カジュアルウェア
ファッショントレンドスナップ69
梅雨時期に欠かせないコートをスタイリングでアップデート
ポイントを押さえれば、手持ちのコートも大変身!
2020.06.10
コットンやナイロン系の薄手コートは、梅雨時期に欠かせないアイテム。クールビズのスタイルが浸透してきた日本では、この時期になると上着は着ないで、BD.シャツでノータイ出勤という方が増える時期です。今回は、そんな梅雨時期のビジネスシーンで、コートをどう着ればスタイリシュに見えるかを解説します。
このジェントルマンは、太めのストライプ(ロンドンストライプ)のシャツにライトブラウンのトレンチコートを合わせ、パンツはホワイトカラー。シャツのストライプが効いているので、キリッと締まった雰囲気がして仕事感がアピールされています。
ここを無地のブルーにしても悪くはありませんが、全体がぼやけた印象になってしまうかも。
このジェントルマンのスタイリングで見逃せないのが、コートの着こなし方。なんと袖口をシャツのようにまくり上げ、シャツの袖をわざと長く見せているのです。このテクニックは、私が今まで見たことのないスペシャルなもので度肝を抜かれました。
これはまだ、どこのメンズファッション誌も取り上げていない本邦初公開のものではないかと思います。
※SNSを見ると、海外の女性ファッションブローガーはもうやっています……。
それと最近のトレンドになっているテクニックも潜んでいました。コートのベルトを雑に締め、前身頃の打ち合わせをわざと開き気味(着崩れた感じ)にする着方で、下に着た服をチラ見せしているのです。
よく見ていただくと、このジェントルマンは、意識的に右側の襟下を深く返しています。これは着ているうちにずれたのではなく、最初からこれを意識的にしたものだと思います。
今回のスナップを日本で買える服で再現したのがこちら。このコートは、一見トレンチコートのように見えますが、実はタイロッケンコートと呼ばれるもの。トレンチコートにある特徴的なディテールの両肩についた小さなU字のパーツ(肩章やエポレット、ショルダーストラップと呼ばれる)や、袖口のベルトなどがありません。トレンチコートは、実はタイロッケンコートをベースに戦場で必要な機能を付け加えて生まれたものだったのです。
麻65% 綿27% ポリウレタン8%という清涼感のある生地を使ったコート¥118,000/シーラップ
シャツ¥32,000/ソンリーサ(ともにフローエンス トーキョー https://floens.jp/)
パンツ¥28,000/イースト ハーバー サープラス
靴¥28,000/フェランテ(ともにエスディーアイ 03-6721-1070)
今回は、もうひとりコートの達人を紹介。このジェントルマンのようなスタイルで、出社できるところも最近は増えてきたと聞きます。会社には無理!という方は、このような着方で休日にお出かけをするのはいかがでしょうか。
ポイントは、コートのインナーに着た鮮やかなオレンジの丸首セーター。このくらい元気のある色をもってくると、梅雨のジメジメ感を吹き飛ばしてくれそうですね。この色は今年の春夏野トレンドカラーで、ほかの鮮やかな色も含めて「ビタミンカラー」などと呼ばれています。
着こなしのポイントは、コートの襟を立てて着ていることでしょうか。
コート¥118,000/シーラップ
ニットTシャツ¥19,000/グランサッソ(ともにフローエンス トーキョー https://floens.jp/)
デニム¥29,000/ピーティー トリノ(PT JAPAN 03-5485-0058)
スニーカー¥45,000(チンクエ ステッレ 03-6721-0970)
実はここでも前のコーディネートで使ったタイロッケンコートを使っています。同じコートでも、組み合わせ次第でこんなに違う雰囲気が出せるのです。ちなみに今回ピックアップしたコートは、イタリアのコート界では、人気をヘルノと二分するシーラップのもの。
シーラップは、このパイプをくわえた甲板長の顔がアイコン。1935年にミラノで創業したコートの老舗ブランドです。
次回は帽子にフォーカスしたスタイリングを予定しております。
乞うご期待。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。