カジュアルウェア
ファッショントレンドスナップ 118
97年前のパリオリンピックのころのスーツを着こなす激レアさんに銀座で遭遇。
いまマニアックなスーツが再注目されるわけとは?
2021.09.17
背中のデザインはかなり独特で、最近はあまり見られなくなったクラシックなデザインでしたが、正面から見ると現代のスーツとさほど変わリませんね。
ただし、ベスト(イギリス流ではウェストコート)は、合わせがダブルになっていて、ボタンは6個、すそは直線にカットされています。かなり、マニアックなデザインですが、このあたりは映画『炎のランナー』の時代のディテールを再現したいという大西さんの強い思い入れによるもの。
最後に、こうしたマニアックなスーツって、お客さまの反応はどうなのでしょうか?という疑問を大西さんにぶつけてみました。
「このお店を立ち上げようと思いついたときは、スーツ市場全体は急激にカジュアル化へ向かっていきましたので、自分はそれとは真逆の方向で勝負したいという思いが湧いてきました。市場規模は小さいですが、クラシックでエッジィなものが再評価されるという確信がありました。トレンドやモードの発端は、昔から大衆的なものとの差別化でしたし……みんなとは違う、ワクワクするような服を探している人は、どんな時代でもいますから。
お店は今年オープンしたばかりですが、私のスーツと同じデザインのスーツをオーダーいただき、それで出勤したりシガーバーに行かれるような根っからのブリティシュ好きのお客さまもいらっしゃいます。
そんな方に交じり、若いお客さまも増えてきています。なかには、SNS上でクラシックなブリティシュスタイルを愛するグループを作り、そのメンバー同士でこだわりのスーツや靴などをアップするという、新しい楽しみ方をする方が出てきました。
この方たちは、国籍や年齢、性別を超え、かなり勢いがありますね。着心地や高級な生地を使うという点は二の次で、映える服装としてのクラシックスーツが注目されているようです。この流行は世界中にあります。先日はアメリカからも注文をいただきました。国を問わずテーラードの文化が継承されていくことはとてもいいと思います」
住所/東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル403号
時間/12:00~19:00
※完全予約制 火・水曜日定休
TEL/03-6263-2230
Instagram @sloanerangertokyo
Photograph & Text:Yoichi Onishi