特別インタビュー
チャンピオンとの出合いが人生を変えたかも?
[渋谷直角 男が憧れる、男の持ち物。]
2020.12.01
多才でいてファッションフリーク、渋谷直角の愛用品からそのセンスを探ってみる──。
チャンピオンと初めて出合ったときのことは鮮明に覚えています。中2の初夏、練馬から新所沢に引っ越したばかりで、日曜に父親と行った新所沢パルコ。その中にあるジーンズショップに、チャンピオンのスウェットとソックスが売られていたのです。父親はアメリカかぶれで、お店に入るやいなや「お、チャンピオンだ」と喜び、いきなり自分用にリバースウィーブのスウェットと、僕にソックスを買ってくれました。「父親が洋服を買う、しかもテンション高い」ところを初めて見た、っていうのも印象として大きかったんでしょう。「いいんだぞ、チャンピオンは」と満足げな父親の言葉に、僕も「そうなんだ、すごいんだ!」とすっかりアメリカの一流ブランドとして認識づけられたのです。
実際、父親の着ているチャンピオンのスウェットは、自分がそれまで着ているスウェットとまるで違うと感じました。生地がゴワゴワと硬く、裾にかけてストンと落ちているシルエット。買ってもらったソックスも、リブが太くて履き心地がそれまで履いていた国産の細いリブの靴下と違う。おまけにチャンピオンの「C」マークは「直角のCでもあるじゃん!」と、一気に超フェイバリットになりました。それまでのソックスはすべて捨ててチャンピオンにして、我慢できず自分でも買ったスウェットは袖の「C」マークがなんともいとおしく、洗濯を繰り返し襟元がヨレてくると、ますます「自分が着込んだ」感が出てきてうれしくなって。服を自分で「育てる」楽しみを経験したのは、ジーンズよりも先にチャンピオンだったのかもしれません。
その後、ビンテージのチャンピオンのTシャツもまた着心地が良くてハマってしまい、「やっぱりTシャツはコットン100%より、レーヨンが10〜35%入ってるのが好きかも」なんて、素材にも気を使うように。チャンピオンって自分にものすごく影響与えてきたな。一生買います!
Photograph: Tetsuya Niikura(SIGNO)
Styling: Masahiro Tochigi(QUILT)