カジュアルウェア
ファッショントレンドスナップ53
6月のピッティで見つけた夏トレンド!!
第5回「フィレンツェ美女図鑑。実はメンズのトレンドが隠れている!?」
2019.09.04
ピッティはメンズファッションの国際見本市ですが、実はそこに来ている人を見ていると女性がかなりいることに気づきます。というか、男子校の文化祭に女性がやってきた!!という感じでかなり目立っています。小生も男性のスナップを撮るよりは、女性に声をかけて撮影するほうが楽しいと言うのが本音です。
ということで、今回のトレンドレポート最終回はピッティ ドンナ(イタリア語の女性)のスナップで締めくくりたいと思います。ただかわいい方をスナップしただけではなく、次期のメンズのトレンドを予感させるアイテムや色柄を採り入れている美女を厳選してピックアップしていますので!!
まずは、このお二人から。皆さんのお好きなタイプはどちらですか? お〜っと、そちらに脱線してはいけませんね。どこにメンズのトレンドがあるのかでした。
まずは左のマダムのパンツのベルトにご注目を。ベルトの先が、長くブラブラとしていますね。このベルト垂らしは、最近のモードブランドによく見られるようになったテクニックで、メンズではパンツと別素材の革やベルクロなどのベルトをこんな風にブランブランさせています。
7~8年くらい前にピッティでもウェスタンベルトやメッシュベルトの先を垂らすのがはやりましたが、それのリバイバルともいえます。右のマダムは、かなりアメリカ的なカジュアル系のアイテムを、白のジャケットを羽織ることでちょっぴりエレガントなイメージに仕上げています。
6月のピッティ会場でも白ジャケットは完全復活していて、来年の春夏はその波が日本にも押し寄せるはず。もちろんメンズの場合の着こなし方はこのマダムとは違いますが、足元を白スニーカーで軽く仕上げるのは男女共通。
このマダムはいったいどこにメンズと共通するトレンドがあるのでしょうか? 答えはこの大きなストライプ。シャツ生地で、ロンドンストライプというかなり間隔の空いた太いストライプがありますが、それよりも倍率が大きくなったストライプがメンズでも注目されています。
さすがに男性はシャツでは取り入れられにくいので、ピッティ会場内ではスプリングコートやジャケットでデカ目ストライプを使っているのをよく目にしました。
このマダムの場合は「私のお好みなのでお許しください……」とつい言いそうになりましたが、この方にも男女共通のトレンドが隠されています。かなり無理があるかもしれませんが、生地がリゾート風プリント、レトロな花柄プリントだというところです。
さすがに女性ものと同じような花柄は無理にしても、ハワイアンシャツに使われるような花柄は、今年のメンズのシャツにも採り入れられていますから。来年は、このマダムのドレスのような下地が黒の柄プリントは、シャツやパンツに多用されるはずです。
ラストのこのマダムは頭の先からつま先まで白を使っていてもぼやけない、エッジの利いたスタイリングですね。実は、この全身まっ白コーディネートはピッティに来る男性陣もよくする定番パターンなのですが、このマダムはそこに、新しいストリートファッションのアイテムをプラスする事でスパイスを効かせています。
それは、足元にちらっと見えるスポーツサンダル。白ベースですが、足の甲のストラップにネイビー&レッドが使われ、ソールは最近のスニーカーでよく見る厚底でギザギザライン付きです。メンズでもこうしたサンダルは、イタリアではモードブランドを中心に既に出回っていますが、日本では来年夏くらいにブレークするはずです。
白のコットンか麻のセットアップスーツにインナーをTシャツにして、足元をこのマダムの様なスポーツサンダルというスタイリングを個人的にはやってみたいですね。
さてさて、この辺で2019年6月のピッティレポートは終了。
次回は秋冬に買い揃えるべきアイテムをスナップから拾ってみたいと思っています。
乞うご期待を。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi