特別インタビュー

時代を映すアイドル。[前編]
~アンジュルムとハロー!プロジェクト、その歴史と現在~

2020.11.13

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ハロー!プロジェクト、通称ハロプロをご存じだろうか? これまで20年余りにわたって歌と踊りのライブパフォーマンスを中心に据えたエンターテインメントを提供しつづけ、世代を超えて愛されてきた女性アイドル集団である。現在はモーニング娘。’20を筆頭に、5つのグループと今後のデビューを目指す研修生が活動中だ。そのなかでも特に「女子のあこがれ」としての存在感を強めているアンジュルムから、4人のメンバーがシックな秋の装いでお目見え。

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佐々木莉佳子(ささき・りかこ)2001年5月28日生まれ。宮城県出身。躍動感あふれるダンスと優しい人柄で心をつかむ、ハロプロ屈指の“かっこいい系”アイドル。ファッション関連の仕事も多く、インスタで見せる私服のセンスも光る。

始まりは90年代の終盤、新世紀の足音が迫ってきたころだった。つんく♂がプロデュースする女性ロックボーカリストオーディション企画から誕生したモーニング娘。は大旋風を巻き起こし、その歌声を世紀末の街に響き渡らせていた。あれから20年余りの時が流れたいま、モーニング娘。から発展した「ハロプロ」こと「ハロー!プロジェクト」は、ある種の「伝統と信頼のブランド」として、日本のエンターテインメント業界にユニークな才能を輩出しつづけている。

現在ハロプロに所属するのは、モーニング娘。’20、アンジュルム、Juice=Juice(ジュース=ジュース)、つばきファクトリー、BEYOOOOONDS(ビヨーンズ)の5グループに加え、将来の正式デビューを目指すハロプロ研修生とその北海道支部。楽曲のリリースとコンサートを中心に、多彩な活動を展開している。ミリオンヒットが続出していた90年代から一転、芸能および音楽業界全体がビジネスモデルの転換を迫られた時代に、コンサートやイベントの「現場」に力を注ぎ、動画配信やブログなどのダイレクトな発信を地道に重ねることでファンを獲得してきたのだ。

いまを生きる少女たちのヴィヴィッドな魅力を、楽曲制作陣をはじめとするプロの仕事が引き立たせるのが、アイドルという活動形態の面白いところ。大人にお膳立てされているからこそ、決して狙いどおりの枠に収まりきることのない個性が輝くのだ。

アンジュルムはハロプロのなかでも、それをとりわけ強く感じさせる気風をもつグループである。アイドルとしてあくまでも「かわいくてかっこいい」パフォーマンスを披露しつつ、画一的でないそれぞれの個性と自分らしさを尊ぶ現代的な感覚は、一部の大人の女性からも熱烈な支持を集めてきた。たとえば女優の蒼井 優もそのひとり。彼女がアンジュルムの魅力について熱く語る姿をテレビで見たことがある人もいるだろう。

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上國料萌衣(かみこくりょう・もえ)1999年10月24日生まれ。熊本県出身。モデルとしてもひっぱりだこのドーリーな美貌と澄んだ歌声を併せ持ちながら、どこかユーモラスで親しみやすい雰囲気で愛される希有な存在。通称「かみこ」。

新しい日常のアイドル

現在、新型コロナウイルス感染症の流行は、彼女たちの主要な活動であるライブコンサートにも大きな影響を与えている。春には予定されていた公演がひと通り中止され、一部が無観客配信に切り替えられた。ハロプロの全グループが集合する毎年恒例の夏のツアーは、いつものグループの持ち歌ではなくJ‐POPのバラードをソロ歌唱するというソーシャルディスタンスに配慮した内容で実施。以前のとおりアップテンポの曲を激しく歌い踊り、観客も大きな声援を送るような公演を再開できる見込みは、まだ立っていない。

「ライブができなくなったからこそ、ありがたみがわかって。お客さんとの一体感みたいなものを味わっていないので、それがめちゃくちゃ恋しいです。いま、たまにみんなで集まってリハとかレッスンとかがまたできるようになって、楽しいなあ、安心するなあって思いますし、はやくライブがやりた
いです」(佐々木莉佳子)

「ソロで歌うのは新鮮さがあって毎回緊張します。歌に向き合う機会がすごく増えたなって。グループの曲ではそれぞれの得意なところと苦手なところを補い合ってたんだなっていうのを感じました」(上國料萌衣)

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【上國料萌衣から見た佐々木莉佳子】私のほうが年上なんですけど、ハローでは佐々木さんのほうが先輩。落ち込んでたときとかすごく元気をもらってきました。そうやって一緒に過ごしてきた、信頼できる人です。
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【佐々木莉佳子から見た上國料萌衣】見た目は誰が見てもかわいい! 美しい!ってなると思うんですけど、性格は面白いんですよ! あとけっこう適当な部分がある(笑)。隣にいてくれるだけですごく安心しますね。

上國料萌衣:ジャケット¥42,000、パンツ¥28,000/ともにソルトプラスジャパン(ソルトプラスジャパン 06-6943-2535)、シャツ¥52,000/メランポ(H3O ファッションビュロー 03-6712-6180)、靴¥22,000/ビルケンシュトック(クオリネスト 03-6427-1977)、佐々木莉佳子:ベスト¥39,000、ブラウス¥36,000、パンツ¥39,000/すべてウジョー(エム 03-3498-6633)、靴 スタイリスト私物、笠原桃奈:ジャケット¥48,000、ワンピース¥45,000/ともにエズミ(リ デザイン 03-6447-1264)、靴 スタイリスト私物、船木 結:ワンピース¥230,000、トップス¥18,000 /ともにエズミ(リ デザイン 03-6447-1264)、靴¥92,000/ビィウィッチ(ビィウィッチ 03-5726-9750

「アエラスタイルマガジンVOL.47 AUTUMN 2020」より転載

後編につづく[11月20日(金)公開予定]>>

野中モモ 
翻訳者(英日)・ライター。著書に『野中モモの「ZINE」小さなわたしのメディアを作る』(晶文社)、『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』(筑摩書房)。訳書にレイチェル・イグノトフスキー『世界を変えた50人の女性科学者たち』(創元社)、ロクサーヌ・ゲイ『飢える私 ままならない心と体』(亜紀書房)など。現在『GQ JAPAN』ウェブ版にてコラム「モダン・ウーマンをさがして」連載中。

Photograph: Yuki Okishima
Styling: Chie Akai
Hair & Make-up: Akemi Ezashi(mod's hair), Miku Shigeyama
Text: Momo Nonaka
Edit: Tetsuya Sato

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