週末の過ごし方
森林の中で暮らしながら働く、
世界とつながる六甲山。
2021.03.29
神戸市街地の北側に東西長くそびえる標高931mの山塊、六甲山。瀬戸内海国立公園の区域に指定される自然環境に恵まれたこの場所は、リゾートやレジャーで人気を博してきたのだが、いま「六甲山上スマートシティ構想」として、働く場所へと生まれ変わりつつある。
満を持して3月下旬にオープンするのが、「ROKKONOMAD(ロコノマド)」。山上のビジネス交流拠点の共創ラボという位置づけで、コワーキングスペースにレンタルオフィス、宿泊施設を備え、さながら〝泊まれる森のシェアオフィス〞なのだ。周辺には、建築界の巨匠ミケーレ・デ・ルッキの手によって約2年の修復工事を終えた「六甲山サイレンスリゾート」が、一昨年7月にリニューアルオープンしている。ほかにも、建築家の安藤忠雄が設計した「風の教会」のリニューアル、戦前の個人別荘を生かしたカフェやオフィスの開設など、新たなスポットの話題は尽きない。
なぜ六甲山に人々が集まるのか。それはさかのぼること150年以上も前、1868年の神戸港開港から始まる。欧米文化と融合しながら発展してきた神戸で、最初に六甲山の美しさに魅了されたのは、ほかならぬ居留外国人だった。そして六甲山はレクリエーションの場として開発され、山荘が建ち、日本初のゴルフクラブ「神戸ゴルフ倶楽部」が誕生。今日まで多くの人々に愛され、親しまれつづけてきた。近年では2018年秋、米コンサル大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーが社員向けの教育・研修に利用する拠点施設を、アジアで初めて六甲山の麓に開設。海と山のある自然豊かなこのエリアの、働きやすさ、暮らしやすさの評価がうかがえる。
リモートワークが日常になってきたいま、働き方やライフスタイル、ひいては人生の在り方にも新たな風が吹き込んできた。「ROKKONOMAD」を筆頭に、山の中でもインターネットが通じ、世界につながる場所が増えている。いよいよビジネスパーソンの新しい拠点になりそうだ。
問/ROKKONOMAD https://rokkonomad.org/
Text:Tomoko Komiyama