旅と暮らし
台北イチ優雅なホテルでは、広東料理が絶対に見逃せない!
2019.08.16
Mandarin Oriental, Taipei
マンダリン オリエンタル 台北/台湾 台北
台北に着いて30分で、いきなり広東料理のフルコース
先日、約5年ぶりに「マンダリン オリエンタル 台北」に宿泊した。主な目的は前回(オープン直後の2014年)は訪れなかった広東料理レストラン「ヤグ(Ya Ge)」へ行くこと。2018年から2年連続でミシュランの一つ星を獲得し、台北の友人からの評価も高い店で気になっていたのだ(なぜ、前回食べなかったのか!)。
さて、ANAで羽田を出て台北松山空港に12時30分着。そこからタクシーで「マンダリン オリエンタル 台北」へ向かったのだけれど、ものの5分でホテルに到着! こんなに空港から近い五つ星ホテルは珍しく、初っ端から楽すぎる。ただでさえ日本から近い台北が、より身近に感じるはずだ。
エントランスに入ると5万個のクリスタルを使用した巨大シャンデリアが頭上で輝き、一瞬で別世界へ来た気持ちに。直径4m、重さは1.4t、チェコ出身のアーティストによる大作が、到着したゲストを夢心地に導いてくれる。このシャンデリアに限らず、ホテルには1700点以上ものアートがそろい、館内を歩くだけで美術館ツアーのような楽しさがある。
レセプションで荷物を預けたら、さっそく「ヤグ」でランチだ。2度目にして改めて「マンダリン オリエンタル 台北」は美しいと実感していたところ、「ヤグ」でもエレガントな世界観は続く。聞けば館内の3つのレストランのデザインはトニー・チーが手がけたとのこと。さすがはホテルデザイン界の雄、安定して格好いい。
広東料理「ヤグ」ではランチ限定で点心のコースがあり、そちらをオーダー。一品目に、さっそく蒸籠が登場する。中にはプリプリ食感の海老が入った焼売や、透き通ったもちもちの皮で包まれたトリュフ肉まん、トマトの小籠包など、モダンさも加味された3種の点心。
いずれも餡(あん)が肉感たっぷり、かつジューシーで、点心を単品でお代わりしたいくらい。うま味とともに熱々な蒸気を秘めた点心に、よく冷えたシャンパンを合わせれば温度差も最高だ。ああ、やっぱり腸粉(チョンファン)も食べるべきだった!
続けて感激したのが衣笠茸(キヌガサダケ)のスープ。鶏やハムから取っただしが滋味深く、薬膳の香りもする。要はめちゃくちゃおいしく、そのスープをぎっしり吸った衣笠茸がこれまた絶品である。衣笠茸もとろける食感の白菜も、食べるスープのようだ。
家に帰りたくなくなるほどの、広さと優雅さ
ランチを終えるとチェックインにちょうどいい15時。客室の美しさを知っているので、安心感を胸に部屋に入った。
256室ある客室はすべて55㎡以上というゆとりの広さで、天井も高く、バスルームは総大理石。ディプティック製の香りのよいアメニティにふかふかのスリッパ、ハイテクなデジタル設備etc.、すべてのディテールまで抜かりなし。特にバスルームとクローゼットのゆとりに優雅な気分になれる。この洗練さと広さで1泊3万円台前半(!)とは、週末トラベルの意義は多いにあるだろう。
夜ごはんは外で食べて、翌日はチェックアウト後にアフタヌーンティー。1泊しかしなかったものの、24時間以上はホテル内にいた。アフタヌーンティーを楽しむ「ザ ジェイド ラウンジ」にもすてきなシャンデリアがあり、巨大な背もたれが付いた椅子も日本ではなかなか見られないデザインだ。あの椅子に座ったら、つかの間、自分のキャラも上品になりそう。
アフタヌーンティーじゃないにしても、ぜひこのラウンジで一度はゆっくりしていただきたい。空間の気持ちよさとは、広さや豪華さだけではなく、全体のバランスが重要なのだと実感するコーディネートだ。アジアの大都市に合った洋式のインテリアとは何かも見ることができる。
オープンまでに8年を費やしたホテルだけあって、流れる空気がゆるやかでエレガント。2回目のほうが“いいホテルだな”という思いが強くなったのは、美味しさと安らぎをじっくり感じられたからだろう。やっぱりどのホテルでも、一度は時間に追われないお茶の時間をもつべきなのだ。
1泊約¥32,000〜(季節・レートにより変動)
+886-2-2715-6888
マンダリン オリエンタル ホテル グループ 日本リザベーションオフィス
0120-663-230
www.mandarinoriental.co.jp/taipei/
プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、年に10回は海外に渡航。タイ、スペイン、南米に行く頻度が高い。最近のお気に入りホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE HOTEL」。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。