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ユナイテッドアローズが別注した「剣」、
150年以上の伝統を誇る英国傘の真価。

2021.01.05

ユナイテッドアローズが別注した「剣」、<br>150年以上の伝統を誇る英国傘の真価。
折りたたみ傘 ¥25,000/フォックスアンブレラ フォー ユナイテッドアローズ

上質な傘を持っていることは、紳士の条件であり、たしなみでもある。雨のたびに安価なビニール傘を間に合わせに使っているようでは、天候を読む先見の無さや用意不足、さらには持ち物に気を使わないことを露呈してしまう。これでは大人として、少々無粋な人物であると言わざるを得ない。ちなみに傘立てに何本もビニ傘を立てているのは、玄関の見栄えを損ねるだけでなく風水的にも悪いらしい。

英国で傘は剣の代わりとも言われている。本来、剣は権威・権力の象徴で、強き者が悪をくじく聖器であり、正統と正当を宿すとされた。近代において剣はステッキに代わったが、いまも正装にはステッキが必需品である。今日、ステッキは傘へと受け継がれ、細巻の傘を手に颯爽と歩くことは英国紳士の正統な姿とされている。

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骨数を削減して小型軽量化を求める一般的な折りたたみ傘に対して、10本骨を頑なに守るフォックスアンブレラの折りたたみ傘「テレスコピック」は、いまも英国で1本ずつ職人の手作業で作られている。

英国傘の名門といえば英国王室御用達でもある1868年創業のフォックスアンブレラだ。世界で初めて化繊の布を使い、U字スチール骨の傘を開発した、現代傘のパイオニアでもある。10本骨の長傘は剣のように美しく細巻きできることが特徴で、傘布を丁寧にたたみ巻く技術は、英国貴族に仕える執事にとって必須の技術とされたものだ。

馬車で移動し、コーチから玄関までの移動の際に雨を遮る長傘は貴族の時代の必需品だが、電車などで移動する現代人にとっては折りたたみ式の傘のほうが都合がいい。これまで頑なに長傘にこだわってきたフォックスアンブレラも、近年は折りたたみ傘に注力しているのは時代の流れ。しかし「テレスコピック」と呼ばれる折りたたみ傘は、長傘に匹敵する大きさを保持するため、シャフトが一般的な折りたたみ傘より長い46.5cm設定となっていて、傘の直巻も104cmと大きい。ハンドルは長傘同様「J」の形になっていて、持ちやすさとともに、カバンから覗く「J」ハンドルは、それが老舗傘であることを雄弁に物語る。

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ショートストレートなハンドルが一般的な折りたたみ傘にあって、長傘と同じ「J」ハンドルが用いられているのは、自社の傘に自信と誇りを持つフォックスアンブレラのこだわりが表れている。

ユナイテッドアローズが別注した本品では、「テレスコピック」の傘布に晴雨両用の遮光生地を採用している。そのため通年使用が可能だ。ハンドル部には折りたたみ傘では通常用いない天然材のマラッカを別注した。マラッカは自然の状態では正確な円形をしておらず加工が難しいことで知られる希少な木材だ。軽く丈夫なうえ使い込むと色つやを増してあめ色にエイジングすることから、高級ステッキの柄にも用いられる素材でもある。使いつづけることで自分の歴史を刻む傘は、現代紳士の帯刀である。たとえ折りたたみ式であっても一生モノとなるだろう。

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Text:Yasuyuki Ikeda

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