紳士の雑学

スリーピーススーツを着こなす注意点(スーツの基本 第6回)

2019.07.09

ビジネスマンの勝負服たる「スーツ」を基礎から学ぶこの連載。第6回目は前回の「スリーピーススーツを知る」に引き続きスリーピーススーツを取り上げます。実際に三つ揃えを手に取ってから、身につける際の注意点、並びに上手な着こなしサンプルをご紹介。ひととおり目を通してから姿見で自らのコーディネートを確認して、より充実したスーツライフを送ってください。

<<スーツ基本のき 第1回はこちら

着こなしの注意点って?

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【注意点① シンプルなVゾーンを心がける】
ジャケット1枚の時と比べて、ベストを着るとVゾーンが狭くなります。となると必然的にネクタイの見える面積が減るため、多少派手な色柄のものを選んでもそれほど浮いて見えません。しかし、やはりスリーピーススーツはクラシックで由緒正しいもの。格式の高さを損なわないためにも、節度ある遊びを心がけましょう。具体的には、3色以内の色数のネクタイを締めるなど、基本を外さないほうが無難です。若手のビジネスパーソンであればなおさら華美な装いは避け、シンプルなVゾーンにとどめておくことをオススメします。

【注意点② パンツとのバランスを考える】
ジャケットとベストを重ねることで、上半身に奥行きと重厚感が生まれるのもスリーピーススーツの特徴。ではそれに対して、パンツの印象をどうすべきか。パンツも当然ながら共地のためセットになっているものを着用することになりますが、具体的にはシングルかダブル、どちらの裾処理を選ぶかという点が考えどころです。

裾をシングルにした場合はすっきりと正統派の印象となり、重厚な上半身と対比する形に。逆にダブルで仕立てれば上半身に負けない存在感が生まれ、カジュアルな雰囲気も漂います。簡単に言うとシングルを選んだ場合は上半身×下半身が重×軽、ダブルなら重×重となりますが、どちらもバランスは取れているため好みでOK。いずれにせよ、パンツはたるませず、裾が靴にうっすらかかるくらいの丈に調整しましょう。

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【注意点③ ベストも体型にあったものを選ぶ】
ジャケットとパンツだけでなく、ベストのフィッティングも重要です。三つ揃えのスーツはそもそも各アイテムのサイズが統一されているため神経質になりすぎる必要はありませんが、着丈や身幅はジャストフィットが第一。パンツとの間のシャツが見えてしまうほど短いベストは避けるべきですし、腰回りにゆとりがありすぎるのもシルエットが崩れる要因となります。また、シャツとの間に空間が生まれるとベストが浮いてしまうため、袖周りにも注意が必要です。

とはいえ、既製品では完璧なジャストフィッティングは望めないケースが少なくありません。こだわる場合は、やはりしっかりと体型に合ったスーツをオーダーメイドするのがオススメです。

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【注意点④ ベルトだけに頼らない】
スーツはサイジングが生命線。身体にあったシルエットが肝ですから、ウエストサイズを補正するベルトを着用するとそれだけ厚みが生まれ、せっかくの美しいラインが損なわれてしまうケースがあります。特に胸周りから腰にかけての曲線が特徴のスリーピーススーツの場合、ベルトは避けるという選択肢も。そこで頼りになるのがサスペンダーです。

肩で吊るスタイルであれば腰回りの余分な厚みを回避できますし、ベストにサスペンダーが隠れる分、変に目立つ心配もありません。最近ではアジャスターのついたベルトレスのパンツも再び脚光を浴びていますが、そうでなくともシルエットを損なわずにパンツを履くことができるサスペンダーは、特にオススメしたいアイテムです。

お手本コーディネイトをチェック!

ここからは実際にスリーピーススーツのコーディネイトを幾つか紹介し、正統派かつオシャレに着こなすポイントを探っていきます。ネイビー、グレー、ブラウンとビジネスシーンにおける定番カラーごとに見ていきましょう。

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【①王道の魅力。ネイビースリーピーススーツ】
清潔感があり、フレッシュなネイビーのスリーピーススーツは、同時に誠実なイメージを持ち合わせます。それらを最大限に享受すべく、無地の三つ揃えのカラーを軸にシャツとタイにもブルートーンを採用。グラデーションが美しく、奇をてらわない王道の魅力も湛えます。ジャケットのチェンジポケットなど、英国的なクラシックディテールも正統派な印象をさらに際立たせてくれるでしょう。

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【②シーンを選ばないグレースリーピーススーツ】
ウインドーペンのチェックが入ったグレーのスリーピーススーツ。こちらも英国的なオーソドックスな1着ですが、爽やかなブルーのシャツとも相性抜群です。シャツに嫌味なく色を取り入れることで、グレーカラー持ち前の知的な印象に加えて若々しさを後押ししてくれます。同系色のほか、黄色をワンポイントで効かせたレジメンタルタイを使い、バランスを取っているのもポイント。洒落感がありながらもシーンを選ばない、上品なコーディネイトです。

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【③さらにクラシカルに。ブラウンスリーピーススーツ】
スリーピーススーツをよりクラシカルに楽しみたいなら、素材感のあるベージュカラーで重厚に着こなすのも選択肢に。色味の濃いスーツの場合は30代のビジネスパーソンには若干トゥーマッチに感じられるかもしれませんが、青みを感じるパープルを取り入れることでヌケ感が生まれ、ファッショナブルな表情に。この場合、靴はブラックではなく同じく茶系のものを選んで統一感を持たせましょう。

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【④ちょっと冒険。モダンなスリーピーススーツ】
最後に、少し遊びの効いた提案を。定番のスーツスタイルからはやや外れますが、リジッドのインディゴデニムを使った変化球コーディネイトです。デニムと同系色の深みあるネイビージャケット&ベストでスーツライクに見せながら、デニムシャツ&ネイビータイで統一感のある見た目を助長。あえてベルトをすることで、カジュアルならではの余裕を表現しています。もちろん、サイジングはすべてジャストにまとめることが重要です。

まとめ

①スリーピーススーツは、シンプルに着るのが大原則。

②胸から腰にかけてのシルエットが大事。サスペンダーも選択肢に。

③カジュアルシーンを想定すれば、着こなしの幅はさらに広がる。

<<スーツ基本のき 第5回はこちら

Edit:Naoki Masuyama,Masashi Takamura
Text:Naoki Masuyama

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