コート
スーツに合うコートはどんな種類?
ベーシックな4タイプをイラストで紹介
2022.09.08(最終更新:2023.09.13)
最近は暖冬傾向にあるとはいえ、スーツだけでは冬の寒さは厳しく、こたえます。冬の必須アイテムとして、ビジネスシーンにふさわしいコートスタイルを解説します。
スーツのアウターにはビジネスコートを着こなそう
言うまでもなく、スーツはビジネスのユニフォーム。コートもそれにふさわしい品格が必要です。軽くて暖かいから……という理由でカジュアルなコートを合わせるのは本来のドレスコードではNG。ではどんなものを選ぶべきでしょうか。
スーツに合うアウター(ビジネスコート)の選び方
コート選びにも手持ちのスーツとのマッチやサイズ感のチェックはマストです。ここではそのポイントを解説します。
スーツのアウター(ビジネスコート)選び方① 試着は必ず普段着ているスーツの上から
コートを購入する際は合わせるスーツを持参するようにしましょう。特に肩のフィット感は大切。チェスターフィールドコートのようなセット・イン・スリーブの場合、スーツのほうの肩パッドが大きいと中でよじれてしまい、不格好だけでなく、スーツを傷める原因になります。
スーツのアウター(ビジネスコート)選び方② 何よりもまず丈をチェック
コートの着丈は膝が起点となり、膝より長いとロングコート、膝より短いとショートコートとなります。最近はさらに長い丈もありますが、機動性が要求されるビジネスシーンには向きません。また、背があまり高くない人は長いとバランスが悪くなるので、膝あたりの丈にしておくのがおすすめ。コートの丈はジャケットより短くないことが鉄則。ショートタイプであれば必ずチェックを。
また袖丈もチェックが必要です。コートがアウターである以上、ジャケットの袖が完全に隠れることは常識ですが、長すぎるのは考えもの。指の付け根が隠れないことを目安にしましょう。
スーツのアウター(ビジネスコート)選び方③ コートの素材は見た目にも機能にも大切
コートのクオリティーを決める主因はやはり素材。カシミアの高級感や温かさ、発色のよさはクラス感があり、ぜひ試していただきたいですが、値段が高くて重さがあるうえ、手入れに手間がかかるのが難。最近は化学繊維の見た目も機能性も進化しているので、アクティブに動くシチュエーションではぜひ活用したいところ。コットンは防寒面や手触り、見た目は天然繊維には劣りますが、手入れがしやすいのがメリット。繊維の種類によっては防塵効果が高さも期待できます。
スーツのアウター(ビジネスコート)選び方④ カジュアルすぎない色
スーツに合うコートは、黒、グレー、ネイビー、ベージュ(キャメル)の四色が基本です。
防寒が目的のアウターですから、主役のスーツより目立つのは本末転倒。特にウエアのなかでは最も表面積が大きいですから、鮮やかな原色や派手な柄はビジネスシーンでは控えたいところです。
スーツに似合うアウター(ビジネスコート)おすすめの種類
スーツに合うコートの種類は限られていますので、基本を押さえれば迷うことはありません。押さえておきたい基本の4種類を解説します。
チェスターコート
19世紀に誕生して一躍流行となった正装用コートの王道。黒、濃紺、グレーのウール仕立て、ノッチドラペルでVゾーンがあります。セット・イン・スリーブの肩のつくり、フラップポケットの仕様、シェイプされたウェストなど、スーツを思わせる構築的なシルエットが特徴。またボタンが外から見えない比翼仕立てや長めのレングスもエレガント。素材は主にウールだが、カシミアなどが混紡された高級なものもあります。
ステンカラーコート
比較的ゆったりとしたシルエット、肩の動きを制限しないラグランスリーブなど、機動性に富んでいます。第一ボタンを開けても閉めても着用可能で、襟先のボタンを立てて留めることもできるから、チェスタータイプよりも使いやすいといえます。ちなみにステンカラーは和製英語。海外では誕生の地であるスコットランドの地名から、バルマカーンコートと呼ばれます。裏地にライナーがついているタイプでは取りはずしで温度調節ができるので、秋から春先まで着られます。
トレンチコート
戦場の塹壕(ざんごう)を意味する英語名どおり、軍用コートが由来。肩章やガンフラップ、手榴弾を取り付けるDリングといったミリタリーテイストを随所に残しています。実用性に富んでおり、ウールよりコットンギャバジンや化学繊維が多く使用されます。その分、保温性には劣りますが、ウェストを閉めることである程度の防寒はできます。春先や秋にも着られるなど、活躍の期間が長いのもメリット。
キルティングコート
スーツの上にはおるコートとしては新参者。もともとは乗馬用ジャケットだっただけにアウトドアな雰囲気が残りますが、その軽量さと保温性、汎用性の高さからビジネスシーンでも許容されるようになってきました。ただカジュアルに見えすぎないように細身かつジャケットが隠れる程度の丈の長さはキープしたいところ。またクラシックな英国風のスーツはミスマッチでしょう。色柄が目立つものは避けたほうが無難。
合わせる前に考えたい、ダウン、ダッフル、モッズ、Pコート
どれもがミリタリーまたはアウトドアに由来し、フードつきや短めの丈といった形状から、スーツとの相性はあまりよくありません。あえて「はずし」としてダッフルコートを合わせることもありますが、ある程度のおしゃれ上級者でないとさまにならないもの。ビジネススタイルでは使わないようにしましょう。
スーツにコートを着ている時のビジネスマナー
ビジネスシーンで着る以上、コートにもマナーがあります。せっかくドレスコードに沿ったものを着ても、ここをないがしろにしては無意味。最低限、気を付けたいことを解説します。
コートのビジネスマナー① 訪問先では入る前に脱ぐ
コートは外で着るものですから、着たまま相手の会社、家などに入るのはNG。必ず室内に入る前に脱ぐようにしましょう。その際、水滴や目立つ汚れがある場合は、必ずハンカチなどで落としておくのがマナーです。また内側が表になるように折り畳むと完璧です。
コートのビジネスマナー② ベルトはルーズに見せない
トレンチコートについているベルトは意外におざなりにしがち。締めるときはベルトの穴に通すのが正式ですが、簡易的に脇で結ぶこともアリです。はずすときは左右のポケットに入れる、または後ろで二つ折りにして締め、下に垂らないようにしましょう。
コートのビジネスマナー③ コートは手入れをして清潔感を出す
寒さや雨を防ぐのがコートの役目とはいえ、汚れたように見えてしまっては相手に失礼。手入れは怠らないようにしましょう。ウールやカシミアの天然繊維であれば適度にブラッシングを。脱いで保管する際はかならず型の合ったハンガーを使うようにしましょう。シーズンオフにはクリーニングでしっかり汚れを落とし、湿気をため込むビニールは必ずはずすようにしましょう。カシミアなどは虫に食われやすいですから、防虫剤を忘れずに。
スーツ用アウター(ビジネスコート)の着こなし方まとめ
暖冬傾向とはいえ、コートは冬のビジネススタイルに欠かせません。用途とシチュエーションに合わせて、最適なものを選びましょう。
①ビジネスに合うのはチェスターフィールド、ステンカラー、トレンチコートが鉄壁
②スーツの上に着るアイテム。包み込むサイズ感とスーツのよさを消さない節度を備えたものを。
③ウール、カシミアなどの天然素材、着やすいコットン、機能的な化学繊維など、TPOに合わせてセレクト
Text:Mitsuhide Sako(KATANA)