旅と暮らし

あのボビー・ブラウンとベル・ビヴ・デヴォーが新グループを結成
ヒット曲やニュー・エディションの曲も聴けるであろうぜいたくな夜

2019.08.29

内本順一 内本順一

あのボビー・ブラウンとベル・ビヴ・デヴォーが新グループを結成 <br>ヒット曲やニュー・エディションの曲も聴けるであろうぜいたくな夜

ボビー・ブラウンとベル・ビヴ・デヴォーが組んだユニット「RBRM」が、10月に来日公演を行う。RBRMは、ロニー・デヴォー、ボビー・ブラウン、リッキー・ベル、マイケル・ビヴィンスの頭文字を並べた名称。なぜボビーのBから始まらないのか、BRRMのほうがわかりやすくないか、いやいっそブラウン、ベル、ビヴィンス、デヴォーと並べてBBBDにしたほうが覚えやすかったんじゃないかと思わなくもないが、それはともかく80年代後半から90年代序盤にかけて一世を風靡(ふうび)した跳ねるようなビートのダンスR&Bに夢中になった人たちにとって、これがたまらないショーであることは間違いない。

念のため書いておくと、ボビー・ブラウンとビル・ビヴ・デヴォーは米マサチューセッツ州ボストンで1978年に結成されたR&Bグループ、ニュー・エディションから飛び出したソロアーティストとトリオ。ニュー・エディションはこの4人にラルフ・トレスヴァントを加えた5人でスタートし、ボビーが80年代半ばに離脱したあとはジョニー・ギルが加入したが、1990年にグループとしての活動をひとまず終えた(その後、1996年に再結成するもツアー中にロニーとボビーが衝突して再決裂。2002年にボビー抜きでまたツアーを始めて2004年に6枚目のアルバムを出し、2011年には結成30周年ツアーを行ったりもした)。

ニュー・エディションを離れて87年にソロ・デビューしたボビー・ブラウンはあっという間にスーパースターの座に上り詰めた。88年発表のアルバム『ドント・ビー・クルエル』はビルボードのアルバム・チャートで堂々1位を記録。まだキャリアをスタートさせて間もなかったLA&ベイビーフェイスやテディ・ライリーをプロデュースに起用したこのアルバムは1000万枚以上を売り上げ、「ドント・ビー・クルエル」「マイ・プリロガティブ」(この曲はブリトニー・スピアーズがカバーした)、「ロニ」「エブリ・リトル・ステップ」「ロック・ウィッチャ」が次々トップ10ヒットに。なかでも「エブリ・リトル・ステップ」は日本でTBCのCMに使われ、それがボビーのダンスシーン込みのものだったことからそのダンスをまねする若者が多数出現。テディ・ライリーがメイン・プロデューサーとなった92年発表の傑作『BOBBY』からも「ハンピン・アラウンド」がラジカセのCMに使われて大ヒットした。

90年代初頭までのボビーは、日本ではそれこそお茶の間レベルで浸透していた“踊って歌う”スーパースター。というのも、日本テレビ『天才・たけしの元気がでるテレビ!!』の名物コーナー『ダンス甲子園』で若者たちが躍るための曲として「エブリ・リトル・ステップ」がフィーチャーされ、そのステップは“ボビブラステップ”などと呼ばれたほどだったから。またステップのみならず髪形やファッションもボビーのまねをするダンサーやその卵が急増し、“ボビ男”という呼び方が生まれたりもした。だが、92年にホイットニー・ヒューストンと結婚してからはドラッグやドメスティック・バイオレンス、交通違反といった不祥事をたびたび繰り返してファンの信頼を失うことに。もともとニュー・エディションの脱退も素行不良が原因だったが、その行きすぎたバッドガイぶりが改善されることはなく、それが妻と娘の死という最悪の結果にもつながることとなった。

一方、ジミー・ジャムとテリー・ルイスの提案によって90年に結成されたベル・ビヴ・デヴォーは、ヒップホップとR&Bを混ぜた同年のデビュー・アルバム『ポイズン』から「ポイズン」「ドゥ・ミー!」「B.B.D.?」が続けて大ヒットし、ニュージャックスウィング(テディ・ライリーが発案したブラック系ダンス音楽のスタイルのひとつで、はねるリズムや重いベースラインが特徴)の代表格的なグループに。その『ポイズン』含め、2001年までに3枚のオリジナルアルバムを発表し、その後もツアー活動を継続。またニュー・エディションの何度かのリユニオンでも常に三人が中心となり、栄光を過去のものにしなかったところが立派なところだ。

また近年は、当代きってのスーパースター、ブルーノ・マーズがライブでベル・ビヴ・デヴォーのヒット曲「ポイズン」をカバーしたり、アルバム『24K・マジック』に同曲のビート構成をもとにした「フィネス」というニュージャックスウィング曲を収録して敬意を示したこともあり、再び彼らにスポットが当たることに。そんな時代の流れもあって2017年には16年ぶりにアルバム『スリー・ストライプス』をリリースした。

自身の将来に対して前向きになったボビー
新曲「Like Bobby」も発表して気合十分

さて、そんなビル・ビヴ・デヴォーとボビー・ブラウンがなぜまたここにきて一緒にグループを始めることになったのか。ブルーノ・マーズの活躍でニュージャックスウィングが再注目されたことも遠因としてあっただろうが、それよりも2017年に米国BETで放映された『The New Edition Story』という番組の反響が大きく、さらにその続編的なテレビ映画『The Bobby Brown Story』(“セックス&ドラッグ&ロックンロール”ならぬ“セックス&ドラッグ&R&B”が描かれている)が昨年放映されて、これまた大きな反響を得たことが大きかったようだ。ボビーは2016年に回想録『Every Little Step: My Story』を出版し、それがセラピーとなって自身の将来に前向きになれたと語っていたらしい。その気持ちの表れとして、彼はテレビ映画に合わせ、テディ・ライリーとベイビーフェイス制作による新曲「Like Bobby」を発表。そして「Ladies Night R&B Super Jam」というイベントで久々にベル・ビヴ・デヴォーと共演を果たし、それがきっかけでRBRMとしてツアーを行うことになったようだ。

ちなみに元ニュー・エディションのメンバーとしては、現在ジョニー・ギルとラルフ・トレスヴァントのふたりが組んで動いており、ジョニー・ギルの新作『Game Changer II』からの先行曲「Perfect」はラルフ・トレスヴァントをフィーチャーしたもの。これがつい先ごろ発表されたばかりだ。このように2つに分裂したニュー・エディションが、この先ひとつにまとまるときが来るのかどうかは神のみぞ知るといったところだが、いまは互いにライバル心を燃やし、いい作品につながるならばそれも良きこと。思えば約10年前にボビー・ブラウン、ジョニー・ギル、ラルフ・トレスヴァントの三人がそろってビルボードライブに出演したこともあったが、そんな日があったこともチラと心にとめつつ、今回のRBRM公演に期待したい。ボビー・ブラウン、ベル・ビヴ・デヴォー、両者のヒット曲に加え、きっとニュー・エディションの曲も聴かせてくれることだろう。

プロフィル
内本順一(うちもと・じゅんいち)
エンタメ情報誌の編集者を経て、90年代半ばに音楽ライターとなる。一般誌や音楽ウェブサイトでCDレビュー、コラム、インタビュー記事を担当し、シンガーソングライター系を中心にライナーノーツも多数執筆。Note(ノート) https://note.mu/junjunpaでライブ日記などを更新中。

公演情報
RBRM
Ronnie, Bobby, Ricky & Mike
ロニー・デヴォー / ボビー・ブラウン / リッキー・ベル / マイケル・ビヴィンス

【大阪公演】

公演日/2019年10月11日(金)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30
2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
料金/サービスエリア 1万8500円 カジュアルエリア 1万7500円
問/06-6342-7722
所在地/大阪府大阪市北区梅田2-2-22 ハービスPLAZA ENT 地下2階

【東京公演】
公演日/2019年10月15日(火)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30
2nd Stage Open 20:30 Start 21:30

料金/サービスエリア 1万8500円 カジュアルエリア 1万7500円
問/03-3405-1133
所在地/東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガーデンテラス4階

その他詳細は下記よりご確認ください

http://billboard-live.com/
  

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