接待と手土産

すべて実食! 自慢の手土産。#31
「紫野和久傳」のれんこん菓子 西湖

2019.08.13

すべて実食! 自慢の手土産。#31<br>「紫野和久傳」のれんこん菓子 西湖

ひんやり冷たくて、もちもち、つるんの夏の爽やかな贈り物。

筆者にとって夏の手土産といえば、紫野和久傳の「れんこん菓子 西湖(せいこ)」の竹籠入り。一年を通して販売されているが、登場頻度が最も多いのはなんと言っても夏。取引先への手土産はもちろん、親類へのあいさつや友人宅への差し入れなど、誰に贈っても喜ばれる安定感抜群のお菓子だ。

竹籠に笹という外観がなんとも涼しげだ。同時に老舗の高級和菓子という風格がにじみ出ている。蓮粉と和三盆糖で作られたこのお菓子。竹皮をほどいて笹の葉を開くと、プルプルとして見るからに柔らかそうな、黒光りする和菓子が顔を出す。冷やして食べると口の中がひんやりと冷たく、続いてほんのりした甘さが広がってくる。食感はもちもちで、つるんとのど越しもよく、一気にうっとうしい夏の暑さを吹き飛ばしてくれるのだ。

京都・東山の高級料亭「高台寺和久傳」の流れをくむ「紫野和久傳」は、料亭の味を家庭でも楽しんでほしいという思いから作られた“おもたせ”のための店。それを代表する「れんこん菓子 西湖」は、蓮粉を和三盆糖と和三盆糖蜜で練り上げ、2枚の生笹で包んだ生菓子。わらび餅にも似ているが、食感がひと味違う。もっと柔らかく、その反面ねばりは強い。保存料は一切使用せず、100%天然の味。和三盆の嫌みのない甘みも上品で、本当に幸せになる。

口に入れたとたん鼻を抜ける笹の香りも心地よい。一本一本丁寧に笹でくるんで竹皮で結ぶという巻き方にもこだわりが詰まっている。粽(ちまき)のようにしっかりと結んでしまうと、どうしても独特の柔らかな食感が失われてしまう。試行錯誤を重ね、葉物の野菜を束ねるような現在の方法に落ち着いたのだそう。微妙な手加減が必要なため、どうしても機械化できず、いまもひとつひとつ手作りしているという。

季節感を感じさせてくれる手土産には、いつもの手土産よりもワンランク上のうれしさがある。日本の四季折々に合った品を贈ってこそ、手土産の上級者だ。

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紫野和久傳 丸の内店
東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル1階
営業時間/10:30~19:00(茶菓11:00~17:30 L.O. 17:00)
定休日/無休 ※元日のみ休業
価格/10本入り3888円、15本入り5508円 ※価格は税込み
問/03-3240-7020
http://shop.wakuden.kyoto

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Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT)
Styling:Keiko Katanozaka
Edit & Text:Mayo Morino

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