特別インタビュー
伊勢丹新宿店メンズ館 5階
テーラードクロージング アルチザン担当スタイリスト 畠中俊輝さん
この人から買いたい、この一品
2020.11.13
普段からテーラードクロージングを勉強中ですが、
じつは元メタルのドラマーです
今年、入社5年目ですが、2020年度エバーグリーンに選抜していただきました。これは社内制度で、三越伊勢丹グループ各店のお取組先さまも含む全スタイリスト約78,000人のなかから、毎年60名前後選ばれるというものです。
今春までメンズ館1階ドレスシャツ・ネクタイを担当していましたので、お客さまがお買い上げになられたシャツやネクタイに合わせて、ジャケットやスーツを選んでほしいというご要望をよくいただきました。その際、別フロアにご同行してお客さまと一緒にお買い物をお手伝いするようにしていました。お客さまからのご指名をいただくことが多く、そういう点も評価されたのだと思います。
お客さまがご購入されたシャツやネクタイなどはすべて覚えていますので、海外からのトランクショーで新しいご提案を差し上げたり、体型が変わられたお客さまには新規購入だけでなく、お直しをお勧めすることもあります。こだわりのあるお客さまほど、ご希望を汲んで差し上げたいと思っていますので、お客さまの好みなどもできるだけ把握するようにしています。
今春5階へ異動して、いまはアルチザンを担当しています。1階のころのお客さまもいらっしゃいますので引き続きごひいきにしていただいていますが、シャツ・ネクタイより高額なスーツやコートを取り扱っているので、気軽にご購入するというよりも、一生モノとしてお買い上げいただけるよう、一回ごとの接客には力を尽くしたいと考えていますし、商品知識も勉強中です。
勉強のために自分でも普段からテーラードクロージングを着るようにしています。休みの日でもテーラードジャケットを着るようにしていますし、あまりカジュアルな服は着ないようになりました。まだまだ勉強中ですが、実際に着てみて初めてわかることがたくさんあるものですから。今日のスーツは、ナポリのテーラー、ルカ・グラシアを着ています。ナポリ流の着心地をご説明するためには、私自身が着ていないといけませんよね。
ドレスシャツ、ネクタイ、ドレスクロージングと担当してきましたので、大人しそうに見えるかもしれませんが、学生時代はバンドでドラムを叩いていました。ジャンルはメタル系です。著名なプロのミュージシャンのライブツアーに参加したり、プライベートでも親しくさせていただいたり。いまでも音楽は大好きで、メロコアやパンクなど幅広く聞いています。でも接客に反骨精神を持ち込むことはありませんので、どうかご安心ください(笑)。
畠中俊輝さんおすすめの一品
コヒーレンスのコート
コヒーレンスは、デザイナーの中込憲太郎氏が手掛けるコート専業のブランドです。2015年創業と歴史はまだ浅いですが、素材の開発から縫製まで日本国内で行っていて、細部まで抜かりなく積み上げたモノづくりがピッティ イマジネ ウオモで各国バイヤーからも称賛されました。
「マットⅡ」と名付けられたこのモデルは、オリジナルのカシミヤ混メルトン素材を使った、タイロッケン風のコート。ベルト位置が高く、ミリタリーコートのようにたっぷりとしたドレープのAラインがコヒーレンスらしさを表しています。内側にはフック付きのストラップが取り付けられていたり、ポケットが中のジャケットのポケットに届くスルー式になっていたり、オプションのライナーを取り付けることもできるなど、シンプルな見た目によらず機能的なデザインがたっぷりと盛り込まれていて、服好きの方でなくても男のギア好きな心をくすぐられるはずです。
問/伊勢丹新宿店 03−3352−1111
【クレジット】
Photograph:Hiroyuki Matsuzaki (INTO THE LIGHT)
Text:Yasuyuki Ikeda