特別インタビュー

モッズとは何かを教えてくれた先輩。
[渋谷直角 男が憧れる、男の持ち物。]

2020.11.12

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定番のフィールドジャケットは、こなれ感のあるカーキをチョイス。やや細身のスタイリッシュなシルエットに、保温性に優れたライナー付きで、街からアウトドアまで幅広いシーンで活躍する。M-65ジャケット¥114,000/アスペジ(トヨダトレーディング プレスルーム03-5350-5567

多才でいてファッションフリーク、渋谷直角の愛用品からそのセンスを探ってみる──。

モッズに憧れたのは高校生のころ、Tさんという5年ほど先輩の影響です。Tさんはグレンチェックのパンツにサドルシューズ、NYで買ったというPOP SHOPのTシャツにマッシュルームヘア。さりげない着こなしだけど、自分の中に好きなものが確実にある感じ。それがすごくオシャレでカッコいい人だなと思っていました。

Tさんは「モッズが好きだから」とサラっと言うんですけど、いわゆるモッズのカッコはしていない。16歳の自分の周りにはいないタイプで「Tさんのような人をモッズと言うのか」と、すっかりモッズやロンドンに憧れ、調べるようになったのです。M‒65のジャケットやパーカも、軍もの目線じゃなく、モッズ的なアイテムとして欲しいと思いました。まだM‒65とM‒51は違うとか、オリジナルモッズはM‒51のパーカだとか、細かいことは全然知らないとき。強いこだわりもなくM‒65を買って、自分もモッズだ、なんてゴキゲンだったのですが、Tさんは「直角はモッズじゃないよ」とピシャリ。いわく「モッズっていうのは、いま一番面白いものを知ってる人のことだよ」。最新の音楽やカッコいい洋服、それが周りではやれば、もう次のイカした何かに夢中になっている。そういう姿勢がモッズであり、お前は単なるモッズの格好のまねだと。もう16歳には衝撃でしたし、自分が恥ずかしくなって。そこから音楽や洋服、映画や芸術などのカルチャーにどっぷりハマっていったのは、確実にTさんのおかげ。人生で一番影響を受けた人だと思います。のちにM‒65もモッズ・ワナビーじゃなくコーディネートのひとつとして楽しめるようになると、ようやく自分の中で「モッズたるもの」をひとつ消化できた気持ちに。

Tさんとはいつしか疎遠になり、いまも会っていません。放送作家になったとうわさで聞いて「ああ、Tさんは一番面白いものをテレビの中に見つけたんだ」と思いました。

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「アエラスタイルマガジンVOL.47 AUTUMN 2020」より転載

Photograph: Tetsuya Niikura(SIGNO)
Styling: Masahiro Tochigi(QUILT)

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