週末の過ごし方
『このサイテーな世界の終わり』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #17
2022.03.17
ジェームスは17歳にして、自分のことをサイコパスだと思い込んでいた。8歳で冗談は嫌いだということに気づき、よく冗談を言う父親をいつも殴りたいと思っていた。痛みを感じてみたくて、フライヤーに手を突っ込んでみたこともある。15歳のとき、父親にもらった狩猟ナイフで猫をあやめた。それから欲求はエスカレートし、もっと大きな獲物をあやめたくなったのだ。
アリッサは転校生。常に感情が爆発しそうなくらいイライラしている。目の前にいるのにメッセージを送ってくる友人にイラついて、スマホを床に投げつけるほどだ。新しい父親はアリッサのブラジャーのことにまで口を出してくる。母親はその父親の言いなりで、ふたりのあいだにできた双子の世話につきっきりだ。誕生日にはいつも実の父親からカードが届く。アリッサはひそかに、それを楽しみにしていた。
アリッサには、気になる男の子がいた。いつも音楽を聴きながらひとりランチをしているジェームスだ。
「スケボーしてたでしょ? ヘタクソ」
「うるさい」
不器用なふたりが交わした初めての会話。ジェームスは、アリッサはもってこいの“獲物”だと確信した。気のあるそぶりをして、“計画”を実行しようとたくらむ。
ふたりは普通の恋人同士がするようなデートをすることにした。アリッサはデートに出かけようとするも、家族のパーティーに付き合わされなかなか外出できない。イラつきながらも手伝っていると、新しい父親がアリッサの腰に手を回してきた。母親は嫉妬をするような冷たい視線で見て見ぬふりをする。
なにもかもが嫌になったアリッサは家を飛び出し、ジェームスの家に向かい、「街から出よう」と言う。いつも殴りたいと思っていた父親を殴って車を奪い、アリッサと共にあてもなく走りはじめる。アリッサは今までにない解放感と自由を満喫していた。ジェームスがどうやって“計画”を実行しようかと、ひそかに考えているとは知らずに……。