腕時計
レイモンド・ウェイルの腕時計が、
本物志向の人たちを引きつける理由
2019.11.22
クル・ド・パリ。「パリの爪」を意味するフランス語で、小さなピラミッドのような突起が規則正しく並んだ装飾模様の呼称だ。長い歴史があり、時計ではダイヤルやベゼルに施されてきた。
スイスのジュネーブに本社を持つ時計ブランド、レイモンド・ウェイル「マエストロ」の新作は、このクル・ド・パリをダイヤル内周にアレンジ。通常よりも厚みのあるプレートを採用しているため、立体感が高く、腕の傾きで陰影が変わる。また、先端に三日月を思わせる中空のシンボルを有するブレゲ針を採用。これは希代の天才時計師、アブラアン‒ルイ・ブレゲが200年以上前に考案した。
6時位置のムーンフェイズも昔からの機構。左から出て右に沈む月を、2つのコブで隠すことで満ち欠けを表現。普段は気づきにくい月の姿を腕元で教えてくれる。このサブダイヤルと同サイズで12時位置に設けられたオープンワークが真骨頂。機械式時計の心臓部を見ることができる。
「マエストロ」は、スイス時計の王道を継承。細部まで緻密に作り込まれたコレクションだが、今回の新作はひとつの集大成といえるかもしれない。本物を求める人たちを引きつける伝統的な魅力が集約されているからだ。
問/GMインターナショナル 03-5828-9080
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
Photograph:Tetsuya Niikura(SIGNO)
Text:Keiji Kasaki