コート
ニューノーマル時代の
戦闘服の着こなし方。
2022.01.26
おしゃれ上級者が秋冬に選ぶアイテムと言えば、トレンチコートではないだろうか。正統派のスーツには正統派のコートがよく似合う。昨年はコロナ禍でテレワークが続き、はおる機会が少なかった人も今年こそは大いに活躍させたいところ。
さて、トレンチコートが第一次世界大戦で戦闘服として着用された時代、偶然にもその頃、いまと同じように世界はパンデミックに襲われていた。1914年7月に始まった第一次世界大戦、その後半の1918年3月にスペイン風邪がはやりだした。これ、スペインから発生したのかと思いきや、アメリカが起源。カンザス州の訓練所にて発生し、兵士がヨーロッパの戦地に送り出された際に各地へと広がり、やがて世界中に感染が拡大していった。もちろん日本でも感染者が増え、いまのコロナ禍同様マスクをして予防した。ちなみにスペイン風邪の死亡者は4000万人または5000万人、一説には1億人以上だったと言われている。生きるか死ぬかの戦場にスペイン風邪の脅威。トレンチコートはそんな時代をくぐり抜けてきたのかと思うと感慨深い。
そして、時は2021年。2年近くの間、私たちはコロナウイルスという見えない敵と戦いながら、自由を制限されて生きてきた。ようやく先が見えはじめ、withコロナ期に突入したように見えるが、そんな時期だからこそ、かつての戦闘服、トレンチコートで感染対策を心掛けたい。
まずはクローゼットから引っ張り出して、クリーニング店へ。抗菌・抗ウイルス加工をしてもらうのだ。あとはコートの色と合わせてマスクを選ぶ。ベージュ系で統一すれば品良く着こなせて、ビジネスという戦場でも軽やかに戦えるはずだ。また、休日にパートナーと出かけるのなら、フーディーやニットの上に丈の短いトレンチコートをはおる。ラグジュアリー・ブランドからロゴ入りや遊び心のあるデザインのマスクがリリースされているので、いくつかラインアップしておき、その日のコーディネートに合わせてピックアップする。
まだまだ不安はあるけれど、おしゃれを楽しむ気持ちをそろそろ取り戻したっていい。いざ、トレンチコートを着て、明日への一歩を踏み出そう。
Text:Yuko Ooba