりも蒸留酒のほうが糖質もカロリーも少ない。そういった意味では、蒸留酒のほうが太りにくいというのは正しい認識です。
しかし、それはあくまでお酒単体で考えたとき。お酒を飲むと肝臓はアルコールを分解するので、その間、糖や脂肪は分解されません。結果、体にたまっていきます」とのこと。つまり、締めで食べる脂質と炭水化物たっぷりのラーメンは、ランチで食べるそれよりも太る原因になるのだ。
この話を聞いた藤森氏だが、ひるむ様子はない。なぜなら、彼はお酒を飲まないから。「とりあえず、アメリカ旅行で増えた体脂肪が元にもどるまでは、『乳製品』『甘い物』『油物』『お酒』を控えめにしつつ、GI値を気にしながら食事をします」とのこと。
自炊はしないので、食事は仕事柄コンビニ飯が多い藤森氏。「パンよりもGI値が低いごはん、できれば玄米。おにぎりの具はシャケなどのタンパク質。最初にサラダや野菜たっぷりのスープを食べる。麺類ならうどんやラーメンよりもGI値が低いそば。飲み物は無糖」といった具体的なアドバイスをもらった。
7月に入り、夏は目前。すでに夏服が似合う体になるためのトレーニングと食事方法は学んだ。あとは実践あるのみ。次回、長年の運動不足を解消した藤森氏の体と気持ちに変化が! このチャレンジ、見た目の変化だけでは終わらないかも。乞うご期待。
Text:Tukasa Sasabayashi
Photograph:Naoko Katayama