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挑戦し続ける男たちの、美しき「定番」のカタチ。
ストーリー 01:岸谷五朗(俳優・演出家)
2020.02.28
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いつの時代でも輝きを放つ「定番」。固定ではなく、時流に合わせてスタイルを変えつつ、常に先端であり続けるもの。まさにパーカーの「ソネット」がこれにあたる。「矢羽クリップ」は可能性を追い求めるチャレンジスピリットの象徴。手にする人の“いま”に寄り添う。そう、俳優・岸谷五朗さんのそれのように――。
恋文も脚本も、手書きの文字で。
それが、私の「定番」だ――。文・岸谷五朗
ほんの少し……、ほんの少しだけ……大人に近づく。おそらく、その時期は、ランドセルから鞄に替わる時……。運動靴から革靴に替わる時……。私服から制服に替わる時……。
同時に、より厳しい上下関係や師との出会いが待っていて専門的な学問への扉を叩く「時」でもある。そして、まだ見えぬ未来への「不安」「怖さ」自分がどうなってしまうか分からない「時の流れ」に溺れながら未熟な自分が路頭に迷う。
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そんな時に、大きく背中を押してくれるプレゼント! それが万年筆であった。一度も触れたことがなく使い方も解らない偉大にして未知なるペン。それは大人の世界への第一歩であると感じさせてくれた。手に取り感触を確かめその何とも言えない大人の色彩に酔いしれ空に向かって掲げたのを覚えている。
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今の時代では、それが入学おめでとうスマホやパソコンであったりするのだろうか。PCやスマホで文字を打つ……。万年筆やボールペンで文字を書く。打つ時代と書いた時代。大きな違いは「味」が失われた。
その人が書いた文章からは手書きの「味」が存在した。ましてやそれが恋文だったりしたら、其の感情が手に取るように文字に表れ文章へと誘う。緊張で震える文字や汗ばんだ手によって歪む便箋、感情の坩堝(るつぼ)が受け手を感動させた。
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中学生の頃初めて書いたラブレターは上手く書けず、その苛立ちをボールペンのせいにして、4本ペンを替えて書き直したのを覚えている。勿論その初恋は上手くいった。……一瞬だけだったが。
演劇を始めた35年前は台本をガリ版で刷っていた。紙とボールペンが稽古場にズラッと並び、字の上手い劇団員が選出されボールペンを手に取り書き込んでいく。作品への戦闘態勢が整う瞬間だ! 手書きである作家は勿論だが、ストーリーが山場を迎えると劇団員の文字に躍動感が生まれる。冷静に書いているのだが、自分達が演じる命の台本だ。書き手の感情は抑えられず、ボールペンに伝わり素晴らしい手書きの躍動する文字が現れてくる。つまり「味」だ。
その「味」が役者に伝わり劇場を満たし最終的に大切なお客様に届き心を魅了する。
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恋文も脚本も大切な「自分の分身」には、心の込もった手書きの文字を贈る。それが、私の「定番」だ。
岸谷五朗(きしたに・ごろう)
1964年生まれ。19歳から劇団スーパー・エキセントリック・シアターに在籍し、1993年「月はどっちに出ている」で映画初主演にして多くの映画賞を受賞し高い評価を集め、以降テレビ・映画での活躍度を高める。94年に寺脇康文と演劇ユニット「地球ゴージャス」を結成。出演以外に演出・脚本も手がけ、毎公演ともソールドアウト、2018年の作品「ZEROTOPIA」で動員数100万人を超えた。
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問/ニューウェルブランズ・ジャパン 0120-673-152
www.parkerpen.com
Photograph:Yoshihiro Kawaguchi(STOIQUE),Satoru Tada(Rooster)
Styling:Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up:Yurie Taniguchi