紳士の雑学
黒ベースのネクタイ
[Vゾーンラボラトリー]
2019.10.07
ネクタイの達人、アイネックスの並木孝之氏に教わるVゾーンテクニック。今シーズン注目すべき5つのキーワードとおすすめのネクタイをご提示いただき、それぞれのコーディネート術をご伝授願う。まずはその筆頭。黒ベースのネクタイ。ビズシーンでのオーソドックスなVゾーンに刺激をもたらす新戦力だ。
「黒と聞くと弔事を思い起こし敬遠される方が多いのですが、それは大きな誤解です。オーセンティックな柄を選択すれば、濃紺ベースのタイと同じ感覚で、日常的に結ぶことができる合わせやすいアイテムなのですから」と強く奨励する並木氏。例えば、ウール混素材らしく穏やかな表情を見せるクラシックなストライプのタイ。縞色の白をひろってホワイトシャツに結び、控えめなチョークストライプのグレースーツで調えれば正当なビジネススタイルが完成する。
「黒というとモードの色という思い込みがあって、ファッショナブルにすぎるのではと懸念を持つ方がおられますが、クラシックな合わせ方に注力すれば、失礼にあたる心配はありません」(並木氏)。黒地にブラウンでコントラストを抑えたドットのネクタイは、チョークストライプのグレースーツとホワイトシャツにほどよく調和して、清楚で格調の高いVゾーンを作り出してくれる。
「タイの地の色が黒になることで、オーセンティックな柄に現代的でシャープな感覚が移植されます。」(並木氏)。黒地にブラウン、ベージュ、ホワイトで配色された存在感のあるマルチストライプのレジメンタルタイもしかり。地の黒が都会的な印象を強める。起毛感のあるグレーフランネルスーツでボリューム感を調え、ストライプの白をひろって白いシャツを選択。また、結びひとつでVゾーンに立体感を生み出すディンプルは必ず実行すべきポイントとなる。
「モノトーンの配色でVゾーンをまとめるのは黒地のネクタイを着こなす際の妙味ですが、ビジネススタイルとして採り入れるのなら、やわらかなトーンを意識したいものです」(並木氏)。写真のような黒地の面積が多いオーセンティックな小紋タイであれば、チャコールなどよりもトーンの明るいミディアムグレーのスーツにグレーと白のストライプのシャツを合わせ、コントラストを抑えて、やわらかいグラディエーションを感じさせるように意識したい。
「黒地のネクタイはグレーベースのスーツと好相性ですが、ビジネススーツの王道ネイビーと合わせれば、より強い印象を訴えるVゾーンの構築が可能です」と説く並木氏が提案するのはブルーのトーンを生かした配色。シャツにネクタイのモチーフのブルーをひろったサックスを選択することでタイの柄をほどよく強調し、ネイビースーツでブルートーンを調える。スーツは遠目には無地に見えるシャドーチェックで、微妙なブルーの階調が上品な印象を生み出す。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
Photograph:Ryohei Oizumi(2S studio)
Styling:Takayuki Namiki, Hidetoshi Nakato(TABLE ROCK.STUDIO)
Text:Koki Nakasu