腕時計

機能美とレトロな温もりが共存するユンハンスの限定モデル
バウハウス創設100周年とドイツ時計①

2019.10.03

機能美とレトロな温もりが共存するユンハンスの限定モデル<br>バウハウス創設100周年とドイツ時計①

1919年にドイツのワイマールで芸術と先進的な工芸および建築の学校が産声をあげた。ナチスによって1933年に閉鎖を余儀なくされたが、現代に至るモダンデザインのルーツとされる「バウハウス」だ。技術と芸術を統合した革新的な機能主義は、建築や工業製品からグラフィックデザインまで大きな影響を及ぼしており、時計も例外ではない。今年はバウハウスが創設されて100周年。これを記念したドイツメイドの特別モデルを紹介する。

バウハウスのデザイン哲学を継承する「マックス・ビル」シリーズ

全盛期のバウハウスで学び、建築やインテリアなど多彩な分野で活躍したデザイナーのマックス・ビルが、ドイツの名門時計ブランドであるユンハンスとのコラボレーションで腕時計をデザインしたのは1961年。ドーム状の丸みを帯びた風防とダイヤルを特徴とする「マックス・ビル」シリーズは、半世紀以上を経たいまでも姿形はほとんど変わっていない。

ダイヤルに膨らみをもたせながら、ベゼルの幅を限界まで狭くすることで、ケースいっぱいに広がるワイドな面積を確保。そこに必要最小限のインデックスと目盛り線を描くだけでなく、長く伸びた秒針と分針の先端は、風防の曲面に合わせて注意深くカーブさせている。このため腕時計では最重要な視認性に優れており、「形は機能に従う」というバウハウスのデザイン哲学を体現した傑作だ。しかしながら、機能主義や合理主義が陥りがちな冷たさがなく、レトロな雰囲気から漂う人間的な温かみが個性的な魅力となっている。

ユンハンスでは、このモデルをベースとして、バウハウス創設100周年を記念した特別限定モデルをいくつか発表してきたが、ここでは18Kホワイトゴールドをケースに使用したクロノグラフ「WG マックス・ビル クロノスコープ」と、カラフルなインデックスが印象的な「バウハウス創設 100周年記念 フォームA」を紹介する。

「WG マックス・ビル クロノスコープ」は、バウハウスのデッサウ校舎からインスパイアされたカラーリングが特徴。ダイヤルは白壁をイメージしているほか、右側3時位置のデイト表示の数字と左側の文字の一部(MAX BILL BAUHAUS)を、エントランスのドアの色と同じレッドにしている。ケースバックには校舎が描かれており、この色の由来がわかるだけでなく、スケルトンに抜いた窓から自動巻きムーブメントが見られる。30分積算計と12時間積算計を縦に並べたクロノグラフだが、スモールセコンドを省略。クロノグラフが作動していないときには、静謐(せいひつ)な2針モデルとなる。18Kホワイトゴールドの重さが高級時計にふさわしい落ち着きを感じさせる。

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「WG マックス・ビル クロノスコープ」。12時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計を配置したクロノグラフ。バウハウスのデッサウ校舎のカラーリングをアレンジ。自動巻き、パワーリザーブ約48時間、ケースは18Kホワイトゴールド、直径40㎜、\980,000、世界限定100本。

「バウハウス創設 100周年記念 フォームA」は、時刻を表す12個の正方形インデックスに、ヨハネス・イッテンの色相環12色を採用したカラフルなモデル。イッテンはスイス人の芸術家であり、バウハウス創設時の教員のひとりだった。この12色は彼の色彩理論から導き出されたもので、青、黄、赤の3原色が基本。これを混ぜ合わせることでオレンジ、緑、紫の2次色が生まれ、それをさらに混ぜ合わせて6種類の3次色が得られる。この12色が、マット仕上げのシルバーダイヤルに独特の個性を与えている。

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「バウハウス創設 100周年記念 フォームA」。無駄を排したミニマルなセンター3針モデルだが、12色のカラフルなインデックスが個性を鮮やかにアピール。自動巻き、パワーリザーブ約38時間、ケースはステンレススチール、直径39.3㎜、\128,000、世界限定1000本。

掲載した商品はすべて税抜価格です。

問/ユーロパッション 03-5295-0411

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プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。

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