特別インタビュー
伊勢丹新宿店 メンズ館7階 メンズオーセンティック
ウールリッチ伊勢丹新宿店 店長 大山 敦さん
この人から買いたい、この一品
2021.09.10
服をカッコよく見せるのは着る人のバックグラウンドです
地元の横須賀でパンクとスラッシャー、イギリスとアメリカのカルチャーを同時に追いかけて育った10代。その後、結成したバンド仲間とイギリスに渡ったのは1994年のことでした。ヒースロー空港に降り立ったとき、『TIME OUT』(※ロンドンの人気情報雑誌)の表紙が、プライマル・スクリームの、ボビー・ギレスピーだったことを覚えています。『ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ』がリリースされたばかりのころだったんです。
そのころのイギリスは、ブラーとオアシスの2ndアルバム対決が話題になっていたころで、彼らのライブなんて5ポンド、1000円ぐらいでいくらでもやってました。それなのに、ひとつも聴きに行かなかったのは、若くて生意気で、70年代の音ばかり聴いていて、「そんなガキの音楽は聴かないね」みたいに斜めになっていたから。いまでは、なんてもったいないことをしたのかと後悔しています(笑)。
帰国してからは、ラウンジリザードに就職。営業、プレス、販売と、なんでもやっていて伊勢丹新宿店メンズ館の2階でも接客していました。その後、年齢のこと、キャリアアップも考えて、バブアーに転職。GINZA SIXの店舗で販売をしていました。その後、ウールリッチジャパンが立ち上がるタイミングで転職しました。ウールリッチとバブアー、あとバラクータって、もともと国内の販売代理店が同じ会社なんですよ。2018年から、再び伊勢丹新宿店メンズ館に立たせていただいています。あのころのラウンジリザードのお客さまが、いまの私がいるのに気づいて、話しかけられることもあります。
ファッションって、ジジイになってもカッコよく着たいなって思いますが、若いころ、暮らしたイギリスをどこかで感じていたいというのもあるんです。イギリスのファッション、音楽、カルチャーといったピースは、私自身の一部なので、やっぱりどこかにそんな匂いを感じていたいのかもしれません。
ブランドや服は変わっても、着る人のバックグラウンドがあるカルチャーが、その服をカッコよく見せてくれると思っています。上から下まで高級ブランドでそろえたからといって、すぐカッコよくなれないように、自分自身の生き方や考え方って、絶対スタイルに表れるんです。ウールリッチには毎年の定番服があって、そこに着る人のカルチャーが加われば、男心をくすぐる着こなしができる。それがいちばん大切だと思うのです。
大山 敦さんおすすめの一品
ウールリッチのアークティックパーカー
ウールリッチのダウンと言えばコレという一品。1970年代に、アラスカのパイプライン建設作業員用に防寒ジャケットとして開発されたのが、このアークティックパーカーです。表生地はコットン60%、ナイロン40%の比率で混紡する当時最新鋭の機能素材、いわゆる「ロクヨンクロス」を採用しています。きれいめでラグジュアリーな雰囲気を打ち出すダウンブランドが多いなか、経年変化を楽しめるダウンジャケットは、男心をくすぐるアイテム。デニムやレザーと同じように育てて着ていただきたいですね。
問/伊勢丹新宿店 03-3352-1111
Photograph:Hiroyuki Matsuzaki (INTO THE LIGHT)
Text:Yasuyuki Ikeda