週末の過ごし方

「クラフトジン」ブームの台頭
奥深いジンの魅力を探る 第2回

2020.05.08

写真・図版 小松宏子

写真・図版

伝統的なロンドン・ドライ・ジンに飽き足りず、より個性的なジンを追求しようと、世界各国で近年さまざまなジンが造られている。それらは職人が技をこらして、少量を手作りするこだわりの酒、という意味を込めてクラフトジンと呼ばれている。

フルーティなものから、フローラルやスパイシーなものまで、クラフトジンはバラエティ豊かで、飲み手を楽しませてくれる。そうしたクラフトジンのブームはいつ、どのようにしておこったのであろうか?

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希少なジンが揃う「バー コパン」の秘密の棚

プレミアムジンからクラフトジンへ

戦後のジン低迷期を経て、カクテルのベースなど、一定の需要のある酒として定着したジンだが、20~30年ほど前までは先端をいくモードな酒という印象はなかった。ジンが再び注目を集め“ワンランク上のジン”、つまりプレミアムジンというカテゴリーとして認識されるのには、1987年に発売された「ボンベイ サファイア」の影響があげられる。

美しいブルーのボトルが目を引くそれは、当時としては異例の10種のボタニカルを用い、それまでの定番のジンとは一線を画する酒、というイメージづけに成功した。

そしてもう一つのきっかけとなったのが、長い歴史を持つタンカレーブランドのプレミアムクラスとして2000年に発売された「タンカレー ナンバーテン」の登場だ。それはボタニカルへのこだわりはもちろん、小さな蒸溜器を用いて、少しずつ丁寧に蒸溜して仕上げるなど、手間ひまをかけることで、ウィスキーのように長期熟成しない酒でも、プレミアム性が生まれることを立証した1本でもある。

こうした動きが、より個性的で主張の強いジンを求める、クラフトジンのムーブメントへとつながっていった。

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「バー コパン」のジェーニャさん

クラフトジンの台頭

ジンはジュニパーベリーさえ使用すれば販売が可能なので、素材や製法など、他の酒に比べて自由度が高い。その自由度を生かしてプレミアム性だけでなく、産地に由来するような独自性をコンセプトにしたクラフトジンが登場する。

イギリス産ならラベンダーやバラ、スペイン産なら地中海のハーブ、日本なら柚子や山椒といった具合に、その土地でなければ採れないボタニカルを使用して、地域性をはっきりと打ち出したものがそれだ。

ベースとなる酒にも高品質の大麦やライ麦を使用したり、フランス産であればぶどう由来のもの、日本なら焼酎を使うなどして、こだわりや地方色を押し出している。

製造方法も通常のジンは、連続式蒸留を繰り返すことで、アルコールの純度を上げていくところ、クラフトジンは原料の風味を残すため一回だけの単式蒸留にとどめる場合が多い。これらの条件を満たしたものを、クラフトジンとカテゴライズしている。 

こうしてプレミアムジンの影響を受けたクラフトジンが2010年頃からイギリスだけでなく、スコットランドやスペイン、アメリカ、オーストラリアなど、各国でこぞって造られるようになり、クラフトジンの世界的なブームがおこっていった。

まず飲んでみたいクラフトジン

プレミアムジンやクラフトジンを知るために、まずは飲むべき銘柄をジェーニャさんに挙げてもらった。個性が際立つこれらのジンはロックで楽しむか、ソーダを少量加えて飲み、豊かな本質を堪能したい。

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写真左からボビーズ、ヘンドリックス、モンキー47

ボビーズ
ジン誕生の地とも言われているオランダ・スヒーダムで造られているボビーズ。その名は、このジンのもとになるレシピを開発した、インドネシア生まれでオランダに移住した人物の愛称だそう。その孫であるセバスチャンが祖父の残したレシピを再現することで生まれたというストーリーを持つ。

ボタニカルにインドネシア由来のレモングラスやクローブ、シナモンを使っているのが特徴で、オリエンタルな柑橘香とスパイスの風味が香る、クラフトジンの代表的な銘柄の一つ。

ロックで楽しむか、ソーダを少量加えて飲むのが、個性を堪能するには向いている。

ヘンドリックス
1999年にリリースされて以来、プレミアムジンの市場を切り開き、今日のクラフトジンブームの礎を築いたブランドのひとつ。ウィスキーの名品グレンフィディックを製造するウィリアムグラント&サンズ社が手掛けている、スコットランド産。

全11種のボタニカルは、タイプの異なる2つの蒸溜器によって蒸溜され、最後にバラの花のエキスときゅうりのエキスをブレンドすることで、華やかさと清々しさを表現。

モンキー47
2006年に蒸溜所が開設され、2010年に発売されたクラフトジンの先駆けであると同時に、クラフトジンの指標となる1本として愛され続けている。誕生のストーリーも実にユニーク。イギリスの退役軍人でドイツのシュバルツヴァルトで宿を切り盛りしながら、森の素材を生かした独自のジンを造っていた人がいた。彼の死後、遺品から猿をモチーフとしたボトルとレシピが見つかり、再現したのだそう。

フルーツやスパイスなど、47種のボタニカルを使用することで、フローラルな香りを放つ、香水のように華やかに香るなジン。

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GLOBAL GIN GALLERY
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GLOBAL GIN GALLERYの高山さん

紹介したジンは「GLOBAL GIN GALLERY」で購入可能。ジンを知り尽くした店主の高山さんがセレクトした、ほかではお目にかかれない希少ジンに出合える。

※営業日は事前にウェブサイトにてご確認ください。GLOBAL GIN GALLERY

<<第1回 ジンの発祥とオーソドックスなロンドン・ドライ・ジン はこちら

  第3回 スコットランドの蒸留所巡り はこちら>>

Text: Hiroko Komatsu
Photograph: Sho Ueda

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