特別インタビュー
伊勢丹新宿店メンズ館5階
テーラードクロージング スタイリスト 遠藤ちはるさん
この人から買いたい、この一品。
2021.02.16
お客さまとのコミュニケーションも大切な「商品」と考えています
新卒で入社して、すぐにメンズ館へ配属となりました。それまで本館へはよく足を運んでいましたが、メンズ館は1階を眺めて歩いたことがあるぐらいで、上のフロアはブランドもあまりよく知らないものばかりでした。いちばん驚いたのは、ジャケットが天井からつり下げられているディスプレーですね。こんな展示の仕方があるの?ってびっくりしました。
それまで紳士服についての知識があったわけではなく、スーパーの洋品売場でレジを担当していたぐらいだったので、わからないことばかり。書籍や雑誌で勉強していった感じです。いちばん勉強になったのは、お客さまから教えていただく知識でしょうか。ブランドのことや仕立てのことなど、詳しいお客さまが教えてくださるのは、とても勉強になりますし、その次の接客で生かせたりもするので有り難いです。
だからこそ、常にお客さまの立場で考えるようにしています。以前、お客さまからECサイトの商品について在庫確認のお問い合わせがあった際、WEBには掲載のないカラーバリエーションが店頭にあることをお伝えしたところ、後日来店されてお買い上げいただいたことがあります。そのことについてお客さまからお礼のお電話をいただき、社内褒章もされました。ただ単に聞かれたことだけに答えていたら、そこまで評価されなかったと思うんです。
百貨店って、お客さまとスタイリストのコミュニケーションの体験も、立派な商品だと思うのです。そのためにはスタイリストの質がしっかりしていないといけません。メンズ館にいらっしゃるお客さまは、こだわりをしっかりお持ちの方が多いですから、私もしっかりとした知識と接客の技術で対応したいと思っています。
趣味は、お笑い鑑賞です。新宿にはルミネtheよしもとがあるのですが、仕事の後だと時間が合わないので休日に出かけたりしています。好きな芸人さんは千鳥さんと、かまいたちさんです。最近の芸人さんはおしゃれな方が多いので、ぜひ伊勢丹新宿店メンズ館にも、お買い物に来ていただきたいですね。
遠藤ちはるさんおすすめの一品
チンクワンタのレザーブルゾン
チンクワンタはイタリアのレザー専門ファクトリーのオリジナルブランドです。男性にとってレザーというと、黒や茶系の分厚くて硬くて重たいライダースを、何年も着込んで体になじませるアイテムというイメージかもしれませんが、最近のレザーは薄手で軽くて、新品のうちから着やすいものが多いです。それに着方も、Tシャツやネルシャツにデニムでワイルドに着るよりも、上品なアイテムを合わせておしゃれなイタリア人のように着るのがいいと思います。
色は今季のキーカラーでもあるナチュラルカラーのエクリュ(生成り色)をオススメします。インナーにも同じくキーカラーのライトグレーのスキッパーポロと、バイカラーのカーディガンを合わせました。ボトムズはグルカパンツです。ウェストまわりのプリーツや、ゆったりとしたシルエットがいまっぽいポイントです。レザーブルゾンをテーラードジャケットのように着こなすところが、とても新鮮だと思います。
掲載した商品はすべて税抜き価格になります。
問/伊勢丹新宿店 03−3352−1111
Photograph:Hiroyuki Matsuzaki (INTO THE LIGHT)
Text:Yasuyuki Ikeda