カジュアルウェア
ファッショントレンドスナップ68
Tシャツもコーディネート次第でイメージアップが可能。
ファッションのプロならではのテクニックを公開!
2020.05.25
これからの季節、Tシャツは最も出番の多いアイテム。なかでも白のTシャツは、ジーンズのトップスからクールビズスーツのインナーにまで無難に合わせられる万能選手。
ただし、なんにでも似合ってしまう分、コーディネートがマンネリ化し、ここぞというときのインパクトに欠けてしまうという欠点があるのも事実。例えが強引ですが、恋愛関係でいうところの「いい人止まりで、恋愛に踏み込むには何か物足りない……」という感じです。
そこで今回は、白いTシャツってこんな着方ができたのか!という超個性的な着こなしを取り上げました。
50m先を歩いていても、ただ者ではないというオーラを放っていたこのジェントルマン。間違いなくイタリアのファッション業界の方ですね。白いTシャツにミリタリージャケットを合わせるという王道パターンに、ジレ(ベスト)をプラスすることで唯一無二のコーディネートになっています。
ここでパッと見ると、「そこまで言うほどのことはないんじゃないの?」と思う方もいると思いますが、いざ出かける前にこのジレはなかなか選べません。
カジュアルなTシャツとアクの強い軍ものアウターとの間に、クラシックなジレを挟むという技は、プロならではで難易度の高いもの。細かく見ると上半身には実にたくさんのテクニックがちりばめられています。
<上半身テクニックポイント>
①白いTシャツの裾をジレの裾からちらっと出す。それも、長すぎず短かすぎない絶妙な丈。
②ミリタリージャケットのそでは腕まくりをして、胸ポケットのフラップはボタンを留めずくしゃくしゃにしてラフな感じを演出。
<下半身のテクニックポイント>
①パンツはドレスのウールパンツ。色をライトグレーにすることで、白いTシャツからの流れが自然で上品にまとまっています。
②パンツの裾は、折り返しのないシングルにし、くるぶしをちら見せ。
③スニーカーは鉄板の白。素材はレザーで高級感を出しながらも、ソックスは履かない(シューズインソックスは履いているかも)。
今回のスナップを再現するとこんな感じです。肝心の白いTシャツが、ジレの裾からかなり出てしまいました。こんなに出してはいけませんね。反省、反省。
Tシャツは、試着するか着丈の長さを測るなどしてベストなものを探すのが、ファッションのプロのこだわり。そんな面倒なことはできないという方は、お直し屋さんで直してもらうという手もあります。高級なブランドTシャツを買っても似合わない……とお嘆きの方はぜひトライしてみてください。劇的に見栄えが変わりますよ。
ビンテージのブルゾン¥16,000(アルソーレ 045-901-1808)
Wブレストのジレ¥30,000/タリアトーレ、Tシャツ¥19,000/フェデッリ(ともにトレメッツォ 03-5464-1158)
ベルトレスのウールパンツ¥29,000/ベルウィッチ(アマン 03-6805-0527)
スニーカー¥36,000/アトランティックスターズ(チンクエ ステッレ 03-6721-0970)
ビンテージのミリタリーブルゾンはハードルが高いという方には、このように上着を着ないでジレと白いTシャツというコーディネートはいかがですか。Tシャツ一枚では体形がもろに出て怖いという方にも、ぜひトライしてもらいたい組み合わせです。
手持ちのジーンズやオフホワイトのチノパンを合わせてカジュアル感を出しても、全体的にはスパイスが利いた新鮮なコーディネートが完成します。
次回は梅雨時期のレインコートの着こなしを予定しています。
乞うご期待です。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。