特別インタビュー
伊勢丹新宿店 メンズ館1階 紳士営業部
ドレスシャツ・ネクタイ 担当スタイリスト 渡邊萌理さん
この人から買いたい、この一品
2020.07.10
「ぜひ、薀蓄(うんちく)は思う存分語ってください!」
幼いころ、祖母とよく日本橋三越本店や伊勢丹新宿店に買い物に来ていました。一緒に服や食器を見て回ると店員さんがとても丁寧に接客してくれて、デパートはとてもキラキラしている夢のような場所でした。なので、三越伊勢丹に就職できたときは本当にうれしかったです。
いま入社して6年目です。入社してからずっとメンズ館にいます。以前もドレスシャツ・ネクタイにいたのですが、一時エスカレーターの反対側、シーズン雑貨を担当していて、今年の4月に戻ってきました。でも戻ってきた途端に休業になってしまい、2カ月間の自粛期間中はYouTubeの「お家ヨガ」や、筋トレ動画を見て毎日鍛えていました。6月から心機一転、初心に返ってお客さまをお迎えしています。
ビジネス需要が多い売り場ですが、ここ最近は傾向がかなり変わってきています。シャツとワイシャツの組み合わせを選ばれるお客さまから、ビジネスにもプライベートに着られるシャツを選ばれるお客さまが増えてきています。以前は普段の好みやお持ちのスーツなどを伺って提案させていただいていたのですが、いまは好みのカジュアルスタイルなども、お聞きするようになりました。
カジュアルはとても幅が広いので、私からもトレンドの紹介をさせていただいていて、たとえば今季でしたら淡い色のリネンのシャツや、シャンブレーシャツなどを提案しています。業種にもよりますが、最近ではジャージー素材のシャツのように機能的なものをインポートブランドから選ばれたり、オンとオフ両方で着られるきれいめのカジュアルシャツも好まれているようです。
男性のお客さまは、とても知識が豊富なので、私たちスタイリストが教えていただくことも少なくありません。生地や縫製などの知識は、お客さまから教えていただくことが多いのですが、その知識を次のお客さまの接客に生かせることが多いので、じつは勉強になるだけでなく、とても助かっています。なので遠慮なく薀蓄を教えていただきたいです。ファッションがお好きで知識が豊富なお客さまの接客は、本当に楽しいので。そういうお客さまに、何着か提案したものが気に入っていただけると、「やったっ!」って、心の中で小さく手を叩いて喜んでいます(笑)。
渡邊萌理さんおすすめの一品
バルバのオープンカラーリネンシャツ
1964年、イタリアのナポリで創業したバルバは、大人の男性の色気を感じさせるシャツ作りがとても上手なブランドです。ビジネスやフォーマルに着るドレスシャツが得意ですが、最近はカジュアルシャツも人気があります。
今季はトレンドの開襟シャツをリリースしているのですが、じつはこれ、バルバでは珍しい襟型なのではないかと思います。軽やかな風合いのリネンですので、ジャケットの下でも、さらっとドライで通気性もよいですし、ジャケットを着ないときでもややゆとりのあるシルエットがリゾート感のある、リラックスした印象を与えてくれます。はおるように着るときには、インナーにマリンテイストを感じさせるボーダー柄のTシャツを採り入れるのもおすすめです。
問/伊勢丹新宿店 03−3352−1111
Photograph:Hiroyuki Matsuzaki (INTO THE LIGHT)
Text:Yasuyuki Ikeda