調べ・見立て(見立て)

編集長の「見立て」。
クールビズ、15年目の夏。上着とネクタイの新常識は!?

2019.07.17

山本 晃弘 山本 晃弘

 クールビズ01

着こなしを解説するトークイベントなどでクールビズについてお話しするときに、必ず申し上げることが2つあります。まず、クールビズの「クール」には「涼しい」の意味と同時に「カッコいい」の意味もあったのだという点。涼しくとも、カッコ悪いのでは意味がありません。次に、涼しさを感じるべきなのは自分自身ではなくて、仕事相手であるという点。仮にあなたがノータイでミーティングに臨んだとして、ミーティングの相手に汗をかいた胸元が見えてしまい、「暑そうですね」などと言われるようでは本末転倒です。

2005年のクールビズからスタートして15回目の夏。ビジネスマンの着こなしに関する現状の意識は、どのようになっているのでしょうか。今年のクールビズがスタートしたばかりの時期にアエラスタイルマガジンWEBでアンケート調査を行いました。

まず、「クールビズの季節にスーツの上着を着用しますか?」と尋ねました。「着用する」と「着用しない」の数字が拮抗しています。そして、「社外の打ち合わせなど必要なときだけ着用する」と回答したビジネスマンも、ほぼ同じ割合となっているのです。

ここに、ニッポンのビジネスマンの「賢さ」が見て取れます。クールビズの習慣が始まったばかりのころは、「上着を着るのか、着ないのか」といった論争がありました。そして多くのビジネスマンは、「会社のルール」あるいは「上司からの指導」といったお仕着せのルールで、着るか着ないかを決めていたのです。それがいまでは、そういったオール・オア・ナッシングの発想ではなく、臨機応変に着るか着ないかを自分自身で判断しています。

 クールビズ02

「クールビズの季節にネクタイを着用しますか?」といった質問に対する回答からも、似たような傾向がうかがえます。上着を「着用する」と回答した32パーセントには及びませんが、ネクタイを「着用する」と回答したビジネスマンは26パーセントにも上りました。もちろん、ニッポンの夏が暑いのはまぎれもない事実。ネクタイを「着用しない」ビジネスマンは50%と高い数字です。ただ、「社外の打ち合わせなど必要なときだけ着用する」という回答が24パーセントもありました。

では、上着もネクタイも、何を基準に「必要なとき」を考えればいいのか。まずは、仕事上のお客さまと会うアポイントメントがあるかどうか。これで決めるのがわかりやすいでしょう。そして、相手のお客さまがどのような装いをしているかを想像することも大切です。例えばカジュアルな装いのスタートアップ企業を訪れるときに、あまりにもカッチリと上着もネクタイも着用していくと、反対に礼を失する場合があるからです。ビジネスの着こなしは、常に相手を思いやって。いつも、これが基本です。

Photograph:Osami Watanabe
Styling:Masayuki Sakurai,Akihiro Mizumoto
Hair & Make-up:Masayuki(The VOICE)

プロフィル
山本晃弘(やまもと・てるひろ)
AERA STYLE MAGAZINE
WEB編集長 兼 エグゼクティブエディター

「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年に編集長として「アエラスタイルマガジン」を創刊。ファッションやライフスタイルに関するコラムを執筆する傍ら、幅広いブランドのカタログや動画コンテンツを制作している。トークイベントで、ビジネスマンや就活生にスーツの着こなしを指南するアドバイザーとしても活動中。2019年4月にヤマモトカンパニーを設立し、現職に就任。執筆書籍に、「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」がある。

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