紳士の雑学

手巻き? 自動巻き?
機械式時計の仕組みと魅力を徹底解説!

2019.09.10

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タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー01 クロノグラフ¥585,000

機械式時計とは?クオーツ式との違いは?

こだわりを主張できるワンランク上の腕時計が欲しいと思ったなら、必然的に機械式時計が選択肢に挙がってくるはずです。しかし、どうしてもクオーツに比べると精度が劣るうえ、高額になってしまうのも事実。それにもかかわらず、なぜ機械式時計が今なお多くの人から支持を受けているのでしょうか? ここで解説する機械式時計の魅力を知れば、その理由をお分かりいただけることでしょう。

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【機械式時計の仕組み】
機械式時計はその名の通り、さまざまなパーツを複雑に組み上げた機械的な構造によって時間を刻む時計のことです。少し難しいですが、機構を知ることで、機械式時計がさらに魅力的に見えてくるはずです。

まず、時計を動かす心臓部ともいえるパーツのことをムーブメントと呼びます。機械式時計では、その動力源がゼンマイです。リボン状の金属製ゼンマイを巻き上げてエネルギーを蓄え、それが元に戻ろうとする力を利用して時計の針を動かします。

しかし、ただゼンマイを巻いてほどくだけでは、ゼンマイ仕掛けのおもちゃのようにすぐに止まってしまいます。そうならないために、機械式時計の中にはいくつかの特殊な機構が組み込まれています。

「巻き上げ機構」によって動力を蓄えられたゼンマイは、複数の歯車を並べた「輪列機構」に動力を伝え、針を動かします。この時、ゼンマイが一気にほどけてしまわないようにスピードを調節するのが「脱進機構」です。「脱進機構」は一定の速度で伸縮するヒゲゼンマイとそれにともなって回転運動をおこなうテンプというパーツからなります。

「脱進機構」はガンギ車とアンクルと呼ばれるパーツからなる「調速機構」に連結しています。「調速機構」は、一定の速度で往復するアンクルがガンギ車の回転に等間隔でストップをかけることで、「輪列機 構」の動きを一定に制御します。この4つの機構が機械式時計の基本的な仕組みとなります。

ちなみに、これらの時計機構の歴史は意外に古く、ドイツ人のピーター・ヘンラインが16世紀頃に発明。19世紀初頭に天才時計師、アブラアン‐ルイ・ブレゲが小型化に成功し、腕時計の原型を作ったと言われています。それ以来、ほぼ変わらずに基本的な機構が受け継がれているところにも機械式時計ならではのロマンが感じられます。

【クオーツ式時計との違い】
機械式時計は未経験でもクオーツ式時計は使ったことがあるという人も多いでしょう。外からの見た目はさほど変わりませんが、基本的な機構はまったく異なりますし、特性も大きく違います。両者の違いを知っておくことで、それぞれの持ち味をより深く理解することができます。

まず、機械式時計では動力源がゼンマイですが、クオーツ式時計は電池を動力源としています。電池から得られる電気エネルギーは、クオーツ式時計の名前の由来にもなっている水晶振動子に電圧をかけるために使われます。水晶は電圧をかけると1秒間に32,768回という細かい一定の振動を発します。それをステップモーターという電子回路によって電気信号に変換し、一定速度で針を動かす力に変えるのです。機械式時計でいえば、水晶振動子が調速機構、ステップモーターが脱進機構の役割を果たすというわけです。

1秒ごとに秒針が止まりながら進むステップ運針という機構もクオーツ式時計の特徴です。これは消費電力を減らすために取り入れられたものです。一方、機械式時計ではそのような心配がないため、太い針も滑らかに動かすことができるスイープ運針を採用しています。

【クオーツより機械式時計をお勧めしたいのはこんな人!】
機械式時計とクオーツ式時計、それぞれの違いを見てきましたが、単純な機能面ではクオーツ式に軍配が上がります。機械式時計は作りが複雑で衝撃に弱い一方、クオーツ式は構造がシンプルなので壊れにくいというメリットがあります。

さらに、クオーツ式は電子制御であるため、精度では機械式時計を大きく上回ります。それでも、あえて機械式時計を選ぶ人がいるのは、機械式時計でしか得られないメリットがあるからなのです。

・メカニカルな機構が好きな人
機械式時計は前述のように昔から基本的な機構は変わっていません。小さなケースの中に、職人が何十、何百もの微細なパーツを組み込んで作り上げるという製造方法を今なお続けているメーカーも多数あります。機械式時計は単なる道具ではなく、職人技が詰め込まれた伝統工芸という面も持っているのです。そうしたクラフツマンシップの世界にロマンを見出す人にとって、機械式時計はクオーツ式時計よりも格段に価値あるものに感じられるでしょう。

・ファッションにこだわりがある人
また、基本的に手作業で作られており、大量生産ができないため、どうしても価格は上がってしまいます。しかし、それゆえに高級時計としてステータスを主張できるアイテムとなっているのです。ある程度の地位について周りからの見られ方を気にしなければならない人、ファッションに対するこだわりを主張したい人は、やはり機械式時計を選ぶべきでしょう。

また、クオーツ式時計は電子回路の寿命がきたら使えなくなってしまうことがありますが、機械式時計はメンテナンスをしっかりしていれば一生使いつづけることができます。そのため、愛着を持って同じものを長く使いつづけたいに人も機械式時計はおすすめです。

機械式時計の手巻き・自動巻きとは

ひと口に機械式時計といっても、大きく分けて2種類あります。手巻き式と自動巻き式です。どちらもゼンマイを動力源としており、機構に大きな違いはありませんが、それぞれ特性や使い勝手が異なりますので頭に入れておきましょう。

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タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 カーボン クロノグラフ¥825,000

【機械式時計の手巻き・自動巻きとは】
手巻き式は、文字どおり、リューズを手動で回してゼンマイを巻き上げる昔ながらの機構のこと。一方、自動巻き式は、ムーブメントにローター(回転錘)と呼ばれるパーツをつけ、それを腕の動きによって回転させることで自動的にゼンマイを巻き上げる機構のことを指します。手巻き式の方が早く誕生しましたが、利便性の高さから、現在では多くのメーカーが自動巻き式をメインにラインナップしています。

【手巻き・自動巻きそれぞれのメリットとは】
異なるゼンマイの巻き上げ機構を採用している手巻き式と自動巻き式の時計ですが、それぞれにメリットや魅力があります。

・自動巻き式のメリット
自動巻き式はなんといってもゼンマイを巻く手間がないことが大きなメリットです。また、楽ちんなだけでなく、ゼンマイが巻き上がった状態を長く保てるため、動力を安定して供給で き、時間が狂いにくいという長所もあります。また、多くのメーカーが自動巻き式の時計をラインナップしているので、選択肢が幅広いのも魅力です。

・手巻き式のメリット
一方の手巻き式時計は毎日、あるいは数日ごとにリューズを回してゼンマイを巻き上げなくてはなりません。しかし、人によってはそうして時計を愛でる時間に手巻き式ならではの醍醐味を感じることができるでしょう。また、日々、リューズを回すことで固着を防いだり、じっくり眺めることが多いので時計の不具合に気がつきやすいというメリットもあります。さらに、自動巻き式特有のローターがなく、厚みを減らすことができるので、スマートな見た目を実現できることも大きな魅力のひとつです。

機械式時計はなぜ高い?価格に見合った魅力とは

機械式時計はクオーツ式時計に比べて、全般的に価格が高い傾向にあります。中には数百万円の値がつけられたものも。これほど価格が違うのには、やはり理由がありますし、価格に見合うだけの価値があるのです。

【機械式時計が高額な理由】
機械式時計が高価になる理由のひとつに、職人の手作業が必要になるということが挙げられます。細かなパーツを削り出し、緻密に組み立て、高い精度を確保する。それには、熟練した技術が必要ですし、長い時間もかかります。大量生産が難しく製造本数が限られてしまうため、どうしても価格が高くなってしまうのです。

クオーツ式時計が工業製品ならば、機械式時計は工芸品であるともいえるでしょう。また、ものづくりにプライドを持ったこだわりの機械式時計メーカーが多く、たとえ高価でもそうしたメーカーの時計を求める人たちが多いことも高価格が維持されている理由でしょう。コストパフォーマンスを重視する消費者はクオーツ式時計を求めますから、そもそも安価な機械式時計は需要が少ないのです。

【価格に見合った機械式時計の魅力とは】
精度も利便性も高く、安価なクオーツ式時計ではなく、機械式時計を選ぶ人がなぜ今でも多いのか? デジタル全盛の時代に、なぜアナログな機械式時計がなくならずに人々から支持されているのか? その理由は、価格に見合った価値があるからに他なりません。

機械式時計を愛用する人の多くは、機能性以上にそのアナログな味わい深さに魅了されているはずです。手首に収まる小さなケースの中に、電気を使わない昔ながらの機構が詰まっており、緻密に時を刻む。それだけでロマンを感じられるのです。

さらに、見事な装飾や工夫を凝らしたギミックなど、芸術的ともいえるディテールが所有欲を満たしてくれます。機械式時計は、いわば、単に時間を知るための道具ではなく、所有者の趣味嗜好が反映されるアクセサリーであるともいえます。また、機械式時計の価値の高さは世の中で共通の認識となっています。

それゆえ、ステータスシンボルとして広く通用しますし、どうしても機械式時計でなくてはならないという人が少なくないのです。また、モデルによってはユーズド品でも価値が落ちるどころか上がるものもありますし、メンテナンスしながら大切に使いつづければ、次の世代に受け継ぐことも可能です。機械式時計は、まさに一生ものとしての価値を持っているといえるでしょう。

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タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー01 クロノグラフ¥570,000

【機械を味わいつくすにはスケルトンタイプを選択してみる】
機械式時計の大きな魅力は、その精緻な機構にあります。それを実際に目で見て楽しめるように裏蓋や文字盤をガラスなどで透明にし、機械の動きを鑑賞できるスケルトンタイプもあります。機械好きならば、無数の小さな歯車が正確に動く様子を見ているだけで飽きないでしょ う。また、手巻き式時計ではローターがない分、機械がよく見えますし、自動巻き式でもローターの構造を工夫して機械を見やすくしているモデルもあります。機械式時計の魅力を味わい尽くしたいなら、こうしたモデルも選択肢に入れておきましょう。

【機械式時計を安く買う方法とは?】
機械式時計は高額であると前述しましたが、予算的に厳しい人は安価に手に入れる方法もあります。メーカーによっては機械式時計の大量生産技術を確立しているところもあり、数万円台で購入可能です。また、機械式時計は寿命が長いため、中古・アンティーク市場も充実しています。専門店で探せば、著名なブランドの時計を意外なほど安く手に入れることもできるでしょう。コンディションが良いものならば、問題なく日常的に使用することができます。とはいえ外見だけで状態を判別することはなかなか難しいものです。分からないことや心配な点があれば、納得いくまでスタッフに聞くことが大切です。

機械式時計を購入・使用するうえで気をつけたいこと

魅力あふれる機械式時計ですが、気をつけなければならないことがいくつかあります。購入する前に知っておけば、長く愛用することができるでしょう。

【気をつけたいこと① 機械式時計はランニングコストもかかることを理解する】
機械式時計は精密な製品だけにしっかりしたメンテナンスが必須。数年に一度はオーバーホールと呼ばれる分解掃除が必要です。これは素人にできる作業ではなく、プロに依頼しなければならないため、数万円から数十万円の費用がかかる場合もあります。また、オーバーホールをした際に、パーツの磨耗や損傷が激しいと新しいものに交換しなければなりません。そうなると、さらに費用がかさみます。

【気をつけたいこと② 機械式時計の場合、日に数十秒の遅れは許容とする】
機械式時計にクオーツ式時計と同等の精度を求めてはいけません。クオーツ式時計では、月や年単位で数秒のズレが出る程度ですが、機械式時計では新品でも1日に±20秒程度のズレは許容範囲とされています。使いつづけるうちにさらにズレが大きくなることもありますが、それも機械式時計の味わいのひとつとして楽しむ気持ちを持ちたいものです。なお、厳格な検査をクリアしたクロノメーターと呼ばれる機械式時計は、1日のズレが-4秒から+6秒程度と精度が高いですが、その分、高価になります。

【気をつけたいこと③ 機械式時計は大切に扱おう】
機械式時計は細かなパーツの集合体であり、とても繊細に作られています。それゆえ、衝撃にあまり強くありません。また、金属を多用しているため、磁気の影響を受けやすく、携帯電話など磁気を発するものの近くに置いておくと「磁気帯び」という現象を起こし、時計の精度が低下することもあります。現在では衝撃や磁気に強いモデルも開発されていますが、大切に取り扱うに越したことはありません。

まとめ

ここまで解説してきたように、機械式時計には、利便性という枠では語れない魅力があります。知れば知るほど、その奥深さに魅了されていくことは間違いありません。愛着を持って使いつづけられる1本が見つかれば、きっと毎日がより充実したものになるでしょう。

①電気を使わず、ゼンマイを動力源とするのが機械式時計
②機能性だけでは測れない工芸品としての価値を持つ
③多少の不便さも機械式時計ならではの魅力ととらえましょう

写真商品お問い合わせ先/LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー 03-5635-7054

Photograph:TAG Heuer Text:Tetsu Takasuka

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