お酒
大自然で猛烈に可愛い動物に会い、ワインの祭典に酔いしれる!
西オーストラリアの魅力を探る旅<2>
2020.06.05
第1回で紹介したパースでの街遊びにつづき、今回は市街から楽に行けるハーフトリップを紹介。都会のすぐ近くに大自然があるのもパースの魅力なので、滞在中に両方楽しまない手はない。距離や目的別に分けた3つのアクティビティーは以下のとおり。
① ロットネスト島でクオッカに会う
(パースから片道約1時間半)
最初に紹介するのはクオッカで人気を高めているロットネスト島。クオッカとはワラビー属の小動物で、2本足で立ちニコッと笑う姿に見覚えのある人もいるはず。絶滅危惧種でもある野生のクオッカに会えるのは世界でほぼここだけだ。
“世界一幸せな生き物”とも呼ばれ、クオッカと一緒にセルフィーを撮れば幸せになれるなんてうわさもあるほど。テニス界の大スターであるフェデラーやナダルまでクオッカとの写真をSNSにアップしたりして、どんだけ人をとりこにするんだ……と島を訪れてみたら、一瞬でゾッコンに。この島ではいい大人がみんな膝をついて、クオッカと同じ目線で愛くるしい笑顔をのぞき込んでいたのだった。
また、ロットネスト島には63ものビーチがありダイビングやサーフィンも出来るので、水着の準備もお忘れなく。ビーチの数が多いので混むことがなく、ゆうゆうと海で遊ぶことができる。
② トリッグビーチでサーフィン
(パースから片道約15分)
手近な海ならパースからクルマで約15分のトリッグビーチへ。海はきれいなターコイズブルーで白砂が広がり、街からこんな近くにきれいなビーチがあるなんてパース市民がうらやましくなる。波質がよくサーファーでにぎわい、しかもサーファーのレベルが高い! オーストラリアはやっぱりサーフィン大国なのだと実感する場所でもある。
③ ロッキングハムの沖合でイルカと泳ぐ
(パースから片道約45分)
筆者が今回の旅でいちばん感動したのは、野生のイルカとの出合い。「Perth Wildlife Encounters」という会社が提供する、野生のイルカと一緒に泳ぐシュノーケリングに参加したのだ。参加者はパース市街からクルマで約45分のロッキングハムからボートで海原まで行き、みなでつながって泳ぎながらイルカを見る。
海中では少しにやけているようなイルカの顔もしっかり見えて、声を聞くこともできた。ツアー的にはそちらがハイライトなのだけれど、個人的にグッときたのは船上でのこと。
人が潜る前からイルカは船の周りをジャンプしながら近づいてきて、とってもフレンドリー。そして、なんと、シュノーケリングが終わって船が去るときには、「待ってくれ〜い!」とばかりに全速力で船を追いかけてきたのだ。そのときのジャンプに心打たれ、大海原というあるべき環境に住むイルカの美しさを実感。なんて知的でエレガントな生き物!
「Perth Wildlife Encounters」のスタッフによると、創設者はもう30年以上イルカの研究を続け、ツアー会社としても20年近い実績がある。イルカたちは彼らのボートを認識し、信頼関係があるから逃げるどころか近づいたり追いかけたりするのだとか。完全に野生でいることを尊重しているから、餌付けはしない。ここではイルカが本来どういう生き物なのかを知るのにベストな体験を得られる。
「西オーストラリア・グルメ・エスケープ」にも注目!
遊びが盛りだくさんのパースだけれど、行くタイミングとしておすすめなのが11月。というのも、毎年ワインの祭典「西オーストラリア・グルメ・エスケープ」が11月中旬に10日間行われており、このお祭りがまた西オーストラリアの違った一面を教えてくれるから。
有名シェフの料理を西オーストラリアのワインとともに味わえる着席ディナーからワインメーカーが多数集まる青空マーケットまで、そのプログラムは50以上。例えば私が参加して楽しかったイベントのひとつが “Tex-Mex Takeover at Mandoon Estate”だ。
それは、パース郊外にあるワイナリー「Mandoon Estate」を会場に、アメリカのテキサス州をベースに活躍する女性シェフ、ジェス・プライルズさんによるオージービーフのBBQナイト。
18時を過ぎて日が暮れはじめると、ブドウ畑が目の前に広がるロングテーブルにおしゃれをした男女が集まった。そして、ウェルカムのスパークリングを皮切りに「Mandoon Estate」のワインを次々と開けながら、豪快な肉塊を食べて談笑。メインの肉が来たと思ったらまだ前菜だったりするほど肉尽くしで、それらにベリーのソースのごとくここのシラーのワインが合う。
シェフは替わるものの、今年も同じワイナリーで一夜限りのディナーが用意される予定なので、「西オーストラリア・グルメ・エスケープ」のプログラムを要チェック。ブドウ畑での晩餐ではワインが気持ちいいほどおいしく感じられるので、ぜひとも体験していただきたい!
以上がパースとその近郊の見どころで、思い返すとしみじみ平和な8泊だった。この街はとにもかくにも人がいい。
続く第3回では、そんなパースから南下したところにあるワインとサーフィンの天国、マーガレットリバーでの楽しみ方をお伝えする
プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、毎月海外に渡航。スペインと南米に行く頻度が高い。柴犬好き。SDエイバルファン。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。