週末の過ごし方

都心には「母屋」、別荘は「離れ」という
しあわせな関係。
【ニューノーマル時代の別荘探訪。】

2021.04.27

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斜めに切り取られた美しい屋根が特徴の外観。同じ形状の外壁が大小でふたつ並んで見えるのもユニーク。設計した稲山さんは「一筆書きの壁」と表現する。理由は、外壁が「の」の字となっている平面図を見てもらえれば一目瞭然。

リモートワーク、多拠点、タイニーハウス……。ここ数年で、人々の「暮らし方」は一気に多様化した。そのなかで、かつて豊かさの象徴だった「別荘」は、どう変容しているのだろう。最新のケーススタディから、豊かな暮らしのニュースタイルを紹介します。

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白をベースにした室内は、空間ごとの用途を決めず、自由に過ごせるよう間仕切りをあえて設けなかった。天井からつり柱を落さないことで、下階の空間がより広々とした印象に。ロフトへと上がる階段も壁から白板が突き出すように並ぶシンプルなデザイン。「自宅ではなく、別荘だからこそ建築的に楽しい提案ができたのかもしれない」と稲山さんは言う。

八ヶ岳の離れ
山梨県/設計:稲山貴則建築設計事務所

「八ヶ岳の離れ」という名のとおり、メインで暮らす自宅を「母屋」と考え、その「離れ」として設計されたミニマムな別荘。

「いまの時代背景を考えれば、別荘は非日常よりも、日常に+αすることが求められているのではないか」、そう語るのは設計した建築家の稲山貴則さん。

施主のご家族は、普段は都内の戸建住宅に暮らす。遊び盛りの子ども3人を抱え、思いっきり庭を走り回わらせたいと、父から譲り受けた土地に別荘を完成させたのは4年前のこと。

「できたばかりの別荘を見て、シンプルだけど遊び心を採り入れたデザインが稲山さんにしか創造できない建築だと思いました」と施主は満足そうに振り返る。

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    ロフトの本棚には建築好きという施主の愛読書が並ぶ。
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    外壁に包まれるように置かれた丸型の露天風呂。

子どもたちは、大型休暇が近づくたびにここへ訪れるのを楽しみにしているそうだ。室内では、地下部屋を秘密基地として使ったり、ロフトの縁に腰を掛け、下階のテレビをのんびり観賞したり、またデッキに出れば、露天風呂の湯船に浸かり、夜は星や月を眺めるのが定番だ。何より広々した敷地内で気兼ねなく遊ばせることができるのは、子どもだけでなく親にとってもうれしいこと。

最近は、この別荘を起点に、スキーや山登りに出かけることも多くなったという。

「自然の豊かさを求めるのは、人が生きていくうえでの本質的な欲求なのかもしれません。この別荘に来るたび家族の笑顔に心が満たされ、幸福感が味わえます」と楽しげに語る施主。

東京の母屋では体感できない価値が、都心から2時間の「離れ」にはある。

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    開口部のコーナーには、まきストーブを設置した。まきをくべるのも別荘ならではの醍醐味。
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    室内のベンチには、庭で割ったまきをストックするスペースがある。
間取り図

Data
●所在地/山梨県北杜市
●家族構成/夫婦+子3人
●竣工/2017年
●構造/木造
●規模/2階
●敷地面積/331.02㎡
●延床面積/64.37㎡
稲山貴則建築設計事務所

Photograph: Koichi Torimura
Edit&Text: Satoshi Miyashita

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