腕時計
ノモス グラスヒュッテの日本限定ウオッチ。機能美×自然の優しさとは?
バウハウス創設100周年とドイツ時計④
2019.10.31
1919年にドイツのワイマールで芸術と先進的な工芸および建築の学校が産声をあげた。ナチスによって1933年に閉鎖を余儀なくされたが、現代に至るモダンデザインの源流とされる「バウハウス」だ。技術と芸術を統合した革新的な機能主義は、建築や工業製品からグラフィックデザインまで大きな影響を及ぼしており、時計も例外ではない。今年はバウハウスが創設されて100周年。これを記念したドイツメイドの特別モデルを紹介する。
草木染めを使用した日本限定コレクションを発売
ドイツの古都であるドレスデンの南に位置するグラスヒュッテは、山間の小さな街ながらも、19世紀半ばから時計産業の集積地として急速に発展してきた。第2次世界大戦後に東ドイツ領となって停滞した時期もあるが、現在では多くのブランドが立地しているほか、同地の時計史がわかる博物館も設置されている。
このグラスヒュッテで、東西ドイツが統合した1990年に創業したのがノモスだ。1992年に発表されたファーストモデルの「タンジェント」は、無駄な装飾を排して円と直線でシャープに構成した端正なデザインに時計マニアが注目。当初は汎用の機械式ムーブメントを搭載していたが、自社で独特のチューンナップを施すなど、ドイツらしい職人気質も評価された。この「タンジェント」のバリエーションが拡大すると同時に、ムーブメントの内製化も積極的に推進。2014年にはヒゲゼンマイも含めたすべてを自社で製作する調速脱進機「ノモススウィングシステム」を7年がかりで完成。その翌年には厚さ3.2㎜の超薄型自動巻きムーブメント「ネオマティック」を完成させている。
そんなノモス(商標はノモス グラスヒュッテ)が来年で創立30周年。バウハウスも創設100周年にあたることから、これを記念した日本限定コレクション「Four Seasons」が発売された。アイコンモデルの「タンジェント」をベースとして、日本の伝統工芸である草木染めで四季の色を表現した4タイプ。秋は茜(深みのある黄赤)、冬は屋久杉(グレー)、春は槐樹(えんじゅ/ベージュ)、夏を藍(ブルー)として、レザーストラップに合成染料を一切使用しないピュアな草木染めが施されている。ダイヤルの外周にもこれと呼応した同色のチャプターリングをアレンジ。バウハウスを継承するミニマリズムの機能美に、自然由来のやさしい味わいが加わっている。
昨年末に時計業界では最も栄誉あるジュネーブウォッチグランプリ(GPHG)を受賞した「タンジェント ネオマティック 41 アップデイト」に、ルテニウム仕上げのダイヤルを載せた新作も登場した。ルテニウムとはプラチナのことだが、陽光の当たり方によってダイヤルの色合いがダークグレーとゴールドブラウンの間をエレガントにゆらめく。日付表示が外周にあり、2つの赤いマーカーで挟むスタイルも独特。前述した自社開発の自動巻き「ネオマティック」の第2弾となる超薄型ムーブメントを搭載。視認性が高く、存在感のある直径40.5㎜のラージケースだが、厚さは7.9㎜とスリムなので、装着感も快適。
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