特別インタビュー

モッズとは何かを教えてくれた先輩。
[渋谷直角 男が憧れる、男の持ち物。]

2020.11.12

500_2020.08.14_ASM022
定番のフィールドジャケットは、こなれ感のあるカーキをチョイス。やや細身のスタイリッシュなシルエットに、保温性に優れたライナー付きで、街からアウトドアまで幅広いシーンで活躍する。M-65ジャケット¥114,000/アスペジ(トヨダトレーディング プレスルーム03-5350-5567

多才でいてファッションフリーク、渋谷直角の愛用品からそのセンスを探ってみる──。

モッズに憧れたのは高校生のころ、Tさんという5年ほど先輩の影響です。Tさんはグレンチェックのパンツにサドルシューズ、NYで買ったというPOP SHOPのTシャツにマッシュルームヘア。さりげない着こなしだけど、自分の中に好きなものが確実にある感じ。それがすごくオシャレでカッコいい人だなと思っていました。

Tさんは「モッズが好きだから」とサラっと言うんですけど、いわゆるモッズのカッコはしていない。16歳の自分の周りにはいないタイプで「Tさんのような人をモッズと言うのか」と、すっかりモッズやロンドンに憧れ、調べるようになったのです。M‒65のジャケットやパーカも、軍もの目線じゃなく、モッズ的なアイテムとして欲しいと思いました。まだM‒65とM‒51は違うとか、オリジナルモッズはM‒51のパーカだとか、細かいことは全然知らないとき。強いこだわりもなくM‒65を買って、自分もモッズだ、なんてゴキゲンだったのですが、Tさんは「直角はモッズじゃないよ」とピシャリ。いわく「モッズっていうのは、いま一番面白いものを知ってる人のことだよ」。最新の音楽やカッコいい洋服、それが周りではやれば、もう次のイカした何かに夢中になっている。そういう姿勢がモッズであり、お前は単なるモッズの格好のまねだと。もう16歳には衝撃でしたし、自分が恥ずかしくなって。そこから音楽や洋服、映画や芸術などのカルチャーにどっぷりハマっていったのは、確実にTさんのおかげ。人生で一番影響を受けた人だと思います。のちにM‒65もモッズ・ワナビーじゃなくコーディネートのひとつとして楽しめるようになると、ようやく自分の中で「モッズたるもの」をひとつ消化できた気持ちに。

Tさんとはいつしか疎遠になり、いまも会っていません。放送作家になったとうわさで聞いて「ああ、Tさんは一番面白いものをテレビの中に見つけたんだ」と思いました。

<<定番モノはいつもセンチメンタルに。 はこちら

「アエラスタイルマガジンVOL.47 AUTUMN 2020」より転載

Photograph: Tetsuya Niikura(SIGNO)
Styling: Masahiro Tochigi(QUILT)

あなたへのおすすめ

トレンド記事

  1. ギンギラギンに、この先も。<br>─走りつづける男・近藤真彦の“やり方”とは?─【後編】

    ギンギラギンに、この先も。
    ─走りつづける男・近藤真彦の“やり方”とは?─【後編】

    週末の過ごし方

    2025.05.30

  2. 万平ホテルの「アップルパイ」。<br>すべて実食! 自慢の手土産 #148

    万平ホテルの「アップルパイ」。
    すべて実食! 自慢の手土産 #148

    接待と手土産

    2025.05.29

  3. ギンギラギンに、この先も。<br>─走りつづける男・近藤真彦の“やり方”とは?─【前編】

    ギンギラギンに、この先も。
    ─走りつづける男・近藤真彦の“やり方”とは?─【前編】

    週末の過ごし方

    2025.05.23

  4. 比類なき読谷村のラグジュアリーリゾート、星のや沖縄<br>空、海、プールが溶け合う、グスクの先の特等席へ。

    比類なき読谷村のラグジュアリーリゾート、星のや沖縄
    空、海、プールが溶け合う、グスクの先の特等席へ。

    週末の過ごし方

    2025.05.16

  5. マセラティ グラントゥーリズモ<br>【クルマ選び、2025年の正解とは?】

    マセラティ グラントゥーリズモ
    【クルマ選び、2025年の正解とは?】

    週末の過ごし方

    2025.06.03

紳士の雑学