紳士の雑学
腕時計の各パーツの名称を覚えると時計選びが楽しくなる!
知っておきたい時計の種類①
2022.10.06(最終更新:2023.09.15)
時計の種類の前に!押さえておきたい基本名称
上質な腕時計は大人の男の必需品です。しかし、ブランドも種類は数多く、価格帯もさまざま。知識がないと何を基準に選べばいいかわかりませんし、気軽に買うにはいささか値が張るため、購入を悩んでいる人も多いのでは? しかし、基本さえ知れば、自分に合った腕時計がわかってくるはずです。ここでは、そのために腕時計の機構や機能、デザインについて学んでいきましょう。その前に、腕時計の部位名称を頭に入れておくとスムーズです。
【リューズ】
漢字で竜頭と書きます。時計の横にあるツマミで、これを回すことでゼンマイを巻き上げたり、時間や日付の調整をします。
【ベゼル】
枠という意味で、時計の風防を囲むパーツです。ベゼルの形状で時計全体の雰囲気が大きく変わりますし、ベゼル自体に機能を持たせたモデルもあります。
【風防】
時計の文字盤を覆うカバーのことを指します。ガラス製やプラスチック製のものが多いです。
【ケース】
ムーブメントなどを収める時計本体部分を指します。ステンレススチールなどを使って頑丈に作られており、防水性を高めるための工夫がなされたものもあります。
【文字盤】
ダイヤルとも呼ばれるており、時刻を表示する数字や目盛りが記されています。時計の顔とも言えるパーツで全体の印象に大きく影響します。
【インダイヤル】
文字盤の中に配された小さなダイヤルのことを指します。秒針やストップウォッチ機能などが割り当てられています。
【インデックス】
文字盤の上に記されている数字や目盛りのことです。様々な種類があり、時計のデザインの重要な要素となっています。
【ムーブメント】
時計の心臓部となる部分で時計を正確に動かすための機構が詰まっています。自動巻き、手巻き、クォーツなど、いくつかの駆動方式があります。
時計の種類①ムーブメント編
腕時計を選ぶ際にまず押さえておきたいのが、時計を動かす心臓部であるムーブメントの種類です。機械式とクオーツ式の2種類に大きく分かれており、それぞれ異なる特性があるため、使い勝手が変わってきます。機構の違いを理解して自分に合った1本を見つけましょう。
【機械式時計とは】
まずは機械式時計の構造を知っておきましょう。機械式時計とは、その名の通り、電池などに頼らず、数多くのパーツを組み合わせることで、機械の力のみで時間を刻む時計のことです。腕時計の最も基本的な駆動方式で長い歴史を持っています。
具体的には、金属製の帯を渦状に加工したゼンマイを巻き上げ、それが元に戻ろうとする時の反発力を動力源として時計の針を動かしています。しかし、それだけだと巻き戻るスピードが安定しないため、脱進機という仕組みにより、一定の速度で正確に歯車が動くように工夫されています。
■手巻き式と自動巻き式がある
機械式時計の中でも方式が2つに分かれており、手巻き式と自動巻き式が存在します。手巻き式は、その名の通り、ゼンマイを手で巻き上げることで駆動エネルギーを蓄えます。一方、自動巻き式は、ローターという重りが内蔵されており、腕を動かすたびにローターが回転し、自動的にゼンマイを巻き上げます。ゼンマイの巻き上げ方が異なるだけで、どちらも基本的な機構は同じです。
機械式時計を選ぶ際に気をつけておきたいのが、パワーリザーブ。ゼンマイを巻き上げてから稼働しつづけられる時間のことを言います。モデルによって異なりますが、40〜48時間程度のものが多く、3〜10日間も動きつづけるロングパワーリザーブと呼ばれる機能を搭載したものもあります。
【クオーツ式時計とは】
クオーツ式時計のクオーツとは水晶のこと。水晶に電圧をかけると、一秒間に32,768ヘルツという一定の周期で振動する特性を利用して高い精度を実現しています。この仕組みは水晶振動子と呼ばれています。電圧をかけるために電池が必要となるため、実質的には電池が動力源となります。
電圧をかけられた水晶振動子の振動は、ステップモーターという電子回路を通して電気信号に変換されます。さらにそれを回転運動に変えることで、歯車を動かし、時を刻みます。クオーツ式時計は精度が非常に高く、特に高精度なモデルでは、1年に数秒の狂いしかありません。
クオーツ式時計は、電池が動力源のため、電池が切れたら交換する必要があります。しかし、近年では機械式同様にゼンマイやローターを利用して発電する自動巻きタイプや太陽電池式のものも登場しています。
クオーツ式時計にも種類があり、文字盤と針を用いた旧来のアナログ式、液晶パネル表示のデジタル式、双方を用いた複合式などがあります。そんなクオーツ式時計ですが、歴史は新しく、1969年に日本の時計メーカーが世界で初めて製品化に成功しました。
【機械式時計のメリット・デメリット】
歴史の長い機械式時計ですが、メリットもデメリットもあります。ただ、使う人によってその受け取り方が変わってきますので、特徴のひとつととらえておいた方がいいかもしれません。
■機械式時計のメリット
機械式時計のメリットは何といってもそのステータス性にあります。高級腕時計と位置づけられるものは、多くが機械式時計であり、クオーツ時計は製造しないメーカーもあります。また、多くの機械式時計が熟練した時計職人により設計・組み立てがなされており、そのクラフツマンシップこそが多くの人を魅了しています。
一方、無数の緻密なパーツが一体となって正確に時を刻む様子にロマンを感じる人もいます。さらに、機械式時計は電子部品を使っていないため、メンテナンスさえほどこせばずっと使いつづけることができるのも魅力です。そのため、何十年も前に作られたアンティーク時計が重宝されていますし、子供に受け継ぐこともできます。
■機械式時計のデメリット
デメリットはやはり、クオーツに比べて精度が劣ることでしょう。普通に使っていても、1日に±20秒ほどのズレが出てしまいます。また、手巻きの場合はゼンマイを巻く手間がかかります。しかし、機械式時計が好きならば、その作業自体に喜びを見いだせるでしょう。また、全般的にクオーツよりも高価であることも人によってはデメリットです。
しかし、これは職人が手作業で組み立てるなど、手間ひまがかかっているから。時間あたりの生産本数が少なくなるため、どうしても価格が上がってしまうのです。先ほどメンテナンスさえすれば長く使えると書きましたが、ちゃんとコンディションを維持するには、数年に一度、オーバーホールというメンテナンスをおこなわなくてはなりません。時計を分解して掃除するのですが、この作業にはものによって数万〜数十万円の費用がかかります。部品交換が必要な場合、費用はさらに膨らみます。
【クオーツ式時計のメリット・デメリット】
■クオーツ式時計のメリット
クオーツ式時計のメリットは圧倒的な精度の高さです。機械式時計が1日に数秒ズレるのに対して、クォーツ式時計は月、あるいは年に数秒というズレにおさまります。何よりも時計に正確さを求めるのならば、クオーツ式に軍配が上がります。
また、機械式時計に比べて構造が簡単なため小型化できるうえ壊れにくいというメリットもあります。さらに大量生産が可能なため、価格がリーズナブルに抑えられる点も魅力です。電池が切れたら交換する必要がありますが、一度交換すれば数年は持つうえ、オーバーホールすることに比べればランニングコストは大幅に抑えられるでしょう。
■クオーツ式のデメリット
一方デメリットは、クオーツ式時計の電子回路には寿命があるため、いずれ使えなくなる可能性があります。 そのため、一生ものとして思い入れを持って使いつづけるのは難しいかもしれません。また、時計好きからするとクオーツ式時計はどうしても下に見られがちで、ステータスを主張するには難があるのも事実です。
【機械式時計とクオーツ式時計どちらを選ぶ?】
機械式時計とクオーツ式時計の違いを見てきて、どちらを選びたいと思ったでしょうか? アナログなプロダクトや職人技の世界にロマンを感じる人、ひとつのものを愛着を持って長く使いつづけたい人、ステータスをアピールしたい人などには、機械式時計が向いているかもしれません。
一方、時間さえ正確にわかればいい、時計にあまりお金をかけたくない、トレンドに合わせて時計もどんどん付け替えたいという人にはクオーツ式がオススメです。もちろん、シーンや気分に応じて、両方を使い分けるのもありです。
【近年になって出てきた時計の種類】
腕時計の世界も日進月歩しており、近年では従来の機械式やクオーツ式とは異なる新しい機構を備えたモデルも登場しています。動力源はゼンマイ、精度のコントロールはクオーツと両者のいいとこ取りをした機構を採用したモデルもありますし、正確な時刻情報を受信して時刻を修正することでクオーツ時計以上の精度を実現した電波時計やGPS時計もあります。とにかく精度を求める人や先端技術に興味のある人は、選択肢に入れておいてもいいでしょう。
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Photograph:TAG Heuer
Text:Tetsu Takasuka