紳士の雑学
初めてのカフリンクス。
購入から使用まで徹底ガイド!
2019.10.08
ストイックなスーツスタイルでの数少ない装飾品のひとつ、カフリンクス。確かに上級レベルのおしゃれですが、基本を押さえれば決して難しいものではありません。どんな種類があるのか、またどんなシャツに合うのか、初めてでも間違えないカフリンクス選びを解説します。
カフリンクスってどんなもの?
カフリンクスは袖口のボタンホールを飾るアクセサリー。その形と仕様にはさまざまな種類があります。
カフリンクスとは? カフスボタンやカフスとは違うの?
シャツの袖口を留める装身具で、もともとは上流階級の着こなしに由来しています。通常であれば外側に来るほうにスリット状のボタンホールがあり、内側についたボタンをはめることで留めますが、カフリンクスは双方がボタンホール。その両方をつなぐことで袖を固定します。なお、日本ではカフス、またはカフスボタンと呼ぶこともありますが、前者は袖そのもののこと(左右あるのでカフの複数形)、後者は和製英語で海外では通用しません。
カフリンクスの種類
カフリンクスは袖が開かない機能性と共に、目につく場所にあることから構造やデザイン面でいくつかのバリエーションがあります。
カフリンクスの留め具の種類
■スウィヴル式
現在のカフリンクスの定番といっていいレバー式のもの。片側が装飾になっており、袖の穴に通す際にレバーを水平にしてスリットを通し、その後レバーを垂直に回して固定します。
■固定式
レバーを使わず、そのままスリットを通します。穴に引っかからないよう、内側のほうが小さなサイズになっているものが多いです。
■チェーン式
最もクラシックな形式で、表、裏とも同じデザインの留め具をチェーンでジョイントしています。チェーン以外でも伸縮性のあるひもなどの布素材を使うこともありますが、若干カジュアルなイメージとなることを覚えておきましょう。このほか、ゴムを使ったものもあります。
カフリンクスの素材
カフリンクスにはゴールド、シルバーのほか、経年変化のしにくいプラチナやステンレスもよく使われます。ダイヤやルビーなどの宝石のほか、真珠やオニキスなどもありますが、光沢感は華美な印象を与えるため、ビジネスシーンでは避けるのが無難です。
カフリンクス選びの注意点
カフリンクスをつけるにはアイテム自体のほか、合わせられるシャツを選ぶことが必須です。NGなタイプもあるので、しっかり把握しておきましょう。またほかの小物との相性も意識してください。
カフリンクスの選び方 ①カフリンクスを付けられるシャツを選ぶ
どのシャツにもカフリンクスが付けられるわけではありません。ボタンホールが両側にあることが条件。通常のボタンで穴のないシングルカフスのシャツでは取り付けられないので注意してください。OKなのは以下で紹介するダブルカフスとコンバーチブルカフスです。またカジュアルシャツに見られる小さめのカフスではバランスが悪いので、注意しましょう。
■ダブルカフス
その名のとおり、カフスがふたつ分あり、折り返す仕様になっています。各布地にボタンホールがあるため、4枚分のホールを通すことになります。袖にかなりボリュームが出るため、よりフォーマルな印象となります。別名はフレンチカフ。
■コンバーチブルカフス
ボタンの脇にボタンホールが空いており、カフリンクス、ボタン双方が使えます。ドレスアップは前者、通常は後者とコーディネートに合わせて選べるのがメリット。
■シングルカフス
通常ボタンのみで留めるシングルカフスのシャツは、片側しか穴が開いていないため、カフリンクスが取り付けられません。
カフリンクスの選び方②留め具などの金属は時計、ベルトのバックルと合わせる
小物使いは素材感をそろえるのがポイント。メタル系のカフリンクスであれば、ベルトや時計と同系色にすると統一感があってベターです。特に時計は位置が近いので留意しましょう。色みがあるタイプであれば、ネクタイやシャツに同じ色合いがあるとまとまりやすいです。
気をつけたいのは黒。冠婚葬祭をイメージさせるうえ、白のシャツだとコントラストが強く、目立ちすぎるきらいがあります。
カフリンクスの選び方③装飾は職場のドレスコードに配慮
ビジネスシーンの場合、装飾は豪華にならないように。迷ったらシルバー系やスクエア型など、オーソドックスで装飾の少ないものがおすすめです。
デザイン以外ではサイズ感も重要。大きめのものはデスクに手を置いたとき、手にあたるため、PC操作などで気になることがあります。その場合、チェーン式やゴムタイプのほうが負担は少ないでしょう。
カフリンクスの選び方④さりげない遊び心をコミュニケーションに生かす
装身具だけに、ビジネスとはいえ、ある程度のデザイン性は許容されています。やや上級となりますが、動物などをモチーフにした上品な意匠であれば、相手に好印象を与え、そこから会話のきっかけになることも。さりげないラッキーアイテムとして活用できそうです。
まとめ
カフリンクスをすると、通常のボタンのように袖をまくることがしづらくなります。それだけドレスアイテムとしてのシャツのアイデンティティーを感じさせる小物です。適切に使えば、スーツスタイル本来のフォーマルさを上手にアピール。TPOに合わせて、ベーシックなものからトライしてみてください。
① 用途に合わせてスウィヴル式、固定式、チェーン式を選ぶ
② 使うシャツにも条件あり。袖の仕立てに注意する
③ ビジネスでは素材感とデザイン性に節度が必要
Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT)
Styling:Tomonori Kobayashi(quilt)
Text:Mitsuhide Sako(KATANA)