週末の過ごし方
『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #16
2022.03.10
ビバヒルを観て、人間関係を見直す。
スマートフォンなどない時代の恋愛事情が知れるというのも、現在ならではの楽しみ方。面と向き合って感情をぶつけ合いながら愛を深めていく姿に、純粋さや人間味を感じてしまう。少し言いすぎたな……と思い、LINEを開いて「ごめん」と送信することはできない。眠れない夜を過ごし、意を決して相手の家のチャイムを鳴らし、「ごめん」と伝えるのだ。頻繁に連絡を取り合えないぶん、会えたときの喜びは倍増、すれ違いがどうしても起きてしまう不便さが、いまでは不思議とロマンティックに思えてしまう。
親に相談できないことは、近所のダイナー“ピーチ・ピット”のナットさんに相談するのが彼らの習慣。そこへ行けば誰かがいるたまり場でもあり、頼れる大人がいるかけがえのない場所。最新の音楽をジュークボックスやラジオで知り、知らない人と出会い新たな価値観を知り、友人たちと語り合ったり、衝突もした。リアルな場所に対する執着をあまり持たなくなったいま、こうゆう場所があるのは少しうらやましい気もする。
人とのつながりでさえ多様化してきた現代では、ビバヒルは暑苦しく見えてしまうかもしれない。しかしながらSNSでの人間関係に疲れ、“デジタルデトックス”なんて言葉も生まれる昨今、ビバヒルを観て、人間関係を見つめ直してみてはどうだろうか。
若さゆえの責任感のない行動も、仲間たちで支え合って解決していく。そんな彼らを見て、話し合うことや根気よく人と向き合うことの大切さを再認識させられる。人間関係や恋愛の悩みは、いつの時代も変わらない。30年前の作品がいまも色あせず人気で在りつづけるのは、そういうことなのかもしれない。
その後の学園ドラマに大きな影響を与えた名作を、もう一度。『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』は現在、Amazon Prime Video、huluにて全シーズン配信中。
Text:Jun Ayukawa
Illustration:Mai Endo