週末の過ごし方

お父さんにエールを。家族団らんにお薦めしたい、ごきげんな一冊

2021.05.19

お父さんにエールを。家族団らんにお薦めしたい、ごきげんな一冊
『お父さん、まだだいじょうぶ?日記』(著・写真:加瀬健太郎、リトル・モア刊、1760円)

カメラマンのお父さんがつづる子育てエッセイ第2弾、『お父さん、まだだいじょうぶ?日記』。カメラマン=イケてる?という概念をいい意味でくつがえす、少々頼りない父と母と3人の息子との日常。ごくごく自然のなりゆきで育児が生活の一部となったお父さん(=著者)は、苦みこそが人生に面白いスパイスをくれるものだ!と感じさせる、どこか懐かしさを覚える昭和のお父ちゃんのよう。

失笑してしまうような出来事も笑いに変えてしまうユーモアあふれる文章と、日常の目のつけどころもツボ。

声高に主張しないけれど、そっと暮らしを支えてくれるお父さん。そのごくあたり前な毎日を、そっと楽しくしてくれるのは家族のつながりなのだと気づかされる。

毎日仕事や家事・育児に追われながら過ごしていると、気づかないことはたくさんあるけれど、子どもたちの全力の泣き顔も明日からはぎゅーっと抱き締められる気がするな。

―――――
2度目の緊急事態宣言。
「家で子どもとだけ話してたら、なんかオモロない人間になりそうやわ」
と妻に言うと、
「もともとそんなオモロないで」と言われる。
―――――

コロナで仕事が減り、お家にいる時間が増えたお父さん。一家の大黒柱である不安を、ちょっとひねりを加えた言葉で伝えると、妻の愉快な肝っ玉が落ち着かない背中をどーん!と押してくれる。漠然と関西弁っていいなと思い、読み返すほど意味深なほどに微笑をそそる。

短い文章に添えたられた子どもたちの写真。鉄棒をする必至な表情、川の字で寝る3人の息子……、なにげない日常を切り取った一枚にグッと心を動かされる。いつもそこにある背景を見つめる写真には、ぬくもりや匂い、笑い声や泣き顔も、日々を一生懸命に過ごす家族の感情が映し出される。

ストーリーごとに絶妙にリンクした写真がふと語りだすような、まるでコントを見ているような気分にさえなる(笑)。

生活の中に溶け込むように居てくれるお父さんって、まんざらでもないな……。画期的なイクメンとでも言うべきか……。

「お父さん、“まだ”だいじょうぶ?」。言葉にはできない、家族からの応援の気持ちがささやかに詰まっているのだと思う。四男が生まれてますますにぎやかになった加瀬家族、『お父さん、まだまだ、だいじょうぶ?』を、ひそかに期待。家族みんなが、じんわりと共感できる一冊です。

プロフィール
狩野明日香(かりの・あすか)
ファッション企画を中心に活動中のエディター兼キッズファッションスタイリスト。美容にまつわるネタが好きで、最近は男性美容にもアンテナを。フードコーディネーターとしてレシピ本製作にも携わる。近い目標は酒蔵巡り。プライベートでは2児のママ。

Photograph:Ryohei Oizumi

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