週末の過ごし方

DJ松浦俊夫、DBXと邂逅(かいこう)す。

2020.11.16

DJ松浦俊夫、DBXと邂逅(かいこう)す。
2020-21年秋冬シーズン、ダンヒルの注目は「ハーフラップ」と呼ばれる個性的な合わせのジャケット。シングルとダブルブレステッドとの中間くらいの重なり具合いだ。イメージソースはなんと日本の着物だという。ダンヒルのクリエイティブ・ディレクター、マーク・ウェストンの日本びいきが表れたデザインだ。ジャケット¥370,000、シャツ¥64,000、バッグ¥626,000/すべてダンヒル(ダンヒル 03-4335-1755)、その他スタイリスト私物

アストンマーティン史上初となるSUV「DBX」が、いよいよ日本に上陸した! このクルマを相棒に選んだのは、DJ/選曲家/音楽プロデューサーとして活躍する元U.F.O.の松浦俊夫。ダンヒルの2020-21年秋冬最新ルックを身にまとい、ロンドンのジェントルマンを気取って、早速ドライブへ──。もちろん、極上のドライビング・ミュージックもお忘れなく!

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長身の松浦さんがさらりとはおるのは「キモノコート」と呼ばれる、ロングコート。フロントにボタンがない仕立てで、ウエストのベルトで巻きつけ、絞る。コート¥490,000、ジャケット¥270,000、シャツ¥52,000、パンツ参考商品/すべてダンヒル(ダンヒル 0120-914-675)、シューズ本人私物

このコロナ禍で、さまざまなイベントや公演が中止になり、ライブな音楽に触れる機会がめっきり減ってしまった。そんな時代だからこそ、あらためて音楽と真摯(しんし)に向き合いたくなる。〝密〞を避けながら、音楽に没頭できるクルマという空間のなかで、クールなジャズを聴きたい。

DJとしてプレイし、選曲家としてキュレーションし、プロデューサーとして音楽を創る、松浦俊夫さん。1990年代にスタートしたユナイテッド・フューチャー・オーガニゼイションの活動以降、多様な音楽の仕事に携わってきた。 今回の撮影の相棒として選ばれたのは、アストンマーティン初のSUVとなるDBX。無類のクルマ好きでもある松浦さんからのリクエストに応え、日本に到着したばかりの車両での撮影となった。

「免許を取って、かれこれ30年。はじめに乗ったのは三菱コルト。自分と同じ67年式でした。そして90年代はBMW2002。当時すでに音楽に関わる仕事はしていましたが、プライベートでも、音選びにはこだわりましたね。自作ミックステープのA面からB面に移るブランクを極力なくしたりして」

若かりしころから、どこに行くときもこだわって音楽を選んできた。カセット、MD、CD、そしてストリーミングとメディアやデバイスが替わっても、音楽に対する向き合い方は変わらないし、クルマと音楽は切っても切れないものだ。

ひとりになれる場所

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オーバーサイズのレザージャケットは肉厚のカーフを使用したもの。裾が広がったAラインなので、肩掛けではおるのもクールだ。インナーのジャケットは“ハーフラップ”で、ウエストを絞っている。また、極薄レザーのパンツは、金運・幸運をもたらすとされるイールスキン(ウナギの革)を使用したもの。コート¥750,000、ジャケット¥390,000、シャツ¥52,000、パンツ参考商品/すべてダンヒル(ダンヒル 03-4335-1755

「最近は多くのサンプル(音源)がストリーミングやデータで提供されるようになって、スタジオや自宅ではもちろんのこと、クルマのなかでもスマートフォンに音源を入れてチェックしています。クルマは、ひとりになれる場所。感覚が研ぎ澄まされることがある。運転に集中しているからなのか、余計なことを考えず、直感的に音楽を選べるし、走っているシーンとマッチすることもありますね」

クルマという〝日常〞の移動手段の道具も、音楽があることによって〝非現実〞の空間になる。

悲しい場面に、悲しい音楽はあたりまえ。そうではなく、悲しい場面にあえて明るいラテン・ミュージックを合わせる。対比するものを掛け合わせることで、より心情の表現が際立つ、ということを、かつて映画監督・黒澤 明について書かれた本で読んだという。

「たとえば高速道路でクルマを運転していても、スローな曲は周りの景色がゆっくりと流れているように感じさせることもできる。一方で、銀座の交差点あたりで信号待ちをしているなら、クルマは止まっていても、周りの景色が動いているときはスピード感がある音楽がハマることもありますよね」

そう、松浦さんのセレクトには、音楽そのものだけでなく、ビジュアルのイメージがある。

「普段から、音楽は欠かせないもの。食事、睡眠、入浴以外、かならず音楽を聴いています。コロナ禍のこんな時代だからこそ、いろいろなイベントがなくなったりして大変だけれども、なによりも、いい音楽と出合いたい。自分が信じる音楽を多くの人に届けたい。それがいまの自分の原動力となっています。そして今回の撮影で、このDBXに乗りたい!という目標ができたし、いくつになっても、体力の続く限り、いつまでもクルマを運転したい」

そう松浦さんはほほ笑んだ。その車内では、これからも極上の音楽が流れることだろう。

撮影終了後、DBXのオーディオと松浦さんのスマートフォンをつなぎ、サウンドをチェックしているうちに、シーンに合わせたドライビング・ミュージックをセレクトしていただくことになった。 はたして松浦さんはいったいどんな曲を選んだのか? 下の選曲を見れば、ドライブに行きたくなること間違いなし!

選曲家・松浦俊夫によるドライビング・ミュージック
Feelin' Groovy

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アストンマーティンDBXからインスピレーションを得たドライビング・シーンにマッチングする5曲を選曲家・松浦俊夫がチョイス。さあ、ドライブへ行こう!

  • Toshio-Matsuura-Group---LOVEPLAYDANCE
    出発前の1曲。
    Toshio Matsuura Group
    Change

    週末は山小屋に1泊。目的は朝靄に包まれる湖畔へのドライブだ。出発前、はやる気持ちを抑えるためにシャワーを浴び、本日の1曲目をかける。選んだのは「Change」。私が音楽生活30年のなかでDJとして影響を受けた楽曲を、現在のロンドンのニュー・ジャズシーンを担う若手ミュージシャンらとともに現地でセッションして作り上げたアルバム「LOVEPLAYDANCE」から。聴くうちに、心は徐々に浮遊しながら動きはじめ、熱を帯びていくイグニッションキーをひねってエンジンを始動する。いざ、ドライブへ!
  • SAULT---UNTITLED-(Rise)
    青空広がる、海辺へ。
    SAULT
    Uncomfortable

    東京(日常)を出て、旅が始まる──。先日、首都高速湾岸線の鶴見つばさ橋あたりを走っているときにかかって、思わず「いい曲だなぁ」と声を出してアクセル踏み込んだのが、この曲です。イギリスの若手のヒップホップ、ソウルアーティストらのプロデュースを手掛けるディーン・ジョサイアによるソウルやポストパンクの薫り漂う覆面プロジェクトSAULTの最新作の1曲。アルバム「UNTITLED(Rise)」に収録。ザラつきのあるドラムサウンドに載る温かな歌声がクールです。湘南方面に向かう朝、青空も広がり、解放的な気分に!
  • Hania-Rani---esja
    街の喧騒のなかで。
    Hania Rani
    Glass

    都心の交差点でステアリングを切りながら、ふとウィンドーの外を見ると、街の喧騒から音が消え、まるで景色が静止したかのように見える。そんな瞬間がある。その現実と非現実の間のような世界には、ポーランドの若き女性ピアニスト、ハニャ・ラニが2019年に発表したデビュー作「esja」からチョイス。ポスト・クラシカル、ジャズ、アンビエント・ミュージックを巧みにクロスオーバーし、ショパンに代表される、かの国らしい美しいメロディーと幻想的な世界が広がる。ここではないどこかへと、私たちを誘う。
  • Tigran-Hamasyan---The-Call-Within
    秋の森を駆ける。
    Tigran Hamasyan
    ARA Resurrected

    SUVながらスポーティーな乗り心地のDBXで秋のワインディングを駆けるとき、聴きたくなるのは、現代のジャズ・シーンで異彩を放ちつづけるアルメリア出身のピアニスト、ティグラン・ハマシアンの1曲。まるでワインディングの連続するカーブに呼応するかのごとく弾きつづける鍵盤に、レイヤードしながら変化していくリズムのマッチングが絶妙だ。それはフロントガラス越しに流れていく、朱色に染まった美しい森の景色のよう。ティグラン・ハマシアンの奏でるメロディーが風を切っていく。収録アルバムは「The Call Within」。
  • Strata---Aspects
    ナイトクルージングへ。
    STR4TA
    Aspects

    英国ロンドンで活動するとある著名ミュージシャンの覆面サイド・プロジェクト、STR4TA(ストラタ)による2020年代のブリット・ファンク。デビューシングル「Aspects」に収録された「Aspects」は、疾走するベースとドラムに絡むエレクトリック・ギターとネオンライトのように流れていくシンセサイザーのサウンドが心地いい。まるで夜の首都高速で両サイドにゆらめく高層ビルの明かり、はたまた宇宙空間のように放射状に飛び込んでくるトンネルのライトのよう。聴くほどに、ドライブ気分が高ぶってくる。

ASTON MARTIN DBX

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よくあるタイトなスタイルではなく、オーバーサイズのライダースジャケット。テイラードジャケットとレイヤードし、クールに着こなしたい。ライダースジャケット¥750,000、ショールカラージャケット参考商品、シャツ¥74,000、パンツ参考商品/すべてダンヒル(ダンヒル 03-4335-1755)、シューズ本人私物、その他スタイリスト私物、車両本体価格2299万5000円(税込)。アストンマーティンジャパン( 03-5797-7281

現在、自動車業界を席巻するラグジュアリーSUVに、いよいよ真打ちの登場である。昨年、デビューした「アストンマーティンDBX」が日本に上陸。他車のプラットフォームを流用せずに、新規造形のものを採用した、アストンマーティン渾身のモデルだ。外装は“DB”グリルからテールゲートに至るまで、ひと目でアストンマーティンとわかる意匠をまとっている。

ボディサイズは全長5039×全幅1998×全高1680、ホイールベースは3060㎜。床面が低く、車内は広々としていて、とりわけ後席は頭上、足元ともに広く、さらにガラスルーフが開放感にあふれる。センターコンソールには10.25インチのTFTスクリーンを収め、モバイル機器のコネクティビティに合わせて設定できるほか、14台のスピーカーを通じて最大800Wの出力を生み出すサウンドシステムを選択できる。搭載するエンジンは3982ccV型8気筒DOHCターボ。

プロフィル
松浦俊夫(まつうら・としお)
DJ/選曲家/音楽プロデューサー。1990年、United Future Organization(U.F.O.)を結成。5作のフルアルバムを世界32カ国で発表、高く評価される。2002年のソロ転向後も国内外でDJとして活躍。InterFM897「TOKYO MOON」(毎週日曜17:00)が好評オンエア中。同番組のアナログ再発プロジェクトとして携わる、Robert Glasper「Dillalude Suite」、Kurt Elling / Mark Murphy「Steppin Out / Stolen Moments」が11月3日に発売予定。音楽プロジェクト、TOSHIO MATSUURA GROUPの新曲「Pina」が待機中。

掲載した商品はすべて税抜き価格になります。

「アエラスタイルマガジンVOL.48 WINTER 2020」より転載

Photograph: Masahiro Okamura (CROSSOVER Inc.)
Styling: Eiji Ishikawa (TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: yoboon
Edit & Text: Takafumi Kobayashi

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