お酒
ホリデーシーズンを盛り上げる
アメリカンクラフトビールがいまアツい!
2020.12.11
家飲み時間が増えた2020年。ホリデーシーズンは楽しげなアメリカンクラフトビールをおすすめしたい。
個性豊かなアメリカンクラフトビール
クラフトビール界において世界をリードするアメリカのクラフトビールは近年、革新的な原料の使用法や醸造の技術、醸造家たちの情熱が生み出している。
カリフォルニア、コロラド、ハワイ、メリーダンド、ミネソタ、ネバダ、オレゴン、バージニア、ワシントン、ワイオミングなど各州で造られており、味わい、アルコール度数はさまざま。テーブルの上を華やかに彩るボトルのデザインが、気分を盛り上げてくれるだろう。
左から、ジューシーでありながらもスッキリとした飲み心地のHazy IPAの「マインドヘイズ」。永遠の名作と称される「シエラネバダ ペール エール」は、1980年から醸造されている全米No.1の伝説的なクラフトビールで、100%天然の原料を使い、爽快でしっかりした味わい。
バージニア州で造られた「フリーヴァース」は、惜しみなくふんだんに使われたアザッカとチノックホップによって、とてもトロピカルでみずみずしく、濃厚だ。
ボトルデザインがかわいい「デッドガイ エール」は、ローグ社が開発し企業秘密とされているパックマン酵母を利用。リッチなモルトの風味、美しいはちみつ色、バランスの取れた後味は、ローグエールズの王道ビールと呼ばれている。
これ以外にも、まだまだたくさんある個性豊かなアメリカンクラフトビール。詳細、販売店は公式サイトにてチェックを!
アメリカンクラフトビール 公式サイト
「クラフトビール」「食」、注目はバージニア州
250もの地ビール醸造所、シードル醸造所があるバージニア州。なかでもリッチモンドには自社製品を提供する醸造所が約40カ所あり、世界でもトップクラスのクラフトビールの産地として認められている。
注目は2011 年にリッチモンドのダウンタウンで開業して以来、成長を続けている「ハーディウッドパーク・クラフトブルワリー」だ。もっとも古い醸造所のひとつでもあり、最近ではステージ、屋外パティオとビアガーデン、フードトラック・プラザなどワンストップでエンターテイメントを楽しめる「ハーディウッド・ウェストクリーク」をオープンするなどその勢いは止まらない。
革新的および伝統的なエールとラガーを醸造し、数々の受賞歴をもち、国際的に高い評価も得ている。また、環境への意識と保護に貢献している組織をサポートしている点も注目のポイント。醸造所の動力源は太陽光、バイオマス、風力など再生可能エネルギーのみでまかない、地元の農家と協力して、使用済みの穀物を堆肥や飼料として再利用している。
ハーディウッドで造られるホリデーシーズンにおすすのクラフトビールは「バーボンバレル・ジンジャーブレッドスタウト」。バージニア州中部の農場で取れた生姜とはちみつがふんだんに使われ、チョコレート、バニラ、ハニカム、シナモン、生姜の香りが立ち、ベルベットのような口当たりを演出。冬は冷えると懸念されるビールだが、身体を芯まで温めてくれる。
クラフトビールにはリッチモンドの牡蠣が相性抜群
また旅することができるようになったとき、ぜひ食体験の訪問先リストに入れておきたい場所も紹介しておきたい。
じつはバージニア州、食のシーンでも急速に世界の注目を集めているのだ。とくに、どの店に行くか決めかねるほどたくさんの最先端の食を提供するリッチモンドは、多くの専門家が「訪れる街」として推奨するほど。
バージニア州の特産物である牡蠣の漁は数千年前に始まったのだが、19世紀の人口増加と20世紀の環境汚染が養殖場に甚大な影響を及ぼした。しかし2000 年代初頭に、地元の漁師や科学者と環境問題の専門家グループが集まり、湾の牡蠣事業救済の対策とし、湾内の水を浄化し、健康な牡蠣の再育成に着手。これらの努力によってバージニア州の牡蠣事業は再興を果たした。
そうして現在のバージニア州は、アメリカ東海岸の牡蠣の都として知られ、2016年以降年間4000万個以上の牡蠣が売られている。
この小さいながらも美味な食材はそのままでも、蒸しても、焼いても、揚げても、あぶってもおいしい。
リッチモンドの外食産業でも突出したレストランは「パーチ(Perch)」だ。ラパハノック・オイスターを提供する。
フィリピン人の両親をもつシェフのレデスマ氏は、ニューヨークとメリーランド州アナポリスで育ち、ハワイ、ウェストバージニア、バージニアなど彼の料理に影響を与えたすべての場所から味のヒントを得てきた。地元の農家や肉屋と積極的に協力することで、常に変化する持続可能なメニューを生み出し注目されている。
旅への思いをはせながら、心あたたかなホリデーを過ごしていただきたい。
取材協力:アメリカンクラフトビール協会、バージニア州観光局
Text:Tomoko Komiyama