スーツ
スマートカジュアルとはそもそもどういった服装?
適したシーンとおすすめコーディネート例を紹介
2023.01.30(最終更新:2024.03.22)
スマートカジュアルはスーツよりもリラックスしたスタイルで、テレワークの普及に伴って需要が高まっています。スマートカジュアルの着こなしのポイントを押さえれば、ビジネスからプライベートまで、充実したおしゃれを楽しめるようになります。この記事では、スマートカジュアルの概要や適したシーン、コーディネート例、おすすめのブランドなどを紹介します。
スマートカジュアルとは? メンズのドレスコード
そもそも服装にはTPOに合わせたルールがあり、ドレスコードと呼ばれています。それぞれの場面や時間帯にふさわしい服装を心がけておかないと思わぬ恥をかくことになるため、まずはドレスコードを押さえておくことが大切です。メンズのドレスコードの分け方はさまざまですが、フォーマル、セミフォーマル、インフォーマル、スマートカジュアルと大きく4つに分類できます。このうち最も格式が高いのがフォーマルで、セミフォーマル、インフォーマルと格式が下がっていき、最も低いのがスマートカジュアルです。
フォーマルは正礼装とも呼ばれ、結婚式の新郎やその父親、公的行事の主催者などが着用します。昼であればモーニングコート、夜であれば燕尾服を着るのが決まりで、格式の高いレストランやクルーズ船などで正礼装が指定されることもあります。準礼装とも呼ばれるセミフォーマルは、結婚式に参列する親族やパーティーの主賓などが着用する服装です。昼にはディレクターズスーツを、夜にはタキシードを着用します。インフォーマルは略礼装とも呼ばれ、結婚式に参列する一般ゲストの服装です。チャコールグレーなどのダークスーツを着るのが一般的で、昼と夜で服装を替える必要はありません。ドレスコードで平服を指定された場合はインフォーマルの服装を選ぶのが無難です。
最後に、スマートカジュアルはインフォーマルよりもさらにカジュアルで、スーツではなくジャケパンスタイルが主流です。厳密な定義はありませんが、スマートカジュアルを指定された場合はチノパンにジャケット、革靴といったコーディネートにしておけば問題ありません。ジャケットをはおる場合、インナーにはシャツ以外にカットソーなども選べます。カジュアル度の高いスタイルなので、ネクタイを合わせる必要もありません。ただし、Tシャツや短パン、スニーカーといったアイテムはカジュアルすぎるので注意しましょう。
スマートカジュアルが適したシーンとは
スマートカジュアルは、服装規定のゆるやかな職場などでよく着用されています。この場合、スマートカジュアルはビジネスカジュアルとほとんど同義と考えればよいでしょう。また、高級レストランや結婚式の二次会などでもスマートカジュアル以上の服装が求められます。フォーマルとまではいかないものの、ある程度の上品さが求められる場面でスマートカジュアルが求められます。高級レストランでは、ドレスコードにスマートカジュアルを指定しているところも少なくありません。基本的にはジャケパンスタイルで、清潔感のあるきっちりとしたコーディネートが求められます。
スマートカジュアルのコーディネート例
スマートカジュアルは、フォーマルやインフォーマルのように服装のルールが決まっていない、自由度の高いドレスコードです。だからこそコーディネートを間違えると浮いてしまう恐れがあるので、ポイントを押さえることが大切です。具体的なコーディネートの例を知り、スマートカジュアルのスタイリングの参考にしてください。ここからは、スマートカジュアルのコーディネート例をいくつか紹介します。
ダークトーンでシックにまとめる
ジャケットにチャコールグレー、パンツにカーキを採り入れれば、ダークトーンでシックにまとまるコーディネートになります。さらにインナーにはデニム調のシャツを使い、休日らしい柔らかい雰囲気を演出してみましょう。大人の風格を漂わせたければ、アイテムの質にもこだわってください。ジャケットはクラシカルな仕立てのものを選び、チノパンに適度な光沢があれば全体の印象が上品に仕上がります。革靴とベルトはブラックでそろえ、格調高い重厚感を添えるコーディネートがおすすめです。
ネイビーとベージュの王道スタイリング
ネイビーのジャケットにベージュのチノパンという組み合わせはジャケパンスタイルの王道です。ネイビーもベージュもベーシックカラーなので、インナーも自由に選べます。白無地シャツを合わせれば堅実なスタイルになるほか、ポロシャツなどを合わせるのもおすすめです。あえてネイビーのインナーでジャケットと色をそろえ、統一感を演出してみてもよいでしょう。ベージュのチノパンをはく場合、革靴は色みの近いブラウンのものがよく合います。また、ジャケットをネイビーではなくグレーにするとより大人っぽい雰囲気に。ベーシックカラーを採り入れたコーディネートは親しみやすさを演出したいときにおすすめです。
コーディネートが簡単に決まるセットアップ
コーディネートを簡単にまとめたいときは、モノトーンのセットアップを活用する方法があります。セットアップはジャケットとパンツの色みやデザインが共通しているため、ちぐはぐな雰囲気になる心配がありません。おしゃれに自信がない人は積極的に採り入れてみましょう。なお、モノトーンのセットアップはスーツに雰囲気が近く、スマートカジュアルにしては格式張ってしまう場合があります。そのため、TPOに応じてインナーや小物でカジュアルダウンする工夫が必要になります。例えば、インナーにニットを採り入れたり、白のスニーカーを履いたりすることでほどよい着こなしになるはずです。なお、Tシャツを着る場合はシンプルなものを選んだほうが無難にまとまります。
ジャケットなしのリラックススタイル
カジュアル寄りのスタイリングを目指す場合、ジャケットをはおらないコーディネートもひとつの選択肢です。ブルーのシャツにグレーのスラックスを合わせれば、爽やかで軽快な着こなしが実現します。グレーのシャツにブラウンのベルト、ホワイトのチノパンといったコーディネートも清潔感があっておすすめです。カジュアルな場面では、ポロシャツにローファーといったリラックスしたスタイルを試してみるのもよいでしょう。
スマートカジュアルでジャケットをはおらないときはアイテムのサイズ感に注意がより必要になります。シャツ1枚でサイズが合っていないとだらしない印象が強くなるため、ジャストフィットを心がけてください。オーダーシャツなどを利用すれば、しっかりとサイズの合ったものが入手できます。
リネンジャケットで軽やかに
プライベートの軽やかな雰囲気を演出したいときは、リネンジャケットを採り入れてください。リネンは通気性に優れ、爽やかな印象がある素材です。夏らしい季節感を出したいときにもうってつけのアイテムなので積極的に利用したいものです。ベージュのリネンジャケットにカーキのチノパン、白のインナーとスニーカーを組み合わせれば、涼しげなコーディネートが完成します。ただし、かなりカジュアル感が強いので着用シーンには注意が必要です。フォーマル度を高めたい場面ではきっちりしたシャツや革靴を合わせるのが賢明です。
スマートカジュアルで活躍する人気ブランド
スマートカジュアルのコーディネートでは、質の高いアイテムにこだわることも重要です。上質なアイテムを採り入れることで、着こなし全体の品格がランクアップします。ここからは、スマートカジュアルにおすすめの人気ブランドの歴史や特徴を紹介します。お気に入りのブランドを見つけ、ぜひスマートカジュアルに採り入れてください。
MACKINTOSH LONDON(マッキントッシュ ロンドン)
「マッキントッシュ ロンドン」は、「マッキントッシュ」のライセンスブランドとして2015年にスタートしたコレクションです。マッキントッシュは英国で1823年に設立された老舗ブランドで、品質の高いゴム引きコートでよく知られています。マッキントッシュが主にアウターウエアに注力しているのに対し、マッキントッシュ ロンドンでは日常的なシーンで使える身近なアイテムを総合的に提案しています。マッキントッシュ ロンドンのスーツは、柔らかいシルエットと着心地の軽さが特徴。セーターやシャツといったアイテムも英国らしい上品なものが多いので、スマートカジュアルにも採り入れやすいでしょう。
CIRCOLO 1901(チルコロ1901)
イタリアを代表するテキスタイルメーカー、S.G.L社が展開しているブランドが「チルコロ1901」です。ブランド名は、イタリア語で「クラブ・サークル」などを意味する「チルコロ」と、S.G.L社が創業された1901年を組み合わせて付けられたもの。S.G.L社のジェラルド・ダルジェーニオが冗談半分で発表したスウェットジャケットが予想外の反響を集めたことで、2009年から本格的にブランドをスタートすることになりました。
チルコロ1901では、テキスタイルメーカーならではのプリントや染めの技術をフル活用して生地を仕上げています。スウェット生地にもかかわらずウールを思わせる風合いがあり、それを伝統的な技術で縫製しているので質の高いジャケットができあがるのです。あくまでも素材はスウェットなので着心地がよく、優雅なシルエットが世界中の紳士をとりこにしています。チルコロ1901のリラックス感のあるアイテムは、スマートカジュアルにうってつけだといえます。
JOHN SMEDLEY(ジョン スメドレー)
「ジョン スメドレー」は1784年にイギリスで創業されたニットブランドです。230年以上にわたって最高品質のニットウエアを提供しているブランドで、その製造工場は世界最古ともいわれています。ジョン スメドレーではもともと綿糸の紡績や生地の生産を行っていましたが、少しずつニットウエアの方向へ事業をシフトしていきました。ニュージーランド産のメリノウールや、肌触りが滑らかなシーアイランドコットンなど、最高級の素材にこだわり、ニットウエア生産の全工程を自社で行うことで、世界でも類を見ない品質の高さを保ちつづけています。
ジョン スメドレーの代名詞は極めて目の細かいハイゲージニットです。一般的なハイゲージニットは10ゲージ程度ですが、ジョン スメドレーでは30ゲージという高密度のニットを生産しています。この目の細かさが極上の着心地を生み出し、ジョン スメドレーのニットを世界最高峰といわしめているのです。スマートカジュアルにジョン スメドレーのニットを採り入れれば、英国の風格を感じさせる上品なコーディネートがつくれるでしょう。
Drumohr(ドルモア)
「ドルモア」は1773年にスコットランドでジェームス・パターソンによって創業されたニットブランドです。スコットランドの水にはカルシウムが多く含まれており、毛糸の洗浄に適していることから、上質なカシミヤが生産されます。産業革命の時代にあってもドルモアはハンドメイドにこだわりつづけ、世界で初めてシームレスニットを開発しました。シームレスニットとは、通常のニットのようにパーツごとではなく、継ぎ目なく全体を立体的に編み上げたニットのことです。通常のニットよりも着心地がよく、ニット本来の手触りを楽しめるのが特徴です。
2001年にドルモアはイタリアへ拠点を移し、現代性を採り入れたコレクションを提案する世界的ファッションブランドへと成長しました。ビスケットを模したビスコッティ柄がドルモアの代名詞で、現在もビスコッティ柄のニットは人気商品となっています。ポロシャツなどのアイテムもおしゃれなので、スマートカジュアルに採り入れてみたいものです。
GRAN SASSO(グランサッソ)
1952年、イタリアの小さな村で4人の兄弟によって立ち上げられたニットブランドが「グランサッソ」です。はじめは小さな工場でしたが、1970年代からその品質の高さが世界的に注目を集めるようになります。名だたる大手ブランドの製造も手がけるようになり、やがて世界のニット市場に確たる地位を得ました。現在ではイタリアでも最大級の工場を所有し、イタリアンメイドにこだわったニットを生産しつづけています。
グランサッソの特徴は製品にロゴやアイコンがないことです。「品質が商品を語る」というモットーにより、原料や技術にこだわった品質の高いニットを提供することがすべての証しだからです。デザインはどのアイテムもシンプルで、シルエットが優雅なのでどんなコーディネートにもうまくなじみます。グランサッソの着まわし力が高いニットを採り入れ、スマートカジュアルの着こなしを格上げさせましょう。
SUNSPEL(サンスペル)
「サンスペル」は1860年、トーマス・ヒルによってイギリスで設立されたアンダーウエアブランドです。ノッティンガムで立ち上げた繊維工場で下着を製造することから始まり、20世紀初頭には世界に向けて下着を輸出するまでに成長しました。その後、世界恐慌や第二次世界大戦の影響で事業の規模を縮小しましたが、看板商品のボクサーショーツなどで知名度を上げていきます。そして、1985年にリーバイスのCMで俳優がサンスペルの下着をはいていたことで有名ブランドの仲間入りを果たし、揺るぎない地位を確立しました。
サンスペルはなによりも素材にこだわっており、非常に着心地がよいことで知られています。希少なシーアイランドコットンを使用することで、しなやかで繊細な着心地を実現しているのです。世界で初めてTシャツを作ったブランドともいわれており、アンダーウエアはサンスペルのものを選べば間違いないでしょう。ニットやポロシャツも着心地がよく、スマートカジュアルを快適に楽しめるはずです。
SLOANE(スローン)
「スローン」は2016年からスタートした比較的新しい日本発のニットブランドです。シルクやカシミヤといった上質な素材のニットをデイリーユースとして打ち出すスタイルで男女問わず人気を集めています。スローンでは裾と袖口にこだわって着心地のよさを追求し、デザインと動きやすさを兼ね備えた製品を提供しています。天竺クルーネックニットがブランドの象徴的なアイテムとなっており、スマートカジュアルにも気楽に採り入れられるシンプルなデザインが魅力です。国内生産にこだわり、日本人の体形に合った商品を展開しているスローンは、一度は試しておきたいブランドといえます。
Cellar Door(セラー ドアー)
「セラー ドアー」は北イタリアの大手パンツファクトリーのVETTA社が2014年に立ち上げたブランドです。VETTA社は30年以上にわたって世界中からパンツの製造を請け負っており、「エルメス」や「トム フォード」といった世界的メゾンの商品も手がけています。クオリティーの高さやモノづくりにこだわる姿勢が高く評価されている、イタリアを代表するパンツファクトリーです。セラー ドアーのパンツコレクションの特徴は、長年のパンツ製造で培ったクラシカルなスタイルのなかに、新しい感性を採り入れていることです。アシンメトリーにジップを配したカーゴパンツや繊細なヘリンボーン柄が美しいタックパンツなど、個性的なラインアップが目を引きます。カジュアルからフォーマルまで対応できる上品なパンツがそろっているので、ぜひスマートカジュアルに採り入れることを検討してみてください。
VIGANO(ヴィガーノ)
セラー ドアーと同じように、「ヴィガーノ」もパンツに特化したイタリアのブランドです。1900年代初頭の創業時にはジャケットも手がけるサルトリアでしたが、時代の流れとともにパンツの製造に注力するようになりました。ヴィガーノでは徹底的にイタリアンメイドにこだわっており、ビエラ産の高品質なウールを使用しています。モダンでありながら伝統も感じさせるパンツのシルエットは優雅で、世界中にファンのいるブランドです。ちなみに、ヴィガーノではセカンドラインの「VPI」も展開しています。本家に比べてややカジュアル感が強いコレクションですが、はき心地のよさは折り紙付きです。伝統的なディテールにもこだわり、クラシカルな商品もそろっているので、ヴィガーノと併せて試してみたいところです。スマートカジュアルをおしゃれにランクアップさせたいのであれば、パンツの品質にもこだわることをおすすめします。
PT TORINO(ピーティー トリノ)
「ピーティー トリノ」は2008年にマリオ・ステファノ・マランがイタリアで立ち上げたブランドです。彼はイタリアの伝統的なパンツファクトリー「インコテックス」で経験を積んでおり、「ピーティー トリノ」もパンツに特化して事業を展開しています。パンツをクロージングにおける最重要アイテムとみなし、従来のようにクラシカルなだけでない革新的なスタイルを打ち出して業界に衝撃を与えました。テーラードパンツに現代的な感性を加えた商品群には遊び心があり、美しいシルエットにも定評があります。フィット感はタイトなものからゆったりとしたものまでさまざまなので、好みに合わせてはき心地を選べます。ギンガムチェック柄のドレスパンツや、明るいベージュのワイドパンツなど、個性的なアイテムを採り入れてみるのもおすすめです。快適なはき心地と洗練されたデザインを両立させたピーティー トリノのパンツは、スマートカジュアルのコーディネートを軽やかにまとめてくれるはずです。
まとめ
スマートカジュアルはドレスコードのひとつで、インフォーマルよりも格式の低いカジュアルなスタイルです。場にそぐわない服装は相手にも失礼な印象を与えるため、スマートカジュアルが適切かどうかは事前によく検討しておきましょう。また、ひと口にスマートカジュアルといっても幅広い着こなし方があります。プライベートはスニーカーを履いてカジュアルダウンする、高級レストランではしっかりジャケットをはおるといったように、場面に合わせてコーディネートを調節してください。そして、人気ブランドの上質なアイテムを採り入れることで、スマートカジュアルはよりおしゃれにコーディネートできます。